8 黒姫の思いそして……白姫もなの?
黒姫のMPも回復し、ウインドウォールが使えたので、白姫には、頑張ってもらった。景色が、高速で移動する。地上の景色が、滅びの森に変わる……。
「黒姫、森の中に小屋がある場所を知っているか?」
「道標の小屋か? そこなら分かる」
「滅びの森に、小屋はそれだけ」
黒姫は、小屋の存在を知っていた。滅びの森で狩りをする、ハンター達の間では、有名らしい。魔物が多く出没する、この森で拠点となる建物を建設しようと、数々のハンター達が、挑戦したが、い
つも魔物の襲撃に会い、失敗していた。
そこに、忽然と小屋が現れたのだ、もう十年以上前の話だが、結界でおおわれた、その小屋には誰も近づくことは、出来なかった。
一部の関係者を除いてだが……。
ハンター達は、拠点としては使えない小屋ではあったが、滅びの森において、目印となる建物をいつからか、道標の小屋と呼称していた。ハンター達は、道に迷うと小屋を目指し位置を確認する。小
屋から、まっすぐ西に行けば森を抜けられる。この小屋が建ってからは、遭難による行方不明が大分減った。
俺達は、小屋の近くに降りると、回りを確認する。
結界は、そのまま機能しているみたいだ。俺が小屋を出ても消えないのか? 俺が先に小屋の中へ入った。念のため、待機してもらっていた黒姫を呼んだが、小屋に近づこうとした時、バチバチっと
音がして近づけなかった。
俺しか入れないのかな? 悩んでいると白姫が、飛び掛かってきた、その勢い押されて小屋の中へ転がる。
「イタタた。白姫どうしたの?」
「小屋に入れた」
「バウバウ……(クルルに触れてれば入れると思ったのワン)」
「そっか、サンキュウ白姫」
ん? 小屋に入れた理由を白姫がしゃべったよ! 俺は、白姫をじっと見つめた。
「見つめちゃいやワン」
「黒姫、今の聞いた?白姫が」
「バウバウって吠えてたね。なんか照れてるみたい」
「バウバウじゃなくてさ、見つめちゃいやワンって」
「クルル……疲れたのか?」
どうも黒姫には、聞こえないようだ、聞こえはしないけど、黒姫は、白姫の言葉が理解できてるみたいだ。俺は、試しに白姫の耳元で呟いた。
「バウ……(分かったワン)」
「バウバウ……?(黒姫、お腹空いてる? )」
「ん? 空いてない」
黒姫って、すごいのな〜。あらためて、彼女のすごさを感じた俺。しかし、なんで急に白姫の、話す言葉が理解できたんだろう。
悩む俺に……。
「バウバウ……(あのですワン)」
「ああ、その、なんだ白姫。もう最初のバウバウは、いらないよ」
「分かったワン。あのね私が思うワンに、クルルのスキルが関係してるワン」
「白姫、俺のスキルが分かるの?」
「これでも私はワン、聖獣ワン」
白姫が聖獣ってのは、黒姫から聞いて知ってたが、俺ですら、まだスキルの事を分かってないのに……。
「で、それってどういう意味なの?」
「そのままの意味ワン。クルルのスキルの事を全部分かる訳じゃな
いワン。ただ、クルルから、真神様の力を感じるワン。御神犬様とか、まかみ様とも呼ばれているワン」
白姫の話しだと、狼の神格化した神様との事だ。俺が、選んだというか、手にとって選んでしまった謎のスキル、『八百万の加護』の力なのか……。
「白姫とばかり、話してる」
「そんな事ない。」
「黒姫ったら焼きもちだワン」
「焼いてない」
黒姫にも、加護があるのか? まあそれは、さておき。
「黒姫、白姫、話があるんだ」
「聞く」
「聞くワン」
俺は……ここまで、何も言わず、聞かずに着いきてくれた二人に、全部話そうと思っていた……。
「ここは俺が、眠りの呪いをかけられて、幽閉されていた小屋なんだ」
それから、俺とクルルの話を始めた。
黒姫と白姫に、隠し事をするのが、嫌だった。全部話した。49の異世界の事、俺の事、リリーノとクルルの事、東の魔法協会の事、テラスの事、俺のスキルの事。
全部話した時には、大分時間がたっていた。
「あの……いや」
全部話した。隠していた訳じゃ無いが、結界的には巻き込んだ。
怒ってるだろうな。
「今まで、すみません。ありがとうございました」
これ以上、巻き込めない。
「後は、俺ひ」
「約束した」
「約束ワン」
黒姫、白姫に言葉を遮られた。
「それは、黙っていなくなるな……だよ」
「違う。いなくなるなだ……」
「だワン……」
「……ありがとう」
俺は、二人と抱き合った。短い間だったが色々あった、絆を感じた。
「クルル。確認」
「ん? どした黒姫?」
「今、クルルは何歳なの?」
「魂は28歳だけど、この体は23歳みたいだから。23歳かな、呪いの影響でまだ、本来の大きさに成長してないけどね」
「…………」
黒姫は、その後黙ってしまった。顔を真っ赤にして、白姫の後ろに隠れている。
「どうしたの?」
声をかけても、返事がない。
…………。
「乙女だワン。すこし、そっとしてだワン」
? だが、仕方がない。もう外は真っ暗だし、今日はここに泊まるしかない。
食事の準備をする。黒姫が、移動の合間に干し肉を作ってくれたので、それを食べる事にする。干し肉を持って行ったが、黒姫はまだ白姫の後ろで、うずくまっていた。
「黒姫。熱でもあるのか?」
俺が、そっと額に手をあてると。
「きゃん」
と悲鳴をあげて、固まってしまった。どうしたものかと、悩んでいるが白姫も黙っている。
俺は、魔法具を床に並べてみたり、磨いてみたりと、時間を潰していた。
色々調べたかったが、黒姫と白姫の協力が必用だったし。でも、なぜだか嫌な空気ではなかった。少し、甘酸っぱい感じで……のんびりした感じだった。
黒姫が怒っている訳じゃないと感じられたからだ……。
「せ、せきにん……」
「ん? なに?」
突然真っ赤な顔で、黒姫が近づいて来て言った。
「クルル、せきにん、とる」
「せきにん? 責任?」
白姫が、そっと俺の耳元に近づいた。
「クルル。未婚女性の裸を見るってね。この世界では、お嫁にもらう責任が伴うワン。もちろん、女性には、もちろん拒否権があるワン。知らなかったとか、乙女心傷つけないでワン。黒姫は、恥ずか
しの我慢して言ってるワン。クルルを大好きだワン。私も同じだワン。私も裸を見られたワン」
「白姫って、いつも服着てないじゃんか」
「水浴びの時は、別バ裸ワン。それより、黒姫が待ってるワン」
俺は、黒姫を見た。クールビューティーで恥ずかしがりや……俺の事、弟のように大切にしてくれ……時に、年下のように泣き虫で……焼きもちやきで……。俺だって黒姫が大好きだ。
でも、突然、魂が抜けたら……。ここにずっといられるのか?
大切だからこそ、責任……。でも黒姫だって、そんなの分かってるはずだ。
これ以上、彼女を待たせてはいけない。俺も……男だ。
「黒姫。俺、黒姫が大好きだ。俺のお嫁さんになって下さい」
「はい」
「やったワン。黒姫頑張ったワン。私も、もれなくだワン」
「えっと……はい喜んで二人を……迎えます……」
「白姫とは一心同体……クルル……私達を選んでくれて……ありがとう」
「大好きなクルルには、見せるワン」
白姫の体が霧状に変化した……その後には、少女が立っている。
黒姫とそっくりだ。
髪と犬耳、尻尾が白い以外は。まるで双子だ。
「私達は、姉妹なの。同じ……はは様から生まれた……双子」
「双子……」
「照れてるワン」
黒姫は、今の姿で生まれた。白姫は、聖獣の姿で生まれた。生まれた時は、魔物でないかと疑われもしたらしい。が、お袋さんが、二人は自分が産んだ姉妹だから、と分け隔てなく育ててくれ
たそうだ。
獣人族は、半獣人であっても成長が早い。半年も経つと、二人は小学生くらいに育つ。
黒姫は、村のみんなからも、可愛がられたみたいが白姫は、白い
犬としての扱いだったそうだ、村人は挨拶はするが近づいたりはしない。みんな怖いものを見る目だった。
村人にも、黒姫と白姫が姉妹である事は伝わっていたのだが……。
いつしか、警護の怖そうな犬という周知になっていた。
「白姫……」
「大丈夫ワン」
二人が、1歳の誕生日を迎えた時だった。人間だと17歳ぐらいだ。高校生の二人かぁ〜。
きっと美しく、可愛いかったであろう。
「クルル、鼻の下のびてる」
「のびてるワン」
中庭で、二人が遊んでいると、白姫が転んでしまったらしい。その拍子に、変化したらしく、少女の姿になっていた。黒姫もビックリしたが、白姫が変化したのを理解するのに、時間はかからず、
遊んだらしい。
そろそろ、部屋に戻ろうと思ったが、白姫が元に戻れずにいた。困った二人は、お袋さんを呼んできたそうだ。
連れて来たとき、別にビックリもせずに、やはりという顔で、ニコニコしていたらしい。だが、白姫自信がコントロールしない事には、戻れないそうで。しばらくは、そのままで暮らす事にしたそう
だ。
「こほん。聞いていいかな? 変化して半獣人になると裸なの?」
「そうだワン。服までは変化できないワン」
「そっか。黒姫、予備の服ないのか? 白姫が、ずっと裸なのは困るが」
「白姫用の服ある」
「早く、着せてくれ」
服を着た白姫……可愛いいな。
二人が並ぶと、黒と白のくの一みたいだ。黒姫は、黒色。白姫は、白色。忍者の様な、くの一の様な、格好だ。ミニスカ仕様も眩しかった。
話は戻る……。
その日は二人の誕生日。友達を呼んで、誕生会をする事になっていた。
街で用意された会場で、ご馳走を食べたり、歌ったりと楽しく過ごしていた、白姫も初めて村人と、楽しく過ごせた日だった。
追加の飲み物を運ぶ時に、事件は起きた。白姫は、ごきげんで手伝いをかってでた、お盆にのった飲み物を運ぶ、慣れない動きに、白姫は、転んでしまったのだ。
そして……元の聖獣の姿に戻った。
「キャー! ヒー!」
一瞬会場はパニックになったが、いつもの聖獣の白姫だと分かると、騒ぎはすぐ収まった。が、空気は一辺した。みんな怖々とした表情だ。
白姫は、用事があると言い残し、先に帰ったそうだ。それ以来、黒色と二人の時以外は、絶対に半獣人の姿は、見せないそうだ。
二人の時でも、滅多に見せないらしい。
「白姫……辛かったんだね」
俺は、白姫の頭を撫でた。
「平気だワン。はは様に言われたワン。いつか、ありのままの私を好きになってくれるワン。その人を見つけたらワン。アタックしなさいワン。って言われたワン」
「はは様らしい」
「クルルは、聖獣の私を嫌がらなかったワン。モフモフしてくれた
ワン。好きってことワン」
間違いないではないが。黒姫はどうなんだろ?
「黒姫……白姫……二人一緒にお嫁さんでも……いいのかな?」
「問題ない、クルルは貴族だ。この世界では常識だ。今後も増える場合は……焼きもちは……焼かせて欲しい」
「私もワン。焼くワン」
二人とも可愛いくて、抱き締めてしまった。
「クルル。嫁様は100人までにして……ほしい」
「そんなに、迎えられません」
その後は……。
三人で、お互いの子供の頃の話をして、寝てしまった……。
「残念でした、まだ未婚ですので」
「クルル? 誰と話してる?」
「ワン?」




