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48 王になったクルル

マッタリした雰囲気の中、突然ミーコが手をポンッと叩いて忘れ

てた! と声をあげた。

「ユウと皆に渡したい物があるの」

 ニッと微笑んでミーコが続ける。

「ユウには、この島をあげるね。今日からクルルシアン・ザ・セン

タークラウン・ユウマと名乗ってね。それと荒人神になった件だけ

ど正式にはミーコの主神になるから……ふつつかものですが、宜し

しゅじん

くお願いします」

 黒姫達はミーコの話に驚いていたがクルルは、さほどてもなかっ

た。

 きっと半分は神になったことで、クルルの人としての常識や感情

に変化が出てきたのだろう。

「……旦那様……すごい話になってるけどいいの?」

「ん? 大丈夫だと……思うよ、きっとミーコには何か考えがある

んじゃないかな」

 クルルはそう言うとミーコにそうなんでしょ? とウインクをす

る、ミーコがそのウインクでハートを撃ち抜かれてしまってデレデ

レの姿を見た黒姫は、絶対に何も考えってないと悟るのだった。

(旦那様が自分の主人だってことを強調したいだけな気がする)


 クルルにハートを撃ち抜かれてデレデレのミーコが、話の続きと

ばかりに復活したようだ。

「あと、この魔法カードを渡しておくからね。ダウンロードしてね」

 そう言って手渡されたカードの束……しかもすべてが伝説級のレ

ア物だった。

「ミーコ、これはいったいどうしたの?」

「もらったんだよ。さっきまで宴にもいたじゃない、マホミからお

祝いの品だって」

「マホミ……マホミ……たしかに名前をつけたかもだが……」

「あれ? 魔法の女神様って知ってたんじゃないの?」

「えっ……いやその……知らなかったかも。そもそも魔法神って東

西南北で存在するじゃん」

「それは、テラス達が決めた話しであって、他にも魔法の神様はい

るんだよ。ちなみにこの島の魔法神がマホミなんだよ……あっ。今

日からは真ん中の島あらため、有真国だけどね」

ゆうまこく

 ウフフ、あなた様ユウ様とウインクしてくるミーコだった。

 クルルは、ミーコからもらった魔法カードに目を通していく……

ぱない……ぱないのだ。

 すべてのカードを確認してから、ため息を吐いた。

「ふう……これって本当にもらっていいのかな?」

「ぜひ使って下さいと言ってたよ」

 さすがミーコだ、こんなレア物ぐらいでは驚きもしない。

 容量がかなり大きいが、初芽とルルの魔法具は神様からもらった


伝説級だから大丈夫だろうが、黒姫の魔法具では容量オーバーで無

理だろう。

 どうやって分配しようか考えてるクルルに、ミーコが忘れてたと

ポンッと手を叩いた。

 ミーコが、黒姫と白姫の前に置いたのは……魔法具だった。

「黒姫には、私からね。これはね、魔法具であり名刀だよ」

 そう言って黒姫に、はやく手に取りなさいとミーコが手でホレホ

レとやっている。

 黒姫が恐る恐る魔法具を手に取ると……持主登録完了と黒姫の頭

に声がした。

 名刀≪富士山≫刀身の上が白びかりし、下のほうが青く光ってい

る……。

 まさに、富士山の名にふさわしい一振りだった。

 プリインストールは、スキル〈大噴火〉が備わっており名前の通

りに大噴火した岩石が天より降ってくるらしく、一万の大軍勢がこ

のスキル一回で全滅するであろう……ウハハとミーコが途中から解

説してくれた……。

(使っちゃいけないスキルだな……)

 クルルと黒姫はお互いにそう思ったのだ。

「次はあたいワンね」

 白姫が、魔法具を手に取ると同じように登録が完了した。

 しかし、白姫の魔法具はどこからみてもメリケンサックにしか見

えないねのだか……。


「白姫その魔法具は、聖獣に戻っても自動的に大きさが変わるから、

はめたままで大丈夫だよ」

「分かったワン」

 さっそく聖獣白姫に戻ってみると、魔法具は前足に丁度いい大き

さになっている。

 これで白姫から殴られたらと想像してみたが、恐怖しかなかった

……。

 魔法具≪富士山ナックル≫これにプリインストールしてあるスキ

ルは、さらに恐怖のスキルだった。

「その魔法具のスキル〈3776〉は、すごいんだよ。白姫の攻撃

や防御さらには耐性値などを3776倍にしてくれるんだよ! 無

敵の白姫の誕生だよ」

(……ダメだ……これも使っちゃいけないやつだ)

「あとね、黒姫達にもミーコの加護を授けたからね。思う存分にク

ルルを守ってね」

「ミーコ、あんまり黒姫達を人から離れた存在にされると……」

「大丈夫だよ。ユウは心配性なんだから、言わなきゃいいのよ。そ

れにたいした加護じゃないよ、魔法の使用時にMPが減らないのと、

状態異常無効化の能力がつくだけよ」

 クルルは、頭を抱えていた……これではチートで俺様つえーにな

ってしまう。

 だが、ミーコはこう付け加えた。

「ユウも黒姫達もよく聞いてね。クルルは有真国の王様であり荒人

神にして、私達の大切な旦那様な訳で……私達は、ユウを守護して


いく使命があるの」

 ここまでミーコが話しをすると、すでに女性陣はウンウンと頷き

ながら聞き入っていた。

 クルルはなんとなく、催眠商法の現場に潜入した気分だった。

「ユウをクルルを守りたいかあぁぁぁぁぁ!」

『うぉぉぉぉぉ』

 気合の入った女性陣を見回してさらにミーコが自分の考えを伝え

ていく。

「これから先、王であるユウは謁見や会談、晩餐会や舞踏会など人

に会う機会が増えると思うの、その度に毒や麻痺、眠りなどの薬品

や呪いの有無を調べたりするのも大変だし、せっかく一生懸命にも

てなそうとしてくれるのに、疑ったりとか野暮なことをしたくない

でしょ? そんなことしてたら、私達が美味しい物を安心して食べ

られないじゃない」

(俺の為じゃないじゃんかよ)

 うんうんと納得の女性陣……とくに食いしん坊の白姫は、今後も

てなされるであろう、料理を思い描いてヨダレを垂らしていた。

 黒姫と同じ顔の双子なんだから……やめてほしい……ヨダレ姫よ。

「ミーコの言うとおりだワンよ。毒味の後の料理は冷めてて美味し

くないワン」

「……旦那様を守る為に、体が動かないのは困るしね」

「……ミーコ……まさに神」

「ルルもミーコ様に感服」


 分かってくれてよかったと微笑むミーコだった、クルルもそんな

理由なら別にいいかと一応だが納得せざるえなかった。

 黒姫達が、毒などで死んでしまうよりはマシだと考えたのであっ

た。

「あのう……私は大丈夫でしょうか? 神様見習いなのでちょっぴ

り心配です」

 私にも何かアドバイスとか加護とかほしいです……そんな気が満

々のオリヒメにミーコがケラケラと笑いながら頭を撫で撫でした。

「何が見習いなのかしら? オリヒメはまだ気がついていないの?

あなたとっく見習いを卒業してるし、霊峰の力と今までのユウか

らわきだした力ですでに、神として一人前だよ。それに……ユウと

結婚したこともあって、かなり上位の神様になってるよ。よかった

ね」

「……マスター、よかったのでしょうか?」

「いいんじゃないなか? 俺も強くて可愛いオリヒメが好きだよ」

 もうクルルのなかで、段取りとか順番に階段を登っていくとかが、

出来ていなくてもいいかなと思っている。

 半分は神だから、神のやることをいちいち気にしないのだった。

 とにかく、もらった魔法カードを皆の魔法具にダウンロードして

いくことにした。

 クルルなら食べかけリンゴウォッチのスキルで伝説級の魔法でも

問題なく入れることができるし、ダウンロード後のインストールも

オッケーだ。

 ご丁寧にマホミは、攻撃、防御、回復に関係するカードをワンセ

ットにした物を百セット分も用意してくれたみたいだ。


 この百セットに黒姫達は、今後も現れるであろうクルルの花嫁を

予想させるのであった。

(お姉たん、アメリアとかコロンとかも怪しいよね)

(……ありえるね)

 クルルは、お試しで魔法をセットした黒姫に使ってみてと頼んで

みた。

 コクッと頷くとまじめな顔になった黒姫が空をめがけて攻撃魔法

を一発放ってみた。

「グレートマジックミサイル・ザ・ファイアーフェニックス」

(……旦那様、魔法の名前が長すぎだし、なんか恥ずかしいです)

 頬を赤く染めながらも、空にかざした名刀≪富士山≫から強烈な

一発が発射された。

 ゴゴゴー……ドドーン、メキメキ、ドカーン……。

 上空で大爆発した……と思ったら熱風がこちらに向かってくる、

辺り一面の温度が急上昇する。

「……まずい、このままだと樹海はおろか湖だって燃えちまうぞ!」

「ユウ、私が周辺にバリアーを張るからすぐにアメコの加護を使っ

て」

「了解だ」

 クルルは、アメコの加護を念じる……上空で爆発した巨大な塊の

上に暗雲が立ち込めると、一気に滝のような雨が振りだした。

 ジュウジュウとシュワーと大量の水蒸気を噴出しながら炎の塊の

勢いが、少しおさまったところに、聖獣に戻った白姫が飛びかかる


と、魔法具のスキル〈3776〉を叫んだ!

「必殺技ワン! ホワイト・ミナナローファング」

(かっこいいワン、今あたいってば、もうれつにかっこいいワンね)

 スキルで強化された強烈な一撃が、炎の塊に直撃するとドオォォ

ォーと、うなる爆音と共に大気圏へと、ぶっ飛ばしたのだった。

 遥か上空の大気圏で大爆発をおこした後やっと塊が消えたのだっ

た。

もしこのままにしていたら、炎の塊が大爆発して辺り一面に降りそ

そぎ火の海になったであろう。

白姫のおかげで、クルルは王になった瞬間に国を滅ぼさずに済んだ

のだった。

 そして、アメコの加護による大雨とミーコのバリアーのおかげで

被害はなかったが、多数の神々が何事か? と集まってきた。

(絶対に使っちゃダメなやつだ……アメコのどしゃ降りでも温度が

少し下がっただけで、炎は消えなかったし……白姫がスキルで炎の

耐性を上げてなかったらヤバかったな)

「……あのさ、ミーコさん。伝説級の魔法ってこんなのばっかりな

の?」

「私も驚いたよー。マホミってすごいね」

「…………」

「うまく使えば大丈夫だよ。力を調整するとかすればね」

 ミーコは、ニコニコしながらウンウンと頷いていた。

 集まってきた神々にも、事情を説明して帰ってもらった……。

 なんか一気にどっと疲れたクルルの首にミーコが富士山の形をし


た宝石のような塊のペンダントをかけるとクルルの胸に手をあてた。

「ユウ……あなたの体から八百万の加護がなくなって、スキルスロ

ットが空いてるけど、何か入れておこうか?」

「う〜ん、突然言われてもねー。何でもいいのかな?」

「うん。なんでもいいよ、スキルカード出そうか?」

「……そしたら……あのさ……ゴールド」

「マスター、それはダメですよ」

「マスターにゴールドフィンガーなんて必要ありませんし、それに

私とミーコ様にはそのスキル関係ないですもん」

「ご主人様、ゴールドフィンガーってなんだワン?」

「……いや……なんでもないよ」

 その会話でピンときた白姫は、女性陣を集めてヒソヒソやってい

る。

(きっと、やらしいスキルだワンね)

(……あるじ……やらしい)

(白ママ、やらしいって何?)

(……旦那様……私がいつでも練習台に……ハッいったい何を……)

「……えっと、冗談! 冗談だよ……そんなスキルいらないやい。

ミーコが適当に選んでよ、役に立ちそうなのをさ」

「うーん。それならこれかな!」

 ミーコがクルルの胸に手を突っ込んだかと思うと、ガチッとなに

かがハマった音がした。

 クルルの頭の中でスキルがセットされた音が鳴った……ピンポン

パンポーン。

 ミーコのやや強引なスキルセットでダウンロードとインストール


が完了したらしい。

「スキルが空スロットにセットされました」

「スキル名は〈転移の王〉詳細は別途説明書を参照下さい」

「……ミーコさん。なんとなく分かってしまったんだけどさ……も

しかして俺ってかなりチートと化したかな?」

「ユウの言ってる意味が分からないけど……チット? チトってな

んだ? それよりも、このスキルは素晴らしいんだよー」

「……いやっ。言わなくていいや」

「そんなーつれないなーユウは……。これがあれば、どこでも行け

るんだよ皆をつれてバーンでビョーンだよ」

「そうみたいだね。とりあえず……ありがとうね」

 クルルが手に入れたスキル〈転移の王〉はその名の通りに一瞬で

行きたい場所へ転移が可能なスキルだった。

 ただし、この始まりの世界のみ限定ではあるけど……ちなみに情

報さえあれば初めての場所も行けるのだ。

 さらには、天界も黄泉もこの世界なら、どこでも行ける……まさ

に転移の王様なのである。

 今更ではあるが、色々と装備が整いすぎてしまった。

これからテラスが隠れている岩戸に向かうのだが、移動手段が必要

なくなってしまったので、ウオッチで天岩戸の場所を調べるだけで

よくなってしまったし、 だいぶ緊張感に欠けるが、クルルの掛け

声で出発する事になった。

「テラスを引っ張りだして、闇を払うぞー」

『おー!』

 こうして荒人神でミーコの主神で色々と強力な魔法も持っていて、

さらにどこでも行けるスキルを持っている、真ん中の島をあらため


有真国の初代王様クルルシアン・ザ・ミドルクラウン・ユウマとク

ルルツマーズによるテラスを引っ張だすための第一歩が始まるので

あった。

 ※※※

「……ミーコさん。このペンダントはいったい?」

「ハッ……説明を忘れていたよ」

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