聖女から魔女に⑫
「ベル = シールドを牢へ」
王様の言葉に、絶望を感じる。
「ウォーレス! アラキナ!」
私の声に、二人は目をそらす。
それだけで、私は運命を悟る。
きっと、アラキナが私に話してくれた魔女の話は、実際王城で交わされる内容は、もっとひどい話になっていたのだと。
そうして、私は自分が知らないうちに、魔女として、排除の、憎悪の対象になってしまったのだと。
私は、大事な2人を巻き込みたくなくて、訴えるのをやめた。
もし二人が、私に同情的な行動を起こしたら、きっと、二人も罰を受けることになるだろう。
それほど、魔女は忌み嫌われているから。
100年前に現れた魔女は、王族のほとんどを虐殺した。そう言われている。
その魔女を、王族が許すわけがない。
「ウォーレス、これで目が覚めたでしょう? あのベルと言う人は、聖女の名を騙っていただけなのよ」
媚びるような第一王女の声に、私は吐き気を覚える。
何一つ真実はない。
私は魔女ではないし、本当に聖女なのだ。
それに、本当に私が魔女であったなら、いまここでその力を解き放って、この場にいる王族はすでに亡くなっているだろう。
わかることは、第一王女は魔王の掌で踊らされている。
ただそれだけだ。