オカルトチャンネル異世界講座vol.4
♪~てててて~ん
「オカルトチャンネル! 異世界講座!」
♪~な~んでだ? な~んでかな?
「さて~、今日は異世界オルコットンの政治の話よ~」
♪~てん、ててん
「えっ!? 政治ですか!? なんだかコメント欄が荒れそうで嫌だなぁ」
♪~ちゃらーん
「そうね~。
私達の世界では、政治と宗教と野球の話を人前でするな、なんてよく言われるわね~。
オルコットンでもそういうのってあるの~?」
「もちろんありますよ!
政治とキノコタケノコとカップリングの話は厳禁です!」
「なんだか私達の世界よりずっと深刻ね~。
でも、異世界を描いていく中で特に重要とされるのが、宗教と政治なの~。
これらはどうしても世界の根幹に影響を与える部分だから、中途半端にぼかすと子供騙しに見えちゃうわ~」
・ファンタジー世界における王様
「旅先に城があって、そこに王様が居て、みたいなのじゃダメなんでしょうか?」
「何が重要かで変わると思うわ~。
例えば、勇者が主人公で、魔王を倒してこいみたいな話にするなら、その形でいいと思うの~」
「いや、ダメですよ!
王様とか魔王を倒しに行く勇者にひのきの棒とやくそうとはした金しかくれないじゃないですか!」
「私はむしろそれでいいと思うのよね~。
だって、本格的にリアルに描くなら、勇者の敵は魔王よりも王様だもの~。
そもそも、王様ってどうして王様なの~?」
「それは王様のお父さんが王様だったからでは?」
「最初の王様のお父さんは誰なの~?」
「それは、やっぱりみんなで選んだんじゃないですか?」
「そうよね~。
つまり、王様って人気があればなれちゃって、人気がなくなると追い出されちゃうのよ~。
なのに勇者がどんどん事件を解決して、世界中で人気になって、最後には魔王を倒しちゃったらどうなるかしら~?」
「王様になっちゃいます!
まずいですよ! 明日から無職です!」
「そうよね~。
なので王様は本来、勇者の妨害をしないといけないの~。
もしくは、勇者の活躍は全部自分のおかげって宣伝するか、自分が魔王を倒しにいかないといけないのよ~」
「それはなんだか嫌な気持ちになっちゃいます!」
「でしょ~? なのでゲームなら、王様は適当に描かかないといけないのよ~。
まぁオルコットンには王様はいないんだけどね~。
やっぱ神々の手前王様なんて名乗れないわ~。
名乗るのは悪魔だけね~」
・悪役令嬢と貴族たち
「そういえば最近は悪役令嬢が流行ってますよね!
そもそも令嬢とか貴族ってなんですか?」
「言ってしまえばお金持ちね~。
人間の世界ではお金を持ってる人が偉いのは当たり前だからね~。
で、そうなるとやっぱり貴族はお金が欲しくて、お互いに争いあうのよ~」
「剣で戦うんですか? それとも新しい商売とか?」
「いえ、よりお金を持ってる家のイケメンや美少女と結婚するわ~」
「あ! そうやってコバンザメするんですね!
汚い! さすが人間汚い!」
「よね~。なので当然悪どいことをしてライバルを出し抜くことになるので、そういうことをする女の子が悪役令嬢になるのね~」
「そういう人達もやっぱり私達の世界にだっていますよね?」
「たくさんいるわ~。
でも、私達とは関係ないからどうでもいいのよ~」
「え? でもお金持ちって世界の中心ですよね?」
「そうよ~。じゃぁ貴族の人達って普段何してるの~?」
「……何してるんでしょう? アモアス?」
「いえ、貴族同士のパーティに出て、恋愛フラグを建てて、バチェラーみたいな恋愛リアリティショーやってるわ~」
「あ! なんか面白そうですね!
一般人はもちろん参加できませんよね?」
「当然よ~」
「見ることもできないんですか?」
「できないわ~」
「……貴族の人達から一般人に関わることってあります?」
「ないわ~」
「関係ないからどうでもいいですね!」
「そゆこと~」
・オルコットンの宗教
「それで、オルコットンの宗教なんだけど~」
「はいお姉様!
ずっと気になってたんですが質問いいですか!?
シュウキョウってなんですか!?」
「そうよキリヤちゃん、まさにそれなのよ~。
この通り、オルコットンには宗教って概念が存在しないの~。
そもそも私達の世界での宗教は、特定の神様に祈りを捧げることを言うわ~」
「あ! シュウキョウって推し活のことですね!」
「そうよそうなの~!
でも私達の世界では推し活できないのよ~。
だって、私達の世界には神様がほんとはいないんだもの~」
「えっ!? じゃぁお姉様達の異世界では、みんな推し活する相手を想像で作ってるんですか!?
もしかして漫画やアニメの登場人物と結婚したいとか言ってるんですか!?」
「うん、まさにそうなのよ~。
ところでキリヤちゃん、最近映画にもなったアスランとキラとカガリとラクスの関係性なんだけど~……」
「お姉様」
「名前をあげる順番が違います。
言い直してください。
あと、ラクス『様』です。
様をつけてくださいデコ助野郎」
「ご、ごめんなさい」
「はぁ。
いくらお姉様とはいえ、解釈違いのカップリングは困ります」
「そうよね~。
こういう問題が私達の世界での宗教ではずっと起きてるのよ~」
「あ! つまり私達の世界でのタブーであるカップリングの話題が、お姉様達の異世界でのシュウキョウの話題なんですね!」
「そういうこと~。
自分達の信じる神様の関係性や強さの順番でずっと喧嘩してるの~」
「あー、わかりますわかります。
厄介オタクのグループとか大変ですよね」
「う~ん、改めて思うけどこの世界、平和よね~」
・神様はどこから来たの?
「で、この世界に宗教がない理由は、まさに本来想像上の存在である神々が実在してるからなのよね~。
だから、神様に祈るのは推し活だし、政治になっちゃうわけ~。
ところでキリヤちゃん、神様はどうして神様なの?」
「あ、王様と同じ質問ですね。
それはやっぱりお父さんとお母さんが神様だったからですけど、最初の神様は……あれ?
最初の神様は?」
「うん、誰かに選ばれたわけじゃないわよね~。
中には大活躍した英雄が神様になるパターンもあるけど、その場合も既にいる神様に認めてもらう必要があるわけで~。
なら最初の神様はどこから来たのかというと、最初から居たのよ~」
「えっ!? そんなのアリなんですか!?」
「アリナシ以前にそういうものだから仕方ないのよ~。
もしも納得できなかったら今度ヨッシーに『ビッグバンってなんですか? あと、ビッグバンの前には何があったんですか?』って聞いてみて~」
「科学オタクに早口で説明されそうです!」
・神様の力と仕事
「それで、この世界には人間やエルフやドワーフ、天使をはじめいろいろな種族がいるけど、その中でも神様だけは特別で別格でチートなのよね~」
「まぁ流石のエルフも無からは生まれはしませんし、神様の魔法はどうやっても勝てません。
こう、剣のまわりにぎざぎざの歯がついててぐるぐる回る武器があればワンチャンいけるかも……」
「それはあまり考えない方がいいし、口にしない方がいいわ~」
「見られてるわよ」
「ひぃっ!」
「で、そんな神様の仕事は世界をよくして、大勢の助けになることなの~」
「や、やっぱり神様ってすごいな~、憧れちゃうな~」
「でもそれは神様にも理由があって、神様は私達の『ありがとう』って感情をご飯にしてるのよ~。
ヨッシーはこの間、神様の正体は高次元の概念精神生命系エイリアンではないかって考察してたんだけど、それから数日間姿が見えなくなって、その後で数日間の記憶がない状態で風呂場で倒れてたわ~」
「あ、あれそういうことだったんですね……やっぱ見られてるんですね……」
「ともあれ、そういうことで神様は私達の世界のほとんどの仕事を引き受け、争いの仲裁なんかもしてくれてるってことね~」
・戦争の時代
「でも、争いの仲裁をしてくれるなら、なんで師匠の時代では戦争をしてたんでしょうか?」
「それは、世界の形が未確定で、自分達に優しい神様以外は嘘をついてるって思われてたから、神様は『ありがとう』よりも『だいきらい』の感情をたくさん食べさせられてたのよ~。
これは美味しくないから、『だいきらい』の感情を作る存在を消すために、戦争をするしかなかったわけ~」
「それで結局世界の形が確定して、嘘つきはいないとわかったので、みんなからの『だいきらい』がなくなって、信じる神様以外にも『ちょっとだけありがとう』が向くようになった結果、世界から戦争が消えて、神様達もお互いに協力するようになったんですね!
で、その神様に効率よく働いてもらうために、世界のみんなが選挙で政治家を選ぶようになった、と!」
「そうね~。
で、このときに協力を断った神々が、今の悪魔たちなんだけどね~。
悪魔たちは断ったせいでずっと美味しいご飯をお腹いっぱい食べられていないから、今はあんまり強くないということね~」
「今回はほとんど私にとっては当たり前のことでしたけど、お姉様の異世界の不思議がたくさん知れておもしろかったです!
で、お姉様は誰推しなんですか?」
「そうね~。天照大神推しでもあるけど、キリヤちゃん達エルフみたいな『1つの森』の考えも好きだし、魂のパパである柳田國男と魂の愛人である小泉八雲も推しよね~。
う~ん、1個を選ぶの難しいわ~。
あ、でも私タケノコ推しよ~」
「はぁ? マジですかお姉様。
タケノコとかクソですよ。
カスがパラパラ散らばってうざいですし、正直どうかしt」
「甘いぞキリヤ」
「お師匠様~? あれ、今日はなんかやけに静かな登場ですね~。
なんだか目か据わってますし~。
あれ~、キリヤちゃん~?」
「…………」
ずるっ……
「キリヤちゃん~?」
ばしゃぁっ!
「キ、キリヤちゃん!?
お師匠様、まさか掛け声なし予備動作なしの超光速の一閃を~!?」
「口は災いのもと。
皆もくれぐれもデリケートな話題には注意してくれ」
♪~てててて~ん
「そ、そうですね~。
あ、お師匠様、私タケノコ大好きで買いだめしてあるんですけど、1ついかがですか~?」
♪~な~んでだ? な~んでかな?
「いただこう」
♪~てん、ててん
「タケノコ美味しいですもんね~。
それじゃ、また~」
♪~ちゃらーん
「なるほど。
それで今回も私なんですね」
「あぁ。まだご飯粒が乾いてないから動けない」
「今のうちに油性ペンで額に肉とか書いてもいいですか?」
「構わん」
「ありがとうございます」
きゅっきゅっ……
「よし」
「君、字うまいな」
「MS ゴシックです」
「下の方にもなんか書くか? ふとももに正ってたくさん書いたり、お腹に肉便器って書いてもいいぞ」
「それはとりあえずはいいです。
では今日も修行よろしくお願いします」
「よし。
デモクラシーは日本語で?」
民主主義。
「オランダ語」
デモクラシー。
「フランス語」
デモカァシー。
「インドネシア語」
デモクラシー。
「スウェーデン語」
デモクラテゥィー。
「イタリア語」
デモグラジア。
「スペイン語」
デモグラフィア。
「ノルウェー語」
デモカティー。
「ドイツ語」
デモカチー。
「デンマーク語」
デモカチ。
「ウェールズ語」
デモクラティアイス。
「本来インド・ヨーロッパ語族ではないはずのほとんどのアフリカ系の言語」
デモクラシー。
「ロシア語」
…………。
「中国語」
コンチャンチョォウィー。
「2025年現在最も多くの人々が採択している政治体制」
民主主義。
「世界人口3位の国が採択している政治体制」
民主主義。
「世界人口2位の国が採択している政治体制」
民主主義。
「世界人口1位の国が採択している政治体制」
共産主義。
「世界人口9位の国が採択している政治体制」
…………。
「自由惑星同盟の政治体制」
民主主義。
「ゴールデンバウム王朝の政治体制」
専制君主制。
「ペンタゴナワールドの政治体制」
傀儡専制君主制。
「ゴブリンスレイヤーの世界の政治体制」
ギルド社会主義。
「ロト三部作で最も多くの人口が採択している政治体制」
絶対王政。
「天空三部作で最も多くの人口が採択している政治体制」
マスタードラゴン宗教的自由主義。
「セフィーロの政治体制」
人柱。
「ミッドガルの政治体制」
企業リバタリアン社会主義。
「ガミラス帝国の政治体制」
帝国主義独裁。
「ジオン公国の政治体制」
民主主義(独裁者が何を言うか!)
「地球連邦の政治体制」
縁故主義。
「地球連邦(太陽の牙ダグラム)の政治体制」
革命対応中。
「メルトランの政治体制」
カルチュラル・フェミニズム。
「アルファコンプレックスの政治体制」
最高に幸福で完全無欠の民主主義(■■的■■主義)
「1984年の政治体制」
空想的社会主義。
「パラダイムシティの政治体制」
脚本。
「北斗の拳の世界の政治体制」
世紀末暴力無政府主義。
「ロストグラウンドの政治体制」
世紀末暴力無政府主義。
「グラドス帝国の政治体制」
世紀末暴力無政府主義。
「ネオジャパンの政治体制」
ガンダムファイト。
「マスターアジアが目指した政治体制」
エコファシズム。
「よし。ここまでにしよう。
こうしてみると平行世界全体で見るとほとんどの人口がろくな政治体制を選べていないな」
「まぁ民主主義自体が一番マシというだけで最悪なんですが。
その点私達の世界は非常に優れた政治体制でまとまっていると思います」
「言うならば信仰ユートピア主義かな。
基本的に神々に任せておけばいいし税金もない。
ところでアイ君が理想とする政治体制は?」
「そうですね。
最強のメカドラゴンが惑星全体を隔離して管理し、すべての生命の幸福度を最大化する体制でしょうか」
「それはなんと名付けられるべきかな」
「ドラゴニズムとでも」
「ところでマスターアジアが目指した政治体制は?」
「エコファシズム」




