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異世界オカルトチャンネル! ~(怪談+科学+民俗学)×異世界 /(Q+S+F)I ⊢RICK~  作者: 猫長明
第2部冒険編、7章「アトランティス滅亡の魔女編」

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26-4:人工無能にメカドラゴンの問題を合理的に指摘してやりました!

 ということで2時間たっぷり食べ放題を楽しんだ後、一同はラニアに案内され、島内のゼアス興産本社を訪れるのだが。

 

「本社って言ってもこの建物……」

「どう見ても辺鄙な島の雑貨屋だな」


 木造2階建てボロ小屋には確かに「ゼアス興産本社ビル」の木製看板が立てかけられている。

 いや、ビルって。

 木造2階建てでビルって。

 外国人から見た日本のアパートくらいにイメージの乖離が生まれている。

 

・外国人から見た日本のアパート

○○ハイツ、○○テラス、○○パレスは庶民的な日本のアパートでよく見かける名前だが、海外でパレスと言えば貴族所有の歴史ある豪邸及び宮殿にのみ使用される名称であり、コーポやハイツなども書面上から想像したイメージの差に愕然とする外国人が多い。

海外でこのようなアパートは、コンドミニアム、ファルトなどと呼ばれる。

 

「それでもこの店は私が父から受け継いだ大切な拠点なのだよ。

 さ、入ってくれ」


 怪訝な表情を浮かべつ中に入ると、そこには四畳半の座敷と中央に置かれたちゃぶ台が。

 実相寺アングルで異星人と交渉する場によく似合う。

 

「おじゃましまーす……」

「どうしてこういう光景を懐かしいって感じるんだろうな」

「不思議よね~。

 真面目にメタ的な嘘を全部抜いて、普通に2025年現在27歳で1998年生まれの令和人として考えても、何故かこういう昭和的な光景にノスタルジーを感じるのよね~」

「わかるぜ。三丁目の夕日とか、こち亀の両さん子ども時代の話とかな。

 俺達は昭和を知らない。

 極稀にテレビの中の映像で見るくらいだ」

「なのに実際に見た時にこみ上げるこの感情は懐かしさに他ならない。

 ありえないんだよ、この感情は。

 俺達の親がこんな光景を見ているにしても、記憶は次の世代に遺伝しない」

「ならもう、人間社会全体に刻み込まれた集合的無意識と考えるしかないわ~」

「人間が闇を怖がったり、蛇などの特定の生物を怖がるのは途方もない進化の歴史で脳にプリインストールされた情報だと納得するにしても、たかだか60年程度しかなかった時代の一瞬に懐かしさを重ねてしまうのは……」

「もはや民族の文化的記憶が世代をまたいで受け継がれていくとしか考えられないのよ~」

「親の記憶じゃない、社会の記憶かぁ……」

「オカルトです!」

「そうだオカルトだ。

 だが、そんなオカルトなら……あってもいい。

 僕はそう思うな」

「異世界の人達はなかなか面白い話をしてくれるね」


 くすくすと笑いつつラニアは茶の間の障子戸を締め、白熱電球からぶらさがった紐を引っ張った。

 その瞬間。がこんっ、と部屋全体が大きく揺れる。

 

「建付けが悪すぎやしないか!?」

「違う。この浮遊感は、エレベーターだ。

 まさか……」


 にやりと笑って振り向くラニア。

 彼女が改めて障子戸を開いた先にあったのは、目の眩むような最先端未来建築が地下深くへと伸びていく巨大ビルだった。

 

「異世界人諸君。

 ようこそ、ゼアス興産本社ビルへ」


 そこはまさに、異世界としか言いようがなかった。

 

「やっぱり比喩表現がうまく機能しないんだよなぁ……」

「あ、社長! 少しいいですか?」

「客人を待たせることになる。

 手短に頼むぞ。

 君たち、少し失礼する」


 駆け寄ってきたインテリオークと立ち話をはじめたラニアさんを背中に待っていると、先程のエレベーターの中から人工無能アイが現れた。

 

「それで、アイちゃんはなんでここに?」

「機材の納入と確認です」

「あぁ、ドワーフの行商な。

 また日本刀売ってるのか?」

「いえ、現在の主力生産商品はこれです」


 そう言ってふわりと浮かび上がったアイの背中の後ろに、白いボディに赤のラインが入った巨大ドラゴン型重機が降り立つ。

 

「量産型メカドラゴンVer1.2です」

挿絵(By みてみん)

「まじぃ?」

「ノアズアークでも使用されていたはずですが、見かけませんでしたか?」

「そういやちらっと見たような……機械天使だと思ってた……」


 アトラントローパ計画に伴う4つの問題。

 その1つ目がコストであった。

 中でも大規模な建築計画はとても人の手でのみで行えるものではなく、魔法の力を借りても難しい。

 そこで解決のために用いられた重機こそ、アーティン鉱山のドワーフ達が日夜生産を続ける量産型メカドラゴンだった。

 

『ハイホー! ハイホー! 金属が好きー!』

『博士親方ぁ!

 腕部用のストレートシャフトとベアリングが足りねぇ!』

『なければ作れ。

 それがイビピーヨだろう』

『ははっ! ちげぇねぇや!

 どれだけ用意すりゃいいかね』

『たくさんだ』

『あんた、この売上は騙されているんじゃないのかい?』

『わからん。3より大きい数字は理解できない』

『とりあえず全部酒と牛肉に変えてくれって言ったらキャラバンの商人が大騒ぎになったんだけれど』

『物を売るのが商人の仕事だろう。

 必ず納品させろ』

『当然そう言ってやったよ。

 私はドワーフの嫁だよ?』


「あの人達、まじで何やってんの?

 つーか、貯金しよう?」

「未来の概念がなければ貯蓄という概念も生まれない」

「なんだか未開の土地からオーパーツが量産されてるのもオカルトらしくていいじゃないの~」


 本当に文化の違いは恐ろしい。

 そして改めて、3より大きい数の概念なしにメカドラゴンとそのAIを開発してしまったボルジャーノ博士親方の常軌を逸した天才性が見えてしまった。

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいアイさん!

 私はこんなの許しませんよ!」

小娘キリヤさんに許される必要を感じませんが、何か問題がありましたか?」

「合体メカドラゴンです!

 合体メカドラゴンはどうしたんですか!?

 量産型なんて後回しでしょ!」


 ツッコミどころはそこなのだろうか。

 

「そもそも冷静に考えてください。

 メカドラゴンを強化改造するにしても、合体側でもう1体、それも人型のロボを作る意味などありません」

「意味はなくとも燃えはあります!

 というか、機龍王は完成してるじゃないですか!

 小学校校舎まで改造して!」

「何を言っているんですか?

 そもそも機体開発と小学校校舎改造の間に因果関係がありません。

 機龍王もまだ設計段階です。

 そもそも、何故博士の設計図面にしかない機龍王の名前を小娘が知っているのですか?」

「え? いやいや! だって私」


(パパンッ!)


「……今なんか音しました?」

「私のマイクは波長を感知していません。それで?」

「……あれ? なんの話でしたっけ?」

「博士親方達が神々から受け取った国家予算級の金額をすべて酒と牛肉に変えてしまったという話です。

 おかげで周辺の牛肉価格が高騰しています」

「あの人達、まじで何やってんの?

 つーか、貯金しよう?」

「未来の概念がなければ貯蓄という概念も生まれない」

「なんだか未開の土地からオーパーツが量産されてるのもオカルトらしくていいじゃないの~」


 本当に文化の違いは恐ろしい。

 そして改めて、3より大きい数の概念なしにメカドラゴンとそのAIを開発してしまったボルジャーノ博士親方の常軌を逸した天才性が見えてしまったのでぇ、あったとさ。(ベベンッ)


「ちょ、ちょっと待ってくださいアイさん!

 私はこんなの許しませんよ!」

小娘キリヤさんに許される必要を感じませんが、何か問題がありましたか?」


(……パッ)


「量産型メカドラゴンです!

 あれは建設重機として適していません!」


(……すっ)


「ふむ。理由を聞きましょう」

「これは師匠から教わったことです。

 かつて戦争の時代、世界最凶エルフ騎士団の1人が、魔法と騎士道を組み合わせ、さらなる強さを獲得しようと試みました。

 その騎士曰く」


『腕が2本じゃ剣が2本しか持てないが、腕が4本なら4本持てる!

 さらに背中に羽をつけ、10倍のジャンプ力、10倍の回転を実現すれば、俺の力は200倍に跳ね上がる!』


「なるほど。完璧な理論に聞こえます。

 その騎士がバカなことを除けば」

「そのとおりです。

 この騎士はバカでした。

 何故なら、人の脳は4本の腕を制御できず、本来存在しない部位である翼も制御できなかったからです。

 量産型メカドラゴンは人工知能搭載のスタンドアローンモデルではなく、人が操縦して操作する重機です。

 なら、その姿は人型にするべきです。

 でなければ直感的な操作ができません!」


 そのキリヤの理路整然とした理論展開に思わずヨッシーも舌を巻く。

 

「なるほど、確かにそのとおりだ。

 しかし、まさかキリヤさんの口からそんな的を射た開発理論が出るとはな。

 驚いたよ」

「あいつだってたまたまそういうことを思いつく時くらいある。

 ほら、進化論の説明でしてくれたろ?

 進化は下手な鉄砲も数打ちゃ当たるの突然変異で起きるって。

 あいつだって1万回くらい文句を言えば1回はまともなこと言うのさ」


 ここはおそらく今回の章の中で一番のホラーである。

 

「よって人が乗って制御する重機として開発し、ドワーフの高度な技術力があるならば!

 量産型メカドラゴンは、人型であるべきなのです!

 燃えとかそういう話じゃない、完全な合理的帰結ですっ!

 どやっ!」


 魂のどや顔でヨッシーに振り返るキリヤ。

 ヨッシーも素直に頷き、サダコ姉と共に拍手を返した。

 

「なるほど。しかしダメです」

「何故ですか!? ヨッシーさんもが認めるこの合理にどう反論できるのですか!?」

「それは……」

挿絵(By みてみん)

「……だってドラゴンがいいんだもん」


 これこそが人工無能!

 いとも容易く合理を否定する!

 故にアイはもはや1体のガイノイドではなく、1つの生命体なのである!

 ともあれ、これにはキリヤも開いた口が塞がらなくなり、アイへの好感度が急降下。

 ユウキとヨッシーも若干の下方修正をかけた。

 なお、サダコ姉の中では上昇した。


「しかし、それにしても量産型メカドラゴンの操作は簡単のようだな。

 スタンドアローンモデルではないとは言うが、操作補助に学習型AIが用意されているんじゃないのか?」

「そうなんか? それって危なくねーの?

 ほら、暴走して事故を起こしたりとか」

「暴走事故? 何を根拠にそんなことを。

 量産型メカドラゴンは安全です。

 その管理には自律式AIでも、私のような人工無能でもなく、神Y・H・W・Hによる洗礼を受けた新型OSが使用されています。

 量産型メカドラゴン使用による労働効率の上昇で、海上新都市パンゲア・アトランティスの工事は初期計画より26%前倒しで進行中です。

 アトラントローパ計画全体も順調に推移しています。

 都市博にも間に合いますので、どうかご安心を」


 なんだか物凄くデスノボリが上がったような気配がするし、異世界では都市博が開催されるらしい。

 おそらく青島がレースの実況をやっているのだろう。

挿絵(By みてみん)

R・・・サイト内のランキング

E・・・ブックマークや評価で伸びるスコア変数

F・・・作者が小説を更新する頻度


挿絵(By みてみん)

M・・・作者のモチベーション


更新持続率はMに比例する。

以上の公式より、さらに続きが読みたい場合はEの値を増やすことが有効に働くことが数学的に証明できる。

ブックマークと評価よろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

面白かった回に「いいね」を押すことで強化因子が加わり、学習が強化される(1903. Pavlov)


※いいね条件付が強化されると実験に使用しているゴールデンレトリバー(上写真)が賢くなります。

※過度な餌付けはご遠慮ください。


挿絵にはPixAI、Harukaを使用しています。

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