俺、妹もいたらしい
「えーと。ただいま」
「おかえりなさい。トコヤちゃん」
「おかえり、トコヤ」
マンションの一室。母親であるノリコさんがドアを開け迎え入れてくれる。中から姉のマヤも出てきて迎えてくれる。
俺は退院し、自宅へと戻ってきた。もちろん俺が知らない家ではあるが、トコヤの家だ。今後はここが自分の家なんだと、心のなかに刻み込む。
あれから病院に何度かお見舞いに来てくれたノリコさんや姉のマヤと何度か会話もした。俺はエピソード記憶や人物などについての記憶を失ったが常識や勉強などの生活に必要な記憶は残っているタイプの記憶喪失と診断された。二人はそんな俺に家族のこと、トコヤのことなど優しく話してくれた。
色々聞いてみたが、その中で特に気になった話がある。家族構成の話だ。まず、父親がいないらしい。トコヤが3才くらいの頃に病気でなくなってしまったらしい。それから8年。母親一人で家族3人を養っていたらしい。こんなに美人なのに3人もの子どもを養う。凄い女性だと思う。
そして、そう。栗村家には3人の子供がいるのだ。姉と俺以外にも一つ下の妹が一人いるのだ。一度お見舞いに連れてこられていたが、姉いわく普段はトコヤとは喧嘩ばかりであまり仲が良くなかったらしい。面倒そうにお見舞いに来て挨拶だけして会話はせず帰っってしまったので、どんな子なのかはよくわからなかった。名前はミツルと言うらしい。
男の子みたいな名前だが、見た目はすごく可愛らしい女の子だった。透としての俺にもアカリと言う妹がいた。アカリそれははすごく、凄っっごく可愛かった透の最愛の妹だった。だが、見た目の可愛さだけだと、ミツルちゃんも負けないくらいには可愛い女の子だった。
ミツルちゃんはTシャツに短パンと男の子のような活発そうな格好で、姉とは違い短めのショートヘア。綺麗な黒髪なのは母親譲りだろう。4年生のため胸などはまだストンだが、スラリと伸びた綺麗な足に整った顔立ち。眉が細いせいか小学生特有の芋っぽい感じもない、アイドルみたいな可愛い顔立ちをしていた。
トコヤとは仲が悪かったらしいが、今後はぜひ仲良くしたいものである。
ちなみに俺はロリコンではない。透の頃はシスコンである自覚はあったが、ロリコンではない。アカリのことを思い出し、泣きそうになってしまったが、ふと思いつく。アカリは今高校一年生、15才だ。そしてトコヤは小学生五年生、11 才だ。4歳差。今は血がつながっていない。
……会うと悲しくなりそうだから生前の家族に会うつもりはなかったが、アカリとはお近づきになりたいななどと言う邪念が浮かんでしまった。
閑話休題
俺は家の中へと入るとリビングには妹のミツルがいた。
「えーと。ただいま」
とりあえず挨拶をしてみる。
「……おかえり」
ミツルはボソりと呟くと自分の部屋と思われる部屋へと行ってしまった。仲良くなるのは先が長そうである。
「あの子ったら。まったくもう」
少し起こりながらノリコさんはミツルの部屋へ向かうと何やらお説教のような声が聞こえてくる。別に怒るほどのことではない気はするが、親の教育方針もあるだろうし、とりあえず気にしないことにして、マヤちゃんに話しかける。
「ねぇ、お姉ちゃん。俺の部屋とかってあるの?」
「トコヤの部屋?私の部屋と一緒だけどあるよ」
そうマヤちゃんが答えてくれる。何と、マヤちゃんと同じ部屋らしい。女子高生と同じ部屋で生活。ちょっと興奮してきた。
「あれ、でも普通は下の妹と弟が同じ部屋とかじゃないの?お姉ちゃんは一番大人なんだし」
疑問に思ったことを聞いてみる。
「最初はそうだったんだけどね。ミツルが嫌がっちゃってね」
「そうなんだ。それでお姉ちゃんと一緒なんだね。優しいお姉ちゃんと一緒なの嬉しいね!」
本心です。
「そ、そう?えへへ」
何故かマヤちゃんは嬉しそうだ。クールぽい見た目で照れ笑い。すごく可愛い。
「ミツルあんな態度ばっかりかもしれないけど、ミツルとも仲良くしあげてね」
「うん。妹も大事な家族だもんね もちろん。仲良くするよ」
少しマヤちゃんと話しているとノリコさんが戻って来る。とりあえず今日は退院祝いに出前を取り、少し豪華な夜ご飯を食べて、俺は部屋で休むことになった。
退院したとはいえ一応大怪我したばかりだからね。
……
今自室に案内され、俺は布団に横になっている。部屋には2つノ学習机と二組の布団。中々狭い。俺は問題ないが、高校生のマヤちゃんはこれで不満なかったのだろうか。思春期の女の子画年が離れているとはいえ弟と二人同じ部屋。布団も普通に並んで寝る感じみたいでプライベート0な感じだ。ちょっと申し訳ない気もするが、俺としては最高な状況。可愛い女子高生と同じ部屋、寝息が聞こえるだろうほどに近くでこれから毎日一緒に過ごせるのだ。トコヤ君には悪いが、心躍る。リトルトコヤくんもワッショイ、ワッショイしている。
そこでふと気づく。……小学生のコレってこんな小さかったっけ。もう一人で立ち上がれるようだが、親指くらいで可愛いサイズだ。帽子も脱げてはいないようだ。
大丈夫だよね?中学生位になればもうちょい大きくなるよね。
そんなどうでも良い心配をしつつ、布団の中で帽子を脱ぐのにチャレンジしながら時間は過ぎていくのだった。




