聖女から魔女に⑲
「魔王と手を組んだってこと?」
私は呆然とウォーレスの顔を見た。だけど、ウォーレスは真面目な顔でうなずいた。
「何か、問題がある?」
アラキナが首を傾げる。
「え、だって私たち、勇者と聖女なのに?」
私の言葉に、ウォーレスもアラキナも、噴き出す。
「魔女だって言い出した人に言われたくないわね。いい、ベル。あなたは魔女よ。だから、この国がどうなろうと、心配なんてしなくていいの」
「それとも、ベルは魔女だって言いながら、この国を救うつもりでいたのか?」
ウォーレスの言葉に、私は頷く。
「ウォーレスとアラキナが魔王退治をすると決めた時には、力を貸したいと思ってたの」
「その日は、未来永劫来ないだろうな。……もし、魔王がベルを害したら別だけど」
「ベルはどうしてもこの国を助けたいの?」
アラキナの言葉に、一瞬考えた後、私は首を振る。
「ウォーレスとアラキナを助けたいだけ。だから、二人が必要ないのなら、別にいいわ。だって、この国で私を信じてくれるのは、二人だけだもの」
私の返事に、ウォーレスとアラキナが頷く。
「じゃあ、行こう!」
ギュッとウォーレスに握られた手を、私は強く握りしめた。