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ヨルムン、突破を試みる

 ひたすらに響く銃の音が頭に響く。

 瓦礫にあたってこちらには当たっとらんがたまに瓦礫の隙間から貫通して我に当たるものだから結構痛い。

 あやつら、こちらが攻撃せんのをいいことにやりたい放題じゃな。

 先程ちょっと顔を覗かしたら我の目にピンポイントで当たりよった。いわゆる「目がぁぁ目がぁぁぁ!」状態じゃ。すっごく痛かったのじゃ。転げ回るくらいに。

 しかし、こちらから攻撃しようと近づけばいい的じゃしな。銃は傷は付かんが痛い。衝撃が痛すぎるんじゃ。数発なら問題ないがそれが数十発となるとかなり痛い。


「おのれぇ」


 やられっぱなしは腹がたつ。そのため手頃な岩を掴むとそれを入り口付近に向けて投げつけては身を隠すというのを繰り返す。


「は、反撃だぞ⁉︎」

「壁が爆発したぞ⁉︎ 敵は魔法使いか!」

「丸腰だったはずだぞ」

「ジェームスの上半身が消えたぞ」


 我が投げた岩は誰かに当たったようじゃな。この調子でいくかのう。今度は石畳を掴み上げると横投げで放る。石畳は宙で回転して行きながら騎士共の中へと突っ込んでいく。回転する刃のように飛ぶと触れた騎士共をあっさりと切り裂いていきよる。


「なんだ⁉︎ 魔法か!」

「いや、石畳だ!」

「ばかいうな! 石畳でフルプレートの騎士の腕が飛ぶか!」

切れ味(エッジ)だ! 奴め投げる石畳に切れ味が上がる切れ味(エッジ)の魔法をかけてやがるんだ!」


 なんじゃか我が何かするたびに魔法だと叫ばれとるんじゃがなぜじゃ?

 我は力しか使っとらんというのに。


 力こそパワーなんじゃからな!


 首を傾げながらも石畳を剥がす作業は辞めずに剥がす端から回転さすようにして投擲を繰り返していく。

 何枚かを投げるたびに騎士の数が少しづつ減り、さらにはこちらへの攻撃の手がまばらになり始める。


「これくらいならば」


 すでに大した脅威ではないと判断。

 今まで隠れていた瓦礫の山から飛び出すと地を這うように駆ける。


「でたぞ! 狙え!」


 飛び出してきた我を視認したようで騎士共の銃口が我へと向けられるが先ほどよりも少なく遅い。駆けながらの勢いを利用して石畳をさらに引き剥がし投じると騎士共の顔色が変わり引き金を引くことなく蜘蛛の巣を散らすようにその場から逃げよった。

 目標から逸れた石畳は誰もいない空間を飛び、壁へと突き刺ささる我がその空間を駆け抜けて階段を駆け上がる。


「逃げたぞ! 追え!」

「ふんぬ!」


 騎士の誰かが声をあげると同じタイミングで我はヨルムンテイルを今度は全力で壁を薙ぐようにして繰り出す。ヨルムンテイルは壁へと容易く傷を刻み込むと壁と天井からミシミシと音が響き始めた。その音が聞こえている間にも我は階段を駆け上がり無闇矢鱈にヨルムンテイルを暴れさし響く音はさらに大きくなっていった。


「まずい! くずれっ」


 異常に気づいたような声は階段と天井が崩れた音によってかき消されていく。崩れる階段と天井。それらの瓦礫を躱し、時には蹴り飛ばすようにして駆け上がり、光の中へと飛び込む。


「ほい、帰還、と」


 飛び出すようにして着地をすると背後から巨大な土煙が立ち上がる。振り向けば先程我が駆け上がってきていた階段は完全に瓦礫に埋もれてしまっているようじゃ。

 危ない危ない。危うく生き埋めで苦しむところじゃったわ。


 布切れについた砂埃を払いなが、周りを見渡す。まあ、周りを見たところでここが城のどの辺かはわからんわけじゃがな。周りに人もおらんし尋ねようもない。

 適当に壁をぶち抜いて外に出ればわかるじゃろうか?

 近くの壁へと近づきその壁へと向かいそう判断した我はいつも通りの解決方法である腕力を行使するべく拳を振り上げる。


「おいおい、いきなり壁を打ち壊そうとする。こいつが曲者か?」


 誰もいないはずの背後からの声に振り返るとそこには左右から我の顔を挟もうとしている銀の煌めきが目に入ったのじゃった。

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