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57 決着! クルルvsスラント

「信長様、義兄さんを頼みます」

「おう、婿殿はどうすんだ」

「決着をつけますよ」

「旦那様、私も手伝う」

「あたちも」

「そうだね、最初は三人で始まったんだっけ」

「初芽、すまないが……」

「あるじ、分かってる。全力でミライラとアメリアを守る」

「ルルも、初芽に協力してくれるかな」

「はい、パパ」

「クルル君、この魔法部隊相手に無茶だ」

「大丈夫ですよ、それより義兄さんはミライラとアメリアを連れて

城のテラスへ向かって下さい」

「作戦を遂行するってことだね」

「千、俺はガルム様と行く、お前は城内の制圧にかかってくれ」

「はい、あなた」

「皆、頼みます」

 クルルの掛け声で、各自が散開していく。

 スラントの魔法使い達が、その間も何度も攻撃をしてくるが、結

界はびくともしない。

 玉座の間に残ったのは、クルルに黒姫と白姫そしてオリヒメだ。

「きさまらあああああ、雑魚相手に何をやってんだ、ゴラああああ」

 スラントが、タコみたいに真っ赤な顔で魔法使い達を怒鳴り飛ば


すが、怒られたところでクルルの張った結界は破れない、それどこ

ろかあちこちから「もうスラントについても無駄じゃね」とか「貴

族になれるって話も嘘だしな」と言った声が聞こえ始めた。

「黒、白、今から結界を解除する。二人はあの魔法を使ってくれ」

「旦那様は?」

「俺は、スラントと決着をつける」

「あたちにお任せワン」

 クルルが、結界を解除するが魔法使い達はこの行動の意味を考え

てしまって動けない。

 その隙をついて、クルルがスラントの元へと突撃を開始する。

「なにをボケッと見ているのだ、結界がなくなったんだ、攻撃を開

始しろやああああああ」

 スラントに言われハッとした魔法使い達だが、すでに黒姫と白姫

の魔法詠唱が始まっていた。

『グレートマジックミサイル・ザ・ドレインフェニックス』

 二人の魔法具から神々しい輝きを放つフェニックスが出現した。

 慌てて、魔法攻撃を唱え始めるが「な、なんだ? 魔法が使えな

いぞ」膝を抱えて倒れる者までいる。

「この間抜けどもが、俺の攻撃魔法をよく見てろや」

 スラントが杖を振りかざし、クルルへ向けて魔法詠唱を始めるが

……。


「なんだと、魔法が使えない、うう、意識が、うっううう」

「魔法が使えないのは当然だ! ドレインフェニックは敵のMPを

奪い取るからな」

 そんな説明をクルルがしている間に、バタバタと倒れる魔法使い

達。

「MPってメンタルポイントでもあるんだろ、量が減れば気絶しち

ゃうよね」

「ぐぬぬぬぬ、てめー許さんぞ」

「スラント、お前が意識を飛ばした時にとどめを刺してやるよ……

でもその前に、リリーノへ謝罪してもらいたいな」

「リ、リリーノだと。あいつは既に死んだ人間だ、俺が謝る必要も

ない」

「スラントさん、あんたリリーノが東の魔法神って知らないのか?」

「はぁああああ? ふざけるな、あんな女が魔法神だと、ぐううう

う、はん、そんな嘘に騙される俺様じゃないわ」

 魔力が底をつき始めたスラントは、今にも気を失いかけている。

 クルルとしては、スラントを裏で操っているであろう神の存在を

確認しておきたかったが……。

「さよなら、スラント。あの世で罪を償うといいよ」

 クルルが、オリヒメに合図を送った――――ドスドスドスドスド

ス、オリハルコンソードが一斉にスラントに突き刺さると血しぶき

が上がる。

「ぐおおおおおおお、ゆるさんぞ、きさま、ゆるさんぞおおお、お

お、うう、ごふっ」


 クルルは、息を引き取るスラントを眺めながら少し空しくなった。

 倒したけれど、リリーノもユウマでないクルルも生き返る訳じゃ

ない、スラントの横暴で数多くの人間が死んだのだって元には戻ら

ない。

「スラントがきっかけだったけど、東の国の人々が結局まきこまれ

て……たくさん死んだ。テラス達への信仰も減ってしまった……一

番得をしたのは誰だろうな」

「旦那様……?」

「ご主人様どしたのワン?」

 クルルが振り返り、玉座の対面へ向かって怒鳴った。

「出てこいよ、ずっと見てたんだろ……シヴ神……に化けている悪

魔大王サタンよ」

「旦那様、どういう事なの?」

「悪魔ワンか?」

「あっ! マスター白い物体が、えっ。天使ちゃん達なの!?」

 クルルが怒鳴った先に、ものすぐいスピードで突っ込む白い影…

…白兎、白蛇、白梟。

 三匹が白い翼を広げると、一斉に稲妻が撃ち込まれた。

「こざかしい真似をしやがって……小僧、シヴァでないといつから

気づいていた」

「……今だ」

「今だと、どういう……」

「深い意味はないぞ! 勘だ、ただの勘。あっでもただじゃないか

な、森羅万象の加護から女神カンコのスキル<乙女の勘>を使った

だけだ。絶対にスラントと俺の戦いを見ていると思ったからな、こ

れもカンコのおかげかな」

「勘だと、きさま、ふざけたことをぬかしやがって」

「さてと、悪魔大王様が相手じゃ少しばかり部が悪いかな、黒、白、

俺から離れるなよ」

 黒姫と白姫がクルルにぎゅっとしがみついた。

「スラントを利用して、神への信仰を減らして東の国を乗っ取ろう

とでもしたか? でも失敗に終わったみたいだな。スラントは死ん

だ、お前の思惑も終わりだな! サタンよ」

「ふん、スラントなんざどうせ殺す予定だった。すでに俺の計画は

最終段階に入っているんだよ……だが、その前に、お前は死ねやク

ルルシアン」

 それは一瞬の出来事だった。

 クルルの背後にいた、小さな蠅が悪魔へと姿を変えると背中越し

に心臓めがけて拳を放った。

「いやああああああああ、旦那様ああああああ」

「ご主人様あああああああああ」

「うっ、ぐふっ、ベ、ベルゼバブか……ああ、ミーコに怒られるな

……サタンの事も、聞いて、い、た、のになぁ」

 ドサッ……クルルが血を流し玉座に倒れ込んだのだった。

 ※※※

「スラント……あっけなかったワン」

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