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聖女から魔女に④
「……だとしても、聖女である私を、魔女だなんて言い出すかしら」
私の言葉に、アラキナが目を伏せた。
「そうよね。……短絡的だな、とは思ったんだけど、ベルのことが心配になって」
弱弱しくアラキナが笑う。
「……大丈夫よ。単なるうわさだわ。それに、真実は一つだもの」
私が言い含めるように告げると、ようやくアラキナが硬い表情をほどいた。
「そう、よね。私が心配しすぎなんだわ」
「アラキナは心配性だから。でも、心配してくれてありがとう。私は大丈夫よ」
私が微笑むと、アラキナが頷く。
「ところで、最近はウォーレスには会えてる?」
アラキナの質問に、私は目を伏せて、首を横にふる。
「忙しいみたいで」
「本当!?」
驚いた表情のアラキナは、次の瞬間、気まずそうな表情になる。
私も、アラキナのさっきの話を聞いて、ウォーレスが第一王女のそばを離れられない理由が何となくわかったから。