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モブな勇者の英雄譚シリーズ

ウルフン行商記〜狼男なんで顔が怖いのは勘弁して下さい〜ジャンル異世界恋愛は無理でした。

作者: 塚原千草

知っている人はほとんどいないかも知れませんが【株式勇者】のウルフンのスピンオフです。ウルフンファンの方や、これからウルフンファンになるかも知れない方には必見の作品です。

本編を見たこと無くても大丈夫な内容ですので、宜しければ見て頂けると嬉しいです。


 ワイはウルフン。行商人しちょる狼男や。カッコ良く言うとワーウルフ。なんか響きがええやろ。


 世界を駆け巡って珍しい商品を仕入れて、それを必要とするお客様にお届けする。それがワイの仕事や。人間の商売人っつーたらぎょうさんおるけど、魔族の商売人はほとんどおらへん。だからワイはいつも大忙しや。


 え、モンスターに商品なんて必要あらへんって?そんな事ありまへん。モンスターが着ている服は誰が作っておるんや?人間やろ。

 モンスターはヌーディストばかりやあらへん。そんなのは変態や。ワイみたいに可愛い狼男だったら許されるかも知れんが、普通はR15になってしまう。ちなみに今日のワイはスーツ姿や。


 だいたい魔王軍の幹部が皆、裸で出て来たらヤバイで。どんなにカッコつけても、どんなに悪者ぶっても変態集団って言われちまうわ。


 ま、だから人間を支配して生活必需品を作らせるって奴らも多いんやが、それではずーっと平和にならへん。ワイは不便を平和的に解決したいんや。


 先日は、ある大迷宮の階層主に「ずっと暇だから時間潰しが出来る商品は何かないか?」って頼まれたんや。階層主はんは知的で紳士なモンスターはんや。それに相応しい商品は無いのか…わいは考えた。


 チェスや将棋のようなゲームはどうやろ?しかし相手がおらへん。一人で指しても虚しいだけや。ドミノなんかどうやろ?時間は無限にあるので、延々と楽しめる…


 勇者一行が迷宮に入るんや。するとドミノに足が当たってドミノが倒れだす。ビックリする勇者一行は倒れて行くドミノを追いかけて階層主の間にたどり着く。


 駄目や!!案内してどうするんや。


 うーむ……ピロリーン!!閃いた!!書物はどうやろ?知的な階層主はんにはピッタリや。ただ出来れば面倒くさいのは勘弁して欲しいんや。


「あの本が読みたい」とか「絶盤になった本を探してくれ」なんて言われたら時間とコストのバランスが悪くなってしまうんや。


「値上げすればええやん」って思うかも知れへんけど、値上げは最終手段や。安易な値上げは客離れを起こして信用を失う可能性があるんやで。


 供給が安定している物を定期購買して頂くのがベストや。新聞なんかどうやろ。配達はバイトのワーウルフに任せて、あの大迷宮なら20〜30人は買ってくれそうやな。ついでに必要な商品の御用聞きもすれば一石二鳥や。


 あの大迷宮はウルフン商会のシマや。誰にも渡さへんで。ただ単価が安すぎるのも問題やな。せや、セット販売したろ。一般新聞と経済新聞とスポーツ新聞の情報通セットや。さらに週間少年漫画雑誌をつけたスペシャルセットも販売や。


 ・

 ・

 ・


 ワイの目論見は大成功やった。モンスター達には週間少年漫画が大ヒットした。現金を持ってない奴らは下層階で鉱物採掘してお代を払う。ワイは奴らにスコップとピッケルを売って更に大儲けした。


 階層主はんはスポーツ新聞がお気に入りや。知的な雰囲気でゴシップネタを話すようになって、明るくなったと部下達から高評価らしい。


 情報の信頼性はかなり不安やが、ダンジョン内だけの話やから目をつむって欲しいんや。


 そろそろワイの商売の秘訣の話は終いや。え、ワイの喋り方がファンタジー世界に合わない?それにはワイの悲しい過去が関係してるんや…


 あれはワイが行商人デビューしたばかりの頃やった。ワイは吸血鬼はん達に頼まれて日焼け止めクリームを買いに人間の村に行ったんや・・・


 ちなみにワイは人間には変身出来ないタイプの狼男なんや。


 1日目。


「きゃーっ!!」

「狼男が来たぞーっ!!」

 大騒ぎする村人達。


「違うんだ。俺は日焼け止めクリームを買いに来ただけなんだ。」


「嘘付けーっ!!毛むくじゃらで塗る場所なんてないじゃないか!!」

「助けてーっ」

「顔が怖いんだよ!!」

 村人達は一目散に逃げだした。


「いや、お客様に頼まれて買いに来たんだ。誰か!誰か!日焼け止めクリームを売ってくれーっ…」

 ワイは一人取り残されてしまったんや。


 ワイは考えた。一度帰って対策を練るしかないと。顔が怖いなら見せなければええんや。


 2日目。


「きゃーっ」

「変質者が出たぞーっ!!」

「助けてーっ!!」


「違う、違うんだ。俺は日焼け止めクリームを買いに来たんだ。それだけなんだ。」


「覆面してる狼男ってヤバイだろ。」

「この前より怖い〜っ」

 村人達は一目散に逃げだした。


「誰か!誰か!日焼け止めクリームを、日焼け止めクリームを売ってくれーっ…」

 ワイはまたしても一人取り残されてしまったんや。


 ワイは考えた。次こそは日焼け止めクリームを買えないと、吸血鬼はん達の夏休みに間に合わない。全てを変える必要がある。覚悟を決めたんや。



 3日目


「ウルウルウルウル、ウルフーン!ウルウルウルウル、ウルフーン!」ワイは大きな声で鼻歌を歌いながらスキップして村に近づいていった。


 今日のワイの格好は、シルクハットにステッキにスーツでビッシリ決めた。100%紳士や。一部の隙も無いで。更に左手にはお守りを持っているんやで。


「さー皆様。ワイが買い物に来たでーっ」

 なんだなんだと村人が集まってくる。


 ワイは左手を上に掲げながら、クルクルと回転したりスキップしたり、踊ったりしたんや。


 みんなワイに注目や。目が離せへん。そして遂に向こうから話しかけて来たんや。


「狼男さん。儂から日焼け止めを買ってくれんかの?」


「いや俺から買ってくれよ。」

「駄目、あたいの日焼け止めを買って欲しいの」

「いや、僕の」

「違う、俺のだ!!」

「駄目よ、私のよ」

 ・

 ・

 ・


 みんな手の平返しでワイに買って欲しいとお願いして来たんや。ワイの踊りの魅力はとてつもないで。


 名付けて、金の延べ棒ダンスや。


 金の延べ棒を上に掲げて踊るんや。みんなが目を輝かせてワイに注目する。恥ずかしいんやで。


 えっ、金の延べ棒と日焼け止めクリームを交換したのかって?


 そんなわけはあらへん。これは見せ金や。競争させて安い価格を提示した人達から買ったんや。まぁ、今後のお付き合いを考えて、少し相場より高めに買ってあげたんやで。ちなみに吸血鬼はん達には更に高めで売ってあげたんや。これでみんなハッピーや。


 普通より高く買ってもらった村人たち。自分達では仕入れる事が出来ない商品を仕入れた吸血鬼達。仕入れルートを確保して、お客様に満足して頂いて、充分な利益を確保したワイ。そしてワイのダンスを遠くから見ていた後の嫁さん。


光り輝くワイの姿に一目惚れしたらしいんや。ワイは

狼男なのに行商人をしちょる変わりもんって言われるけど、そんなワイをしっかりと支えてくれる良く出来てた嫁はんなんやで。


恋愛話をせいと言われて来たんやけど、ワイはシャイやからこれが限界なんや。


あとワイの本質はツッコミ役やからボケ役の相方がいないと辛いんや、ワイの鋭いツッコミが気になる人は、株式勇者の本編を見てくれると嬉しいんやで。


それでは落ちが無くてすまへんけど、シーユーアゲインなんやで。ほな、さいなら。






ごめんなさい。ウルフン行商記で異世界恋愛は無理でした。タイトル詐欺になるのでコメディ登録させて頂きました。誠に申し訳ありません。

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