14/21
聖女から魔女に⑭
ウォーレスとアラキナが、魔王を倒すときに、私の力はまた必要になる。
あのときは、止めを刺すことができなかったけど、今度こそ。
……私が生きていられるなら。
ううん。
何としても、生き延びて、今度こそは。
だから、私は死ぬわけにはいかない。
たとえ、王族が魔王の掌で踊らされているとしても。
問題は、聖なる力しかない私には、何も手だてがないってことだ。
魔女のような力があれば……。
そうか、魔女か。
私が魔女だと思われているのなら、それを逆手にとればいい。
今は私が聖女だと言い張っているから、どの人も魔女としての怖さよりも、魔女への怒りの方が強い。
だけどもし、私が魔女だと認めて、関わる人を脅したら?
きっと、誰もが恐れが強くなって、私に触れようとしなくなるかもしれない。
でも、もしかしたら、魔女としての処刑が早まるだけかもしれない。
一か八か。
でも、私にとれる方法なんて、他にはないから。