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第十二話・十数年越しで建造された超弩級巨大戦艦とメタルスーツの女刑事

 異世界宇宙を進む超異世界女型要塞【プルシャ】姉型に──平和な時が流れる夕暮れ時。


「平穏だなぁ、ピピの妹たちも最近は船内に現れないし」

 トロピカルな人工ビーチの白い砂浜で、ビーチチェアに座ったイケニエは、パラソルの下でトロピカルな飲み物を味わいながら。

 水着姿ではしゃいでいる、異世界人の女性たちを眺めていた。

 砂浜ではセンザンコウの皮鎧を着込んだハラミが、汗だくになりながら鉄板の上のバーベキューや海鮮を焼いていた。


 ビキニアーマー姿で砂浜に腰を下ろしている、仮想体プルシャが呟く。

「宇宙廃棄されていた宇宙戦艦を一隻、回収して本体の後方に、鎖で繋いで牽引航行していますが……あの宇宙戦艦どうしましょうか?」

 異世界の宇宙には、廃棄された宇宙船と。中古宇宙船販売目的で、空間に集められている宇宙船がある。

 うっかり、廃棄物だと思って販売目的の宇宙船を持ち去ると大変なコトになる。


「廃棄物だと確認した宇宙戦艦で、女型タイプに変形した時に片腕に装着可能なサイズの戦艦ですけれど……使い道はあるかしら?」


 海の方から、カミュと狂四郎が泳ぎもどってきた。

「この人工渚には、珍しい生き物が生息しているでござるな……先ほど『フジツボ・(がん)』が磯で生えているのを見たでござる、さらにウナギの成体に成長途中の『ウナギ・山芋(やまいも)』の幼体も見たでござる」


[フジツボ・(がん)、貝や植物から雁(鳥類の一種)が生まれてくる現象、異世界ではメジャーな動植物の一つ]


[ウナギ・山芋、川近くの土手に生えている山芋がウナギへと変わる動植物、そのまま半分山芋半分ウナギの状態で調理する]


 フンドシ姿の狂四郎と、メンズビキニ水着姿のカミュは、それぞれが遊泳中に捕獲した海洋生物を抱えたり背負ったりしていた。

 三葉虫のような生物を、浜に下ろしてカミュが言った。

「この人工ビーチの海は、実際には距離がないな壁に景色を映しているだけだ」


 平穏な時間──だが、それも船橋で待機しているパイからの緊急連絡で破られた。

『いきなりの跳躍航行で、前方に超巨大戦艦出現……船外映像をそちらへ送ります』

 人工ビーチの壁空に船外の宇宙空間が投影されて、漆黒の巨大宇宙戦艦があった。

 プルシャが牽引している廃棄宇宙戦艦の三倍くらいのサイズ、要塞プルシャと比べたら半分くらいのサイズの戦艦だった。


 船橋にいる、クーの声が聞こえてきた。

『戦艦の紋章は、あの独裁惑星の紋章だぜ……噂では宇宙侵略に向けた、前進基地になる弩級巨大戦艦を建造しているって話しだったから、ついに完成したのか』


 立ち上がったプルシャが、パイとクーに向けて言った。

「パイ、クー、念のために第一級戦闘態勢に移行……人工ビーチに攻撃補助装置を……すみません、船長のメリノさんを差し置いて戦闘態勢指示を出してしまって」

 イカのような生物を焼いたモノを食べながら、特攻服姿のメリノが言った。

「気にするな、宇宙の喧嘩はプルシャの方が慣れている、アタイが必要なタイマン勝負の時には参戦させてもらうから」

 砂浜の下から台つきの音ゲー大型筐体(きょうたい)のようなモノが出てきた。

 プルシャが水着姿のリズムに言った。

「リズムさん、また爆裂魔法をミラクルタキオン粒子ビームに乗せる準備を……」


 プルシャの言葉が終わる前に、漆黒の弩級戦艦の画面が乱れて変わり。

 マント姿のテンプレ的な独裁者が現れたか。

 独裁惑星の独裁者が、聞いてもいないのに高笑いをして勝手に自己紹介をはじめる。

『わはははっ、この宇宙は血の一滴、肉の一片までも。わたしのモノだ! 歳月をかけて完成したこの弩級(どきゅう)超巨大戦艦で、これから宇宙侵略支配に乗り出す……手はじめに、目の前に浮かぶ要塞船を破壊してやる……わはははっ、この戦艦に命名するのはその後だ』

 自称、独裁者の調子に乗った自己紹介は続く。


『わたしは神だぁ! わたしに宇宙の愚民どもは平伏すのだ……わたしの名前は……』

 その時──独裁者の言葉を遮るように、星型の小型艇がどこからか飛んできて、弩級超巨大戦艦に突き刺さった。

 星型の小型艇からの映像が、プルシャの方にも流れ込んでいた。

 画面にはメタルスーツを着込んで、顔をメタルマスクで隠した人物が女性声で言った。

『言わせないよ……宇宙征服を企む、悪党の独裁者に名乗らせる名前はない!』

 ポーズを決めている謎のメタル人物を見て、カミュが苦笑いをしながら言った。

「まったく、次から次へと速い展開だな」


 悪党の独裁者よりも先に、メタルスーツの人物が名乗る。

「祖父の代から、侵略用の弩級戦艦が完成して、宇宙に出てくるのを監視していた。わたしの名前は女宇宙刑事【スター・アニス】悪党は砕いて星屑(ほしくず)だ」

 スター・アニスが小型艇から出てきて、星型小型艇の屋根に飛び乗ると、星型の小型艇は弩級超巨大戦艦から離脱した。


 自己紹介を妨害された独裁者は、怒り狂って怒鳴る。

『侵略ビームで撃ち落とせ! 撃って撃って撃ちまくれ!』

 侵略ビームが連続で超異世界女型要塞プルシャ姉型と、スター・アニスの星型小型艇に向けて発射される。

 アニスが立った星型の小型艇は、巧みにビームをかわし。

 超異世界要塞はピンポイントシールドで、侵略ビームを防ぐ。

 時々、クーの計算ミスで被弾しながら。


 調子に乗りまくりの独裁者が、高笑いをしながら言った。

『わはははっ、神に逆らう愚民のクズ鉄デカブツ要塞船! 落ちろ、落ちろ、落ちろぅ!』

 仮想体プルシャと、神殺しのカミュのこめかみにピキッと青筋が浮かぶ。

 両手の鉄拳を打ち合ってカミュが言った。

「こちらからビームを撃つ時には、オレの力を乗せてくれ……あの似非(えせ)神を名乗る野郎をブッ飛ばす」

「いいですよ、思いっきり、やっちゃってください」

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