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68 夢
「……知ってる天井」
目が覚めると知っている天井だった。
「あら、ユウマ! 起こしちゃったかしら?」
「あっ、いや。大丈夫だよ」
病院を退院してから……自宅で静養中の俺。
「そう。ならよかったわ。あなた病院で目が覚めてからも、少し混乱してるみたいだったから……まあ、無理もないわね。あれだけのバイク事故だったんですもの」
そう言って母が水差しを俺の口に持ってくる。
「そっか、なんだろう長い間……夢を見ていたらしいや。でも覚えてないけどね」
「無理はしないでね」
「ああ、ありがとう」
そう……それは夢。
夢……。
すべては夢だった。
第一部 完
ありがとうございました




