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その9

〜元侯爵令嬢の活躍〜


 この人を奴隷商で見た瞬間に、ビビってきたの。痩せ細っていて、髪は艶もないし、肌はがさがさだし、爪も汚いし、『ザ奴隷』って感じだったのに、なぜかビビってきたの。


 パパがその日三十人くらい奴隷を買うって言ってたから、私はその人をおねだりしたわ。

 パパは私のおねだりならほぼ聞いてくれる。私も作戦としてあまりおねだりはしないようにしてる。服もアクセサリーも興味ないからおねだりする物もないんだけど。


 その奴隷クラウスは私の専属秘書にしたのよ。家族には「まず、ちゃんとした生活させて様子をみてからにしたら?」って言われたけど。

 大丈夫! この人、絶対当たりだからって言い切った。


 クラウスにちゃんとご飯食べさせてちゃんと磨いたら、まさに私の理想の外見になったわぁ。その頃になってやっと内面を見せてきて、内面もすんごく好みだったの。

 真面目で紳士で優しくて知性も知識もあるクラウス。剣の扱いも護衛並みだったなんて奇跡のような人だわ。

 専属秘書にして半年くらいで出自を話してくれたわ。となりの大陸の内乱で国が滅びた公爵子息だった。これを知ってるのは私の家族だけ。


 クラウスが私の秘書になって一年と少しのころ、例の夜会の事件が起こったの。こちらから断りに行ったから、ちょうどいいからアホ王子とは別れたわ。でも、ちゃんとあちらが悪いって言質はとったからね。あとは、パパとお兄ちゃんたちにお任せね。


 私とクラウスは次の日には、港町マレドに来ていた。それから二年、私たちはおじいちゃまの船で世界中を見に行ったの。私の知らないことがたくさんあって楽しかったわ。私は人はもっと楽しんでもいいんじゃないかなって感じたの。


 マレドに帰ってきたときに家族にクラウスと結婚すると『報告』したわ。パパが結婚祝いで何でもくれるっていうから、トルエバ王国と多額の融資金をもらうことにしたの。

 長男お兄ちゃんからはトルエバ駅の復権、次男お兄ちゃんからは優秀なメイド五十人、四男お兄ちゃんからは観光用の船二隻を結婚祝いでもらったの。三男お兄ちゃんにはそういうの期待してない。


 長男お兄ちゃんには通行税は取らないで他と同じ料金にしてもらったのよ。それでも人数を運べれば採算は合うはず。人を呼べる町作りが必要ね。


 まずは駅をお菓子の城風にしたわ。これは、パパの夢アイディアね。とってもかわいいの。外観はもちろん、中のお店もお菓子屋さんを充実させたし、切符はチョコレートの香りをつけた。わざわざ駅を見るために遠回りしてくれる人もいるくらい有名になったわ。


 次は、城下町をオモチャ箱みたいなカラフルな町並みにしたの。町を歩くだけでワクワクするように。町並みを変えると、住民の動きも変わるのよ。殺伐とした雰囲気から、楽しく笑いの絶えない町になったわ。貴族屋敷はそのままにして、いくつかを高級ホテルにしたわ。次男お兄ちゃんからもらったメイドさんたちは、すごく評判がよかったの。


 残りの貴族屋敷は、メイドと執事の学校にしたの。二年かけて、マナーや接客を学んでもらうのよ。卒業したら五年この町で働けば、学費は無料! 毎年応募が殺到よ。

 料理学校も同じように始めたわ。王宮料理をはじめ世界中の料理本を詰め込んだ図書室はきっと世界一ね。四男お兄ちゃんに集めてもらったの。


 四男お兄ちゃんからもらった船を湖で走らせて、湖一周観光船にしたの。この船も見た目だけ、豪華なお城風にしたのよ。それなら乗るだけでワクワクしそうでしょう。湖畔には小さな手こぎボート乗り場も作ったわ。パパの夢アイディアに出てくる大きな鳥の船は開発が難しかったみたい。鳥にはできなかったけど、自転車風にはできたから、手こぎボートの扱いが難しい人も安心して遊んでもらえたわ。

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