その10
なんと言ってもメインは城!
初期は観光用にロープを張って見学メインにしたのよ。これならすぐにでもできたから。城の中を歩くなんて一般の人にはできないことだから、すぐに人気になったわ。
一年後、隠し通路ツアーを取り入れたのよ。執事がライトを持って案内していくの。これもパパの夢アイディアね。隠し通路は、いくつもあったから、何度も来て全部制覇するお客様までいたのよ。
さらに一年後、月に一回、夜会ツアーを取り入れてみたの。夜会といっても昼間にやるんだけどね。
軽食とドリンクと楽団を用意して、ドレスやタキシードをレンタルしたり、ホテルから馬車を出したり。お客様の人数が少ないときは、メイドと執事にお客様役をさせたわ。ポイントは、執事とメイドに王様王妃様の役をさせて、舞踏会開始の挨拶をさせること。リアル感が増すのよ。この辺は私は経験者だから楽勝!
城内の客室に数組泊まれるようにしたら、さらに人気がでたの。夕食は食堂で王宮ディナー、この時のドレスやタキシードもレンタルね。朝食はメイドがベッドサイドまで運ぶの。パパの夢アイディアでメイドや執事にはお客様を「旦那様」「奥様」「お嬢様」「お坊ちゃま」と呼ばせるようにしたわ。湖が見える部屋だけを使ったから景色は絶景! 夜会チケットは飛ぶように売れて、一年後のチケットも手に入らないくらいになったわ。
次男お兄ちゃんと相談して大陸の都市にダンス教室を開いたら、さらに夜会チケットが売れたから、月に三回にしたのよ。
お城の最上階貸し切り&夜会ツアーを始めたら、バカ高いお値段なのに、こちらも一年待ちになっちゃった。
みんな、貴族の義務とか政治とか領地経営とか面倒くさいから貴族になりたいわけじゃないけど、貴族の派手な部分に憧れはあるのよね。
さらに月に二回、一回に一組限定の結婚式ツアーは二年先まで予約が入ったの。
メイドや執事も百人を越えたわ。パパからの融資も利子をつけて返せた上に、私たちに多くの貯蓄になったわ。
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トルエバは、観光地として、大成功したわ。お客様が増えれば働く人も増える。私は、最初の頃は町に衛兵をたくさんおいたし、スラムは廃止したの。スラムの人たちは、次男お兄ちゃんにお願いしたら、仕事のある町をどんどん紹介してくれて、何人かは立派になって帰ってきて、商売を始めた人もいるくらい。
平民学校も作ったわ。私たちの私財を使ったのよ。平和な世界には、学が必要だって、パパが言ってたから。これは本当だった。読み書きができれば騙されたりしなくなるし、平和と争いについて教えれば、争いが減る。この子たちが大きくなったら、本当のいい町になるわね。
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トルエバは、いい町になったと思うわ。確かに長男お兄ちゃんに汽車を復権してもらったのは、大きい。
でも、長男お兄ちゃんが
「トルエバ王国が、この企画を出してきたら、汽車を止めなかったのにな」
と言ってくれたから、成功の秘訣は汽車だけじゃないと思っているのよ。
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三男お兄ちゃんから、突然、結婚祝いをもらえることになったの。もう七年も経つし、長女も五歳、長男も三歳になったけど。
新しい大陸で港に程近いところから、温泉が出たそうなのよ。
何それ!
パパの夢アイディアがまた実現できそうだわっ!
ありがたく、その辺りの開発権をもらったわよ。トルエバは長男お兄ちゃんから信用できる管理者をまわしてもらったの。この人も元奴隷なんだって。
家族で新しい大陸へと引っ越したわ。まだ何もない場所だけど、発展させてみせるからっ!
私が興味を持つのは観光娯楽よ。
毎日、楽しいわ!