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聖女から魔女に⑪

「私は、魔女ではありません!」

「この場にいる人間で、一番処刑されるのに困らない相手はギャレスだから、きっとギャレスを魔王だと言い始めるはずだと。本当にその通りになるとは、思いもよりませんでしたけど」


 私は否定したのに、第一王女は私の言葉を拾ってくれることはなかった。

 私は慌ててウォーレスを見る。


 だけど、ウォーレスは哀しそうな目で私を見ているだけだった。

 

 隣に跪いているアラキナは目を伏せたまま私を見てはくれなかった。


 ただでさえ気分が悪かったのに、私はめまいを起こしそうだった。


「私は、聖女です。この五芒星は、まごうことなき聖女の証。そう王様が認めてくださいました」


 私は掌に現れている、五芒星を見せる。


「そんなもの、いくらでも偽れます。エメリナ様、魔女の言葉に惑わされぬよう、お気を付けください! 100年前、魔女のために王族は滅びそうになっていたのです。今度こそ王族を根絶やしにしようと、魔女は再び現れたのです!」


 ギャレスと呼ばれた騎士が第一王女に告げると、第一王女はゆっくりと頷いた。


「邪悪なものに、私の魂は汚されることなどないわ。お父様、ベルはやはり、魔女だったのです」

「違います! 私は、聖女です! ウォーレス! アラキナ! 本当に私が聖女だと言って!」


 私の叫びが、広間に落ちる。

 だれも、その声を拾ってくれることはなかった。

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