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ヨルムン、パスワードを聞く

 左右から閉じるような銀の閃きに対して我の頭が危機を告げるような直感が走る。

 これくらいならばなんのダメージも受けないような気がするのじゃが直感に従い顔を逸らすようにして躱す。その動きでひらめいた我の髪が銀の閃きに巻き込まれ瞬く間に切断されよった。


「お? 躱した?」


 嬉しそうな声の主は煌びやかな鎧を着た男。そして手に持つのは二つの剣を繋ぎ合せたような武器を手にしておる。あの刃が交わる真ん中にいたら切断されそうじゃな。

 我の髪も結構硬かったきがするんじゃが普通に切られたし。

 ひとまずは壁を壊すのは諦めると男と武器から距離を取るべく横へと飛ぶ。


「殿下お下がりください!」


 大きな声を上げながら先程生き埋めにした騎士共と同じような格好をしたやからがワラワラと姿を見せると殿下と呼ばれた男を守るように取り囲み磨き上げられたかのような剣を抜く。


「うむ、つかぬことを聞くがいいかのう?」

「なんだい?」

「殿下! 賊などと話す必要はありません!」


 警護をしているらしき奴がうるさいが殿下と呼ばれた男は「どうぞ」と言わんばかりに手を差し向けてきたので続けることにする。


「我はここに迷い込んだだけなんでな。出口を教えてくれたらすぐにででいくんじゃが」

「賊の言葉など信じられるか!」


 あやついちいちうるさい奴じゃな。


「うーん、僕としては出口を教えてもいいんだけどね。君の体に巻いてある布を返してもらわないと」

「なっ! 貴様! それは我らがワルツェルテ王国の管理する宝具⁉︎ やはり道に迷ったなどとは妄言で盗みに入ったのだな!」


 もう人の話を聞かないタイプの奴と話をするのは非常に疲れるんじゃが……

 いっそこの布を脱いで返したら丸く収まらんかのう。また全裸じゃ痴女じゃと呼ばれるかもしれんが面倒なことよりマシな気がしてきたぞ。


「この賊め! 私が成敗してくれる!」


 一番騒がしくしとる奴がどうも怒ったようで殿下を守る輪から一人抜け出すと我と僅かな距離を開けて対峙する。


「我こそはワルツェルテ王国第三騎士団団長レーゲンス! いざ尋常に勝負!」

「いやじゃよぉ」


 だってめんどくさそうじゃ。

 こいつ絶対に負けてもあれは全力じゃなかったとか言いそうじゃしな。


「逃げるか臆病者め!」

「はぁ」


 ため息をつきながら壁へと近づく。これぶち破って逃げるとしよう。


「逃がさん! 太陽の剣よ! 我に力を」

『パスワードを入力してください』


 暑苦しい騎士が剣を天に掲げるようにしてなにか叫ぶと男とは違う声が聞こえてきた。


「いくぞ! 今日もサンサン! にこにこ太陽いい天気! 明日は晴れでしょう!」

「いきなり何を血迷ったことを言っとるんじゃ?」


 剣を掲げて世迷いごとのようなことを言い始めた騎士へと振り返る。騎士の顔は真っ赤になっているし、殿下や殿下を守る騎士達も顔を背けて肩を震わしているのを見ると笑っとるんじゃろな。


『パスワードを認証しました。 太陽の宝珠、出力解放します』


 騎士の掲げる剣の柄にはまっていた宝玉が輝きを放ち、その光が刀身を覆い尽くしてゆく。


「受けよ! 我が必殺のぉぉぉお!」


 迸る光の柱とかした剣を振りかぶり、


「太陽にこにこぉぉぉ! 」


 なんかあの剣は大声を上げると威力が上がるんじゃろうか? 光の柱の密度が高まってる感じがするんじゃが……


「娘の笑顔は世界イチィィィィィ!」

「技名なのか⁉︎」


 馬鹿らしくなるような技名を叫びながら振るわれた剣の切っ先から夥しいまでの量の光が我に向かって放たれる。下手したらこれは城が壊れるくらいの威力じゃないのか?

 まともに受けるのはまずい。

 そう判断した我は体を真横に投げ出すように飛び迫る光から逃げる。

 我が躱した光はというと我が壊そうとしていた壁をぶち抜き、軌道上にあった雲をも蹴散らし、城の中に瓦礫の雨を降らすという大惨事を作り上げていた。

 なんという威力……


「団長やりすぎです!」

「一発に全力込めすぎなんっすよ!」

「また倒れてるし」


 穴をぶち上げた張本にはというと力を出し切ったのか床につっらぷしておるしピクリとも動かぬ。


「馬鹿か? 馬鹿なのか?」


 避けられるということを頭に入れておらんのか?


「いやはや自分の部下ながら馬鹿だよね!」


 またじゃな。

 またうしろから聞こえてきた声に振り返るとどうやって移動したのかわからんが殿下とやらの姿があった。


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