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聖女から魔女に①
「ベル = シールドは、魔女らしい」
それが、このところ王都に広がっている噂だった。
当の本人である私が、その噂を耳にしたのは、ちょっとした偶然だった。
私の姿を目に入れた、噂をしていた人々は、気まずそうに私から目をそらした。
それでも、下らない、と笑って済ませられたのは、私が聖女であるとわかっているからだ。
その聖なる力で、勇者と共に魔王を倒した。
あの場では、確実に仕留めたはず、だった。
だから、私が聖女であることは間違いのないことだし、100年前にあった異能を持つ人間である魔女を排除する動きとは無関係だと、あの時までは思えていた。
そう、あの時までは。
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