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ヨルムン、聞く耳を持たず

「それでどうやって助かる気よ」

「簡単じゃな。このまま落下じゃ」

「死ぬって言ったでしょ⁉︎ 昔から無駄に防御力があったあんたとちがって私は可憐なのよ⁉︎ か弱いのよ⁉︎」


 か弱い奴はマンハントとかいって遊び感覚で一つの部族を壊滅さしたりせんだろうに。


 レイアが昔にやっていた遊びのことを今ここで言えばまためんどくさそうじゃからあえて言うまい。


「そもそもの話がお主は人化の術を使ったわけじゃろ? 我の記憶ではあれは体の質量は変わらずに人の形になるものだったはずじゃが?」


 人化の術はあくまで体の大きさを変えるだけで質量に変化はないわけじゃ。それどころか体が小さくなった場合はぎゅっと密度が高まるためにかなりの防御力を得るはずじゃ。この我のようにな。


「下等な人間の姿を取るだけでも屈辱的なのよ⁉︎ そんなの試したことあるわけないじゃない!」

「じゃぁ、なんで人化の術なんて習得しとるんじゃよ……」


 そんな屈辱的な術ならば習得なんぞせんでも問題ないと思うんじゃがな。


「ドラゴン検定に必須なのよ!」

「ドラゴン検定……」


 なにドラゴン検定って。すごく気になる。今の状況が落下中ではなければ詳しく話を聞きたいくらいに気になる言葉じゃ。


「まぁ、とにかくじゃ。今のお主は我と同じくらいには硬くなっておるはずじゃ。そう簡単には死なん」

「本当でしょうね? 嘘ついたら化けてでるわよ!」


 ドラゴンが化けて出るとか聞いたことないんじゃが……


 そうこう無駄話をしているうちに城がしっかりと見える高さにまで落ちてきたわけなんじゃが。

 うーむ、思ったより風で流されたのかこのままじゃと城に直撃じゃな。

 ぶつかっても死にはせん。じゃがそれなりにというかおそらくかなり痛い。それはそれで嫌なわけなんじゃが。


 不意に横で死なないことに安堵したような表情を浮かべているレイアが目に入る。おそらくはこいつも死にはしないがそれなりに痛い思いをするはずじゃな。

 となるとどうせ死なぬのならばと考えた我は手を伸ばしレイアのドレスの裾を捕まえるとこちらへと引き寄せる。


「な、なに⁉︎」


 突然引っ張られたことに驚きの声を上げるレイアであったがなぜか我の顔に近づけただけで頰を赤く染めよる。なんじゃ?


「このまま落下してはでちらも死にはせんがかなり痛いわけじゃ」

「死ぬよりマシじゃないの?」


 それもそうなんじゃが痛いのは我は嫌じゃしな。というか自分から痛い思いをしたい輩なんぞいるとは思えんがな。

 ヨルムンテイルを動かしレイアを即座に拘束。身動きが取れない状態にしてやるとレイアの奴は面白いくらいに目を見開いて我を見てきよる。


「ちょ、ちょっとgadtjhdtgam、これはなんのつもりよ!」


 腐ってもドラゴン。

 ヨルムンテイルで四肢をぐるぐる巻きにして普通なら身動きが取れないような状態にしているにも関わらずその拘束をただの力技で解こうとしてくるあたり「こやつ本当にドラゴンじゃったんじゃなぁ〜」と感心してしまうくらいじゃ。


「そりゃ、我が直撃しそうな城に対する盾に決まっとるじゃろ?」

「なんで私が盾なのよ! あんたの方が硬いでしょ⁉︎ あんたが盾やりなさいよ!」

「バカかお主は? ぶつかったら痛いじゃろが!」

「私だって痛いに決まってるでしょうがぁぁぁぁぁ!」


 拘束されたままの状態で暴れまわるレイアをさらに締め上げる力を込めたヨルムンテイルで身動きを取れないようにしていき、さらには首に手をかけて完全に動けなくしてやる。


「ね、ね、gadtjhdtgam! 私達って友達よね⁉︎」

「あんまり喋ると舌を噛むぞ? もうぶつかるみたいじゃし」

「畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 見た目の美しさに反して口汚く叫ぶレイアを他所にみるみる迫る城に対して我は必死に拘束から抜け出そうとするレイアを盾にするように我の前へと突き出す形で特に速度を落とすこともせずに城へと激突したのじゃった。

 あ、晩御飯がどっかにいったぞ!?

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