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9日目

「魔王ゴア! お前を倒し──、あれ?」

 今日はすげぇ! 一発目から大当たりだよ! 2日連続でジュン君だ! ジュン君ウイークと名付けよう、そうしよう。

 ジュン君、今回は装備が変わっている。鎧はずいぶんと物々しく、しかし神々しさを感じさせる物に変わり、その手に持つ剣は武骨ながらも常に紫電を発しており、とてつもなく強力であることが素人目でもわかる。


「はっ!」

 俺は焦って振り返る。


「え、へへ、へへへへ」

 昨日異常にヤバイ表情のマリアが、拘束の首輪を指でクルクル回しながらにじり寄ってくる。


「ジュン君! 俺が止めている隙に──」

 俺がマリアの前に立ちはだかる瞬間、視界からマリアが消える。

「なっ!」

 恐ろしく低い軌道、マリアは地面スレスレまで屈んだ状態で、俺の横を抜けていく。


「は、速い!!」 

 俺は飛びつくようにマリアに手を伸ばす、が、マリアの視線は背後にいるはずの俺をギラリと捉えていた。


 ──読まれた!?


 俺は強引に体をねじり、伸ばした右手でマリアの右足首を掴む、その刹那! マリアはぐるりと体を回転させ、その回転力にねじりあげられた俺の右腕はあっさりとその拘束を緩めてしまう。


 な、なんて動きだ!!


「逃げろぉぉぉ!!」

 既に届かない位置にいるマリアの先、未だに魔法陣から動いていないジュン君に向けて俺は叫ぶ。


「獲ったぁぁぁぁぁ!!」

 低空から急上昇するマリアが伸ばす右手、そこには開かれた拘束の首輪。それがジュン君の首を捉え──、


 カシャン


 だが、閉じられた首輪には何も囚われていない……。


 頭一つ分。それだけ後退したジュン君は、マリアの首輪を紙一重で回避した。


「疾っ!!」

 器用に右手だけで拘束の首輪を再び開錠したマリアが、素早くもう一歩踏み込んで首輪を前に押し出す。が、ジュン君はそれも僅かに横へズレることで回避。

 マリアは右手に左手にと、首輪をころころと持ち替えながらジュン君の首を狙って執拗に攻撃を繰り返す。だが、それらは全て紙一重で回避され、その場には"カシャン"という首輪の施錠音が何度も何度も連続で鳴り響くだけだ。


「こんのぉぉぉ!」

 マリア渾身の大振り、だが、ジュン君はそれをアッサリ潜り抜け、マリアの背後に回り込む。


 トンッ


 マリアはあまりに自然に、ぺたりと床に座り込んだ。何が起きたのか……、ジュン君はマリアの背中を軽く押しただけにしか見えなかった……。


「じゃ、行ってきます!」

 気が付くとジュン君は俺のすぐ横に居て、それだけ言った直後に消えた。遅れてきた風が、俺の髪を揺らしていった……。



 ジュン君はその後、たっぷり戦った後に「いい運動になりました」と言いながら帰って行った。


【世界の異形率93.5%】

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