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ヨルムン、聖なる武器を見る?

「お主どうやって移動しとるんじゃ?」

「それは秘密だよ。さてうちの団長が破れたんだ。これはもう国家の敵って事でいいよね?」


 すごく嬉しそうな顔をしながら武器を構える殿下とやらに我は残念なものを見るような眼を向ける。

 この国にはルーなども含めて戦ってから話を聞くみたいな風潮なのか? それは野蛮極まりないきがするんじゃがなぁ。


「さあ、僕の聖鋏せいきょう肉切り落としの餌食になってもらうよ!」

「全く聖なる武器感がゼロじゃな!」


 ジョキジョキと刃が交差するたびになる音が不気味じゃ。あれはどちらかというと聖なる武器ではなく呪われた武器と名乗っても問題ないくらいじゃろう。刃がなんかゆらっと揺れてるように見えるのは我が感知できない魔力でも使っとるからかのう。


「聖鋏よ! 挟み殺せ!」


 おそらくは能力を発動させるためのキーワードを殿下が口にすると我からかなり離れていたはずの二枚の刃が伸びよった!

 我の左右に恐ろしい速度で伸びた刃が我を断ち切ろうと迫るのでとりあえずはしゃがんで躱す。


 刃が我の頭の上で交差しまた頭上で軽快な音が響く。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!」


 さらに後ろでは野太い悲鳴が聞こえてきよった。

 しゃがんだまま後ろへと振り返ると下半身だけとなり血を吹き出している何体かの騎士だった物の姿が見えた。

 味方ごととか容赦ないのう。

 伸びた刃が元の長さへと戻り殿下の手元へ戻ったタイミングを見計らい立ち上がる。


「ずいぶんようしゃがないのう」

「残念なことに賊が強くて彼らでは止めれなかったようだからね」


 なるほど。我がやったことにするわけか。

 じゃがそれは我が此奴に負けた場合にこそ通用するてな訳じゃがな。


「聖鋏よ! 挟み殺せ!」


 再び刃が左右に広がり伸びる。それを見届けた我は今度は呆然と見守るわけなく駆ける。そして先行さすようにヨルムンテイルを殿下に向けて突き刺すように伸ばし放つ。

 眼を見開いた殿下じゃが顔を逸らすことでヨルムンテイルを躱す。その顔には勝利を確信したような笑みが貼り付けられているわけなんじゃが……

 大方刃で我を挟んで終わりじゃと思っているんじゃろうが甘い。

 迫る刃が我を挟み込もうとした瞬間、我は手に力を込めると迫る左右の手を刃に向けて広げる。


「馬鹿な奴め! 聖鋏の刃を止めれるものか!」

「いやそれは」


 馬鹿にしたような笑う殿下に言葉を返しながら迫る刃に掌を当て流ように動かし、


「やってみんとわからんじゃろう?」


 刃が掌に当たる感触を感じ取った瞬間なすかさず拳を握りこむようにして刃を掴む。


「へっ?」

「ふむ、やはりちゃんと力を体に漲らしたら我の手は切れんようじゃな」


 間抜けな声を出して呆然としている殿下はほっといて我は軽く刃を掴んでいた手を開いて見るとそこには傷一つ付いていない我の手があった。

 一方の力一杯に握りしめたために我が拳を作った聖鋏とやらの刃の部分は細くなってしまったようじゃ。

 やっぱり聖剣の時も思ったが我の力なら聖剣などを無理やり力付くで形を変えることもできるようじゃな。


「せい」

「なぁ⁉︎」


 掴んでいた聖鋏の刃を引っ張りあげる。それは当然聖鋏の柄を持つ殿下をもこちらに引き寄せる行為なわけじゃ。

 そして突然引っ張られた殿下は柄を手放し聖鋏だけが我に飛んでくるわけなんじゃがそうはいかない。

 聖鋏を引っ張るタイミングと合わせて伸ばしていたヨルムンテイルも引き戻し、殿下の足を掴み引きずるようにしてこちらに連れてくることにする。また瞬間移動みたいなものをされても嫌じゃしな。


「手加減はしてやるぞ。その高価そうな鎧なら死なんじゃろ?」


 さらに強くヨルムンテイルで引っ張ると引き摺られていた殿下の体が宙に浮き上がり体ごと我に向かって飛んでくる。そんな殿下に向かい大してためなども作らずにタイミングを合わせて殿下の鎧目掛けて蹴りを繰り出す。


「げぺぃ⁉︎」



 蹴りが突き刺さったと同時に殿下が悲鳴を上げる。ヨルムンテイルに足を掴まれとるか吹き飛ぶこともできぬ殿下はうな垂れるように力が全く入っていないところを見ると気を失ったようじゃな。それと同時に蹴りが当たった部分から鎧へとヒビが入りそれは僅かな間に鎧全体へと広がった後に完全に砕けたわ。


「ふむ、残りのやつはまだやるのかのう?」


 聖鋏の挟み込み攻撃を躱してらしき騎士共に向かいそう声をかけてやると首が引きちぎれそうな位に勢いよく左右に振りよった。


 ま、正解じゃわな。

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