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その5

〜侯爵の回想〜


 俺はエミリオ・ソラナス、転生者だ。

 思い出したのは五歳の時だ。オヤジが眠気覚ましに噛んでいたものに興味を持ってマネしてみたら、強烈に辛くて目がチカチカして倒れた。五歳までの記憶はその事件しかない。あとは忘れたのか、俺の記憶に上書きされたのかはわからない。


 前世の俺は交通事故死だった。テンプレでは二十歳の俺とかいうんだろうな。でも俺は七十歳だった。七十歳のバリバリバイク野郎で楽しんで生きていたのだが、信号無視野郎のせいで死んじまった。

 

 七十歳の俺は、絶対に五歳児になれない自信があった。だから、俺より若いオヤジに転生しちまったことを話した。五歳児らしからぬしゃべりにすぐに信じてもらえた。俺のことを知っているのは、オヤジとおふくろと執事のフィドルだけにしておくことにした。


 オヤジは大陸の南にあるマレドという町で商船を二隻持つなかなかの金持ちだった。


 マレドはいまや自治都市でオヤジは区長の一人だ。と、これは後の話。


 俺には五歳までの記憶がないし五歳児の知識なんてクソみたいなものだから、俺はオヤジにこの世界のことを勉強させてほしいと頼んだ。オヤジはフィドルを俺の家庭教師にして自分はフィドルの弟子を執事にした。


 フィドルにした俺の最初の質問。それは!


「この世界って魔法ある?」


 冷静なフィドルは顔色を変えない。


「ございません」


「嘘だろー! 転生イコール魔法だろー!」


 フィドルは俺の質問にほとんど答えてくれた。


 ところでその頃この世界の飯はクソ不味かった。俺は三日でギブだった。

 

 そこで思い出したのは記憶を戻した原因の眠気覚ましだ。それをオヤジに見せてもらったらやっぱり胡椒だった。


 オヤジに使い方を説明して実際料理人に作ってもらった飯は、少しはマシになった。俺以外のヤツにとっては衝撃的なうまさだったらしく、オヤジはこれをメインの商売にして爆発的に金持ちになった。


 七歳になるころには必要なことは知れたから勉強はしなくなった。フィドルは俺の専属秘書にした。フィドルの頭はお茶を入れるために使うものではない。


 その頃には、オヤジはどこにでも俺を連れていった。おかげでサトウキビと石灰石を見つけることができた。もちろんオヤジにも商売になりそうなことは教えたぜ。

 

 九歳になった時、オヤジに奴隷を二十人買ってもらい、そいつらを連れてマレドよりも北の未開拓地へと行った。

 オヤジをさんざん説得して、金をすごく出してもらって、奴隷たちに待遇のいい仕事にしてやった。オヤジにはいい鍛冶屋を探してもらい農具の開発もした。奴隷たちには始めは草刈りや石拾いをやらせて、いい職場だと思わせてから農具を持たせた。初めから農具を持たせて反乱されたら怖いからな。働く分だけ待遇をよくしていったので、奴隷たちは本当によく働いてくれた。


 こうして、俺はめちゃくちゃデカイサトウキビ畑と、砂糖工場を三年で作り上げた。あと、デカイ畑も作って小麦畑にした。


 え?


 なんでサトウキビ作り知っているかって? サトウキビを砂糖にするのに石灰必要って知っているかって? 畑を育てるのに石灰いいよとか、知ってるかって? 農具を詳しいのはなぜかって?


 だって……


 俺、前世は田舎の農家だもん!


 え?


 バリバリのバイク野郎だよ! スーパーカブだけど。

 失礼だなっ!田舎にも信号はあるさっ。


 転生、テンプレ、これは孫娘と話をしたくて読んだ本の知識だよ。孫娘に借りたんだ。

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