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58 フリフリ

「がはははははー、よくやったぞベルゼバブよ」

 クルルの心臓を貫いたベルゼバブが、蝿の姿に変化してサタンの

傍を飛んでいる。

「このまま、残りも殲滅するぞ」

「はい、サタン様」

 クルルの傍で泣きわめく黒姫と、なんとかして回復さそようとし

て人白姫の姿で抱きついている二人には、高速で飛んで来る黒い蝿

に気がついていなかった。

 ブーン――――――――「死ね」二人に接近したベルゼバブが姿

を人形に変えると拳を突きだした。

 ガツン! グワワワアン――――ボキッ「ぐゎああああ」ベルゼ

バブが右の拳を庇うようにして倒れこんだ。

「危ないとこだったわね」

「ヴィヴィアン!」

「説明は後よ、白姫ちゃんエクスカリバーを使いなさい」

「なっ、なんだワン……あんたなんか信じないワンよ」

「くくくくっ、ヴィヴィアンか? お前には色々と手伝ってもらっ

て感謝してるぞ」

「な、なにが感謝よ! この嘘つきゲス野郎、よくも女神である私

を騙してくれましたわね」

 ヴィヴィアンの髪が怒りで四方に広がっている。


「ふん、我輩は悪魔だからな、くくっ。騙されるお前が悪いんだよ、

アホ女神が」

「うっううう、お黙りなさい! なにが、いつまでも四大神にエク

スキャリントを任せておけないですって! しかも悪魔の分際で私

が崇拝するダナ様にも近づこうとしてましたわね……私を利用して

……シヴァ神と偽ってまで、くっ悔しいですわ、許せませんわ」

「心地いいぞ、素晴らしく心地いいぞおおおおおおお!」

 サタンが感極まって両手を天に向けると「グオー」雄叫びをあげ

た……背中から禍々しい程のオーラを纏った翼がはえた! ぶわっ

と浮き上がるとヴィヴィアンめがけてサタンが突っ込んでくる。

「アマテラスを岩戸隠れさせてくれた礼だ! 死ねよヴィヴィアン」

 ドゴゴゴ――――――――バキッゴキゴキ「くっ……てめえらは

!」キュインキュインキュイン――――ドスドスドスドスドスドス

ドスドスドスドス。

「オリヒメ! 手を緩めるな、ユウに手をかけるなんて……絶対に

許さない。ミカエル、ラファエル、ガブリエルよ、よくぞ防いだ。

サタンの拳を光の盾で止めるなんて……立派になったね」

 白兎がミカエルに、白蛇がラファエルに、白梟がガブリエルの姿

に戻りサタンの攻撃からヴィヴィアン達を守ったのだった。

「白ちゃん、ユウはそのぐらいじゃ死なないから大丈夫! 慌てず

にエクスカリバーからアメールレインをユウに射って。ヴィヴィア

ン、あなたは白ちゃんに力を貸しなさいよ」

「れっ霊峰富士の神様……かしこまりましたですわ」


「白、ヴィヴィアン様、急いで!」

 ミーコからの大丈夫を聞いて少しだけ落ち着きを取り戻した黒姫

だったが、クルルが心配でしかたがないのだ……いくら霊峰富士の

神がお墨付きを与えていても大切な旦那様だ、万が一なんてことが

あれば、一緒に死ぬしかないと思っている。

 多分この思いはクルルツマーズの皆が同意見だと思う。

 白姫がエクスカリバーの鞘に祈りを込めると、弓モードに変形し

た。

「≪アメールレイン≫」

 ゼロ距離からの発射である! だが念には念の黒姫がすかさず白

姫に耳打ちする。

 コクリと頷く白姫が発した言葉は!

「〈3776〉いっけー! だワン」

「私の可愛いヒーリングドラゴン、クルルさんの回復を手伝いなさ

い」

「はっ!」

 パァァァパァァァパァァァパァァァ――――――――――眩しす

ぎて、目を開けることが難しい……。

 アメールレインに白姫の魔法具スキルの重ねがけに、ヴィヴィア

ンのお願いした本気のヒーリングドラゴンのブレスがクルルにガン

ガン当たっている。

「うおおおおおおおおおおおお」

「旦那様ああああああ」


 雄たけびをあげたクルルに黒姫が飛びついた。

「えっ? 旦那様だよね?」

 眩しかった光も消え去った後に、現れたクルルを見て黒姫が目を

丸くしている……黒姫だけではなかった、白姫もヴィヴィアンもミ

ーコですら目を丸くしていた。

「あっ、あいつは誰だ?」

 驚愕の現場から第一声を発したのは、ベルゼバブであった。

 さきほど殴り穴を開け倒したはずのクルルを見てのことである。

「ちょっとばかり痛かったよ、皆ありがとうね」

 復活してお礼を言うクルルだったが、黒姫以下の反応は「………

…」沈黙であった。

「旦那様……顔が……す・て・き」

 黒姫が、フラフラとよろけてクルルにしがみついた。

「黒姫っずるいワンよ、でも本当に本物のご主人様ワンか? 本物

かワンか、スゲーかっちょいいイケメンだワン。甘い少年の面影を

残しつつの! 大人の階段を登り始めた感じ……成人したワンね」

「ユウ、少年の姿をしたあなたも素敵だったけど、大人っぽくなっ

たユウも素敵だよ」

「クルルさん……結婚して下さい」

 ドコッ! その一言を発したヴィヴィアンは、黒姫チョップを食


らっていた。

「おい、お前ら俺様をガン無視かあああああ」

「サタン様、完全に無視ですね。今は何故か大人の姿になったクル

ルシアンに夢中のようです」

「ぐおおおおおおお、殺す! 俺を無視したからじゃねえぞ。今が

チャンスだから殺す」

「無視されたからですね……おいたわしや」

 サタンがしゃがみこんで拳で一発床をぶん殴った! ボコボコボ

コ玉座の間の床が抜けると魔方陣の様な模様が開いた穴に浮かび上

がる――――ズブズブズブズブ、泥沼から何かが浮上してくるよう

な音がした直後に、巨大な三又槍が黒光りしながらサタンの手へ収

まった。

 かなり大きな轟音と魔方陣の輝きがあったにもかかわらず、誰も

サタンを振り向こうとしない……。

 それもそのはずだ、クルルが成長したことで着ていた物が破れて

しまって現在フリフリで全裸だったのだ、以前に信長の了解で貰っ

た白い軍服はズタズタになっており見るも無残な状況だった、きっ

と復元は難しいと思われる。

 そんなフリフリのクルルの周りを女性陣が取り囲み、フリフリを

目視する事ができない。

「キャーキャー、ご主人様が大人になってアソコもっギャワン……

大人になっているワン……痛いワン」

「旦那様、さすがに全裸はちょっと……目のやり場が……」

「裸のユウを見るのは久しいね〜。今夜、繋がってっ、イタタタタ、

こら黒姫やめろ」

「クルルさん、結婚の報告をイシス様へ、うふん」


 ワナワナワナ……プルプルプル……サタンの怒りで大気が震えて

いる、サタンも震えている。

(これはヤバいぞ、巻き添えを食うぞ)

 そろりそろりとベルゼバブがサタンの後ろへと避難を始める。

「うがああああああああ、ぎゃおおおおおおおおおおおお」

 渾身の咆哮を一発かますとサタンが三又槍をクルル達に向けた!

「デビルズオーラバーストキャノン」

 ドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカ

ンドカンドカンドカンドカンドカンドカン

 ドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカ

ンドカンドカンドカンドカンドカンドカン

 ドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカ

ンドカンドカンドカンドカンドカンドカン

 ドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカ

ンドカンドカンドカンドカンドカンドカン

「サタン様、撃ちすぎです! 魔力が底をついてしまいます。手加

減を」

 そんな話を聞く事もできないぐらいの怒り心頭なサタンが、ベル

ゼバブを無視して攻撃を続けている。

 大量の禍々しい力が弾丸となってクルル達へ発射されたのだ。

「こらー、いい加減にしなさいよ。そしてサタンの攻撃に気づいて

下さいな」

 キャーキャー女子と困惑するクルルの前に大量のキャノン砲弾…

…この状況でもサタンの攻撃を無視って、どれだけ防御力に自信が

あるのやら、溜息を吐きながら登場したリリーノが魔法を詠唱する。

「<ドレインフェニックス・ゴッドエンペラー>さあ、神の元にあ

なたを召喚します、全てを吸い尽くすのです」

 キュアキュアと可愛い声で返事をするが、外見はそんなユルキャ

ラではない。

 バサバサと音と旋風を撒き散らしながら浮上すると、サタンが渾

身の魔力を込めた魔力弾の前に立ちはだかる。

 ――――――――バサバサ! 「きゅあああ」広げられた巨大な

両翼に次々と魔力弾が吸い込まれていく。

「なんだとおおおお」

「サタン様の魔力弾を吸収しますか……やりますね」

「クルル様、今のうちにこれを」

 リリーノがクルルに向かって何かをぶん投げた!

「こっこれは!? バスタオル」

 リリーノからのバスタオルを受け取り腰に巻き付けたクルルは、

騒がしい女性陣にデコピンをかますと「俺も成長には驚いたけど…

…今はサタンかな」ニコリと笑った。

「あいつを倒して、ご主人様といちゃつくワンよ」


 抜け駆けとばかりに聖獣に戻った白姫が、サタンに突撃を開始し

た時だった。

「白姫、待って! やっと来たよ。あとは彼女達に任せなさい」

 ミーコが白姫を止めた……先には女神がいた。しかも一人や二人

ではなかった。

「ん? テラスがいるぞ。しかし……何人で来たんだ」

「かなりの数が降りてきてますね」

 黒姫が、かなりの数と呟いた先にはテラスをはじめとする女神達

がサタンを取り囲んでいた。

 ※※※

「腰にバスタオルのユウも、いいね」

「テラス様、まだ知らないのよね」

「気がついた時が怖いワンね」

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