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ACT.1 お金は人を盲目にするもんだ

「マジで今月ヤバいんですって!このままじゃ飢え死にします!」

「じゃ、飢え死にしなさい」

「酷っ!鬼ぃぃ!」


頼みの綱である先輩―翠川由希さん。

彼女は俺の一生のお願い(比喩じゃなくマジで)を軽く断ろうとしていらっしゃる!


長く腰まで伸ばした黒髪を弄りながら、

さらっと俺に対して死亡宣告をする貴方のその姿はカッコいいです。

クールビューティーという言葉は貴方のためにある言葉ではないか、と俺は思います。

その切れ長の冷たい目に射抜かれたら、間違いなく脱兎ごとく逃げ出していたでしょう。


今までの俺なら…。


ダマスカス!

あ、間違えた。だがしかし!


今回ばかりは引けない。

つか、引いたら死ぬ。



「マジでお願いします!五千円だけでも!プリーズホアミィ樋口さん!」

「どーしよっかなぁ」


おお!迷う姿もカッコいい!


…じゃない!

このまま押し切れ、俺!


「お願いします!何でも言う事聞きますから!」

「…言ったわね」


一瞬、強烈な悪寒が背中を走った。

先輩の目が、まるで面白い玩具を見つけたように輝いている。


あれ、何かヤバイ?

俺は先輩の中の何かを起動してしまったらしい。


でも、もう後には引けないぞ、篠井吉光!

ここ乗り切らなければ、わが身に明日はないのだ!



「い、言いました」

「じゃあねぇ…」


そう言って組んでいた足を俺の方へと、スッと伸ばした。


「この靴を舐めなさい」

「!!!??」



なんですとーーーー!!?

どうする俺!どうすのよ俺!

俺カード持ってないよ!

続きはwebでって、俺パソコン持ってないのよ!オダ○リさん!


「どうすんのよ。舐める?舐めない?」


ヤバイ。何か不機嫌になっていらっしゃる。

このままではお金が!樋口さんが!


どうする…。


冷静になれ俺。

プライドを捨てるか、命を捨てるか。


フッ、そんなの答えは決まっているじゃないか。



プライドなんて今の俺には必要ナッシング!

俺が求めてるのは樋口さん(Hな意味ではないよ)とカロリーなんだ!



俺は意を決して先輩を見た。


「ぅ…な、舐めます!」

「やだ、気持ち悪い」



本日二回目の、なんですとーーー!!?

これは喜んでいいのか?悲しむべきなのか?



「アンタの唾液でベタベタになった靴なんて履けるわけないじゃない」

「ご、ごもっとも」


自分でもそう思います。

唾液でベトベトの靴なんて、あぁ考えただけでも鳥肌が立つ。



あれ?

誰かが舐めること前提で話し進めてない?



「アンタがまさかそんなキャラだとはねぇ」

「いや、あのっ」


でも何か否定しづらい!

俺は一度肯定してしまっているし。



しかも話がどんどん逸れていく。


はっ!

これは先輩の策略ではないのか!?



「で、先輩お金―」

「チッ」

「先輩、舌打ちはもっと小さくしましょうよ」

「聞こえてなんぼのもんよ」



そうだ。忘れてはならない。

この人が鬼畜だと。



「お金―」

「え、何聞こえない」

「お金貸して下さい!!」


周りの痛い視線など知るもんか!



「もうホント、野口さんでもいいですから」

「まったく、それじゃ」

「お金貸してくれるん―」

「だから、ヤダって言ったじゃん」


もはや俺を待っているのはバットエンドで確定らしい。

あ、また目から塩水が…。


しかし、先輩は「だけど」と続けた。



「バイト紹介してあげる」



あれぇ?話が違―



「学費とか生活費とか払えるぐらいの日給でるわよ」

「やります!やらせてください!」



とうとう女神が俺に微笑んでくれた!

これで腹の虫とも言い争わないですむ日々が来る!



この瞬間、恐らく俺は世界で一番浮かれた男になったいたのだろう。

この鬼畜な先輩を完全に信用してしまうぐらいに。



to be continued...

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