ヨルムン、友人面される
「動きにくいのう」
先祖代々の物という布切れを返却し代わりに貰った服に袖を通して我は呟く。
なんでこんなひらひらしたのを着るんじゃ? というか裾なんか床を引きずる位に長いんじゃが…… 掃除か? 服でついでに床の掃除でもしようという腹か?
「よくお似合いですわ!」
「あっそ……」
我を着飾ったメイドとかいう人がそんなことを言ってくれるわけなんじゃが……
なんでそんなに嬉しそうにしてこちらを見るのかはわからんが我としては不愉快極まりない。我の求めるものは一に動きやすさ、二にも動きやすさなんじゃからな。
「なんで我はこんな服を着させられとるんじゃ?」
本来なら代わりの服を貰った時点でこの場からはさる予定じゃった。我に関与せんという言質もとったわけじゃし、この城にはもう用はなくなったわけじゃからな。
「王よりせめて食事を一緒にとの事です」
「ふむ」
食事か。食事くらいなら付き合わないこともないかのう。一応はこの国の王、それなりに良いものを食っておるはずじゃし。
うむ、国政が傾くほどに食ろうてやろうかの!
「gadtjhdtgam!」
我がそう決心した矢先に扉が大きな音をたてながら蹴やぶられる。吹き飛ばされた扉は回転しながらメイドへと向かい飛んでいきよったがメイドが全く反応できてないので我が手を伸ばし掴む。
目を白黒さしてるメイドは放っておいて我は扉を蹴破ってきた奴へと目を向ける。
「なんじゃレイアか。やっぱり生きておったか、ドラゴンはやはり丈夫じゃな」
「あんたよくも私をクッション代わりのにしてくれたわね! おかげで死にかけたわよ!」
眼は血走り、さらにはきている服にはさほど破損なども見られぬが多少の汚れが見れるだけで全く死にそうな感じではないがのう。
「生きとるからよいではないか」
「謝罪よ! 謝罪! 誠意を見せなさい! gadtjhdtgam!」
レイアの奴が口を開くたびに口から小さな炎が吐き出されておる。それなりに怒っておるようじゃのう。
こやつ面倒じゃのう。
もう一回瓦礫に埋めてやるかのう。
そう考えた我が拳を作るのが目に入ったのかレイアは慌てて距離を取る。
「じょ、冗談よ冗談! 私とあんたの仲でしょ!」
「ふん、どうでもいいがgadtjhdtgamはやめよ。今はヨルムンで通しておる」
よくわからん発語で名前を呼ばれるのは不快じゃからの。
「あのヨルムン様、こちらの方は?」
今まで成り行きを見守っていたらしきメイドが恐る恐ると言った様子で聞いてきたわけなんじゃが、ふむ、なんと答えるべきか。
「ライバルよ!」
「え? 敵にもなりえんじゃろ?」
「えぇ⁉︎」
そんなに驚くことじゃろうか?
我としてはなぜそんなに自信満々に嘘をつけるかが疑問ではあるんじゃが……
なにせ弱体化した我にボコられておったわけじゃしな。
「まあ! お二方は互いを高め合う仲なのですね!」
「そうよ!」
「いや、違うじゃろ?」
我が一方的にレイアをボコるだけであってレイアの奴は強くもならんしのう。我も食べるわけではないからレベルも上がる訳ではないし。
…… いや齧ればレベルが上がるかもしれんのう。
「でしたら是非にお友達もご一緒に食事をされてはいかがでしょう? ヨルムン様のご友人ということでしたらあっさりと許可はでるはずです。ちょうどよくドレスも着られていることですし」
「ゆ、友人? 私とヨルムンって友人なの? えへ、えへへへへ」
なんで頰をあかくしてそんなに嬉しそうにしとるんじゃこいつは?
あ、こいつそういえば友達とかおらぬボッチとかいう奴じゃったのう。




