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1-2

 しかし、二回目に王宮に呼ばれた時は全く雰囲気が違っていた。


 以前と同じ部屋に呼ばれ扉を開けると、そこには役人だけでなく、リュシアン様もいた。元気そうなその姿に、思わずほっと息を吐く。


 なぜかあの日のお茶会に参加していた令嬢たちも揃っていた。役人が口を開く前にリュシアン様がこちらを睨んで言う。


「ジスレーヌ、お前がそこまで愚かだとは思わなかった。毒を入れたのはお前だったんだな」


「え……っ?」


 思っても見なかった言葉に頭が真っ白になる。リュシアン様は私を疑っているのだろうか。一体どうして……。


 青ざめる私に、令嬢の一人が横から言う。


「何をとぼけているの。私、確かに見たわ。あなたがリュシアン様のカップに何か粉のようなものを入れているところを」


「私も見たわ! リュシアン様がオレリア様と少しの間席を立った時、わざわざリュシアン様の席に近づいてごそごそやっていたじゃない」


 そんな記憶はなかった。心当たりのようなものがあるとすれば、リュシアン様がオレリア様に、「持ってきたお花をぜひ見て欲しい」と言われて席を立ったときだろうか。


 オレリア様とは公爵家のご令嬢で、お茶会に集まっていた少女たちの中で一番身分が高い人だ。リュシアン様の従妹にあたる人であり、幼い頃から彼と仲がいいので私はちょっと複雑な気持ちを抱いている。


 ……それはともかく、お茶会ではリュシアン様とオレリア様が部屋の奥に飾ってある花を見に行く時間があった。


 数人の令嬢はそれに混じり、残りの令嬢たちもそれぞれご令嬢同士で話したりして、自由に過ごしていた。


 私もそのとき席を立って窓のそばに行ったりはしたが、リュシアン様の席のそばに行っていないし、もちろん毒を入れるなんてことはしていない。



 そんな危険なことをするわけがないじゃないか。


 部屋には何人も人がいるのに、誰にも見つからないように用意した毒をカップに入れるなんて無理がある。


 私は正直にそう説明するが、リュシアン様も令嬢たちも耳を貸してくれない。確かに見たという彼女たちが、時折目配せしあって、笑みを浮かべているのが見えた。



 ああ、仕組まれたんだと、確信した。


 数人が一緒になって同じ証言をし、私を陥れようとしているのだ。リュシアン様も彼女たちの言葉のほうを信じるんだ……。


 体から力が抜ける感覚がして、思わずしゃがみ込みそうになる。


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