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ヨルムン、怒り役になる

「酷い目にあったのじゃ……」

「うぅ、お父様に怒られる…… また家宝壊しちゃったし怒られる」

「あのヨルムンさん? 私にもちゃんと晩御飯出るんですよね? 嘘をつくのはいけないですよ? 神が罰しますよ? 泥水だけはやめてくださいね?」


 血生臭い匂いを周りに漂わせながら我、ルー、ブリューフルの三人は大通りを歩く。

 あのあとかなりの時間をかけて皮だけになった百足ひゃくあしイノシシの中から本当に嘘ではなく我の拳大ほどの大きさの肉を手にしたわけなんじゃが。他の百足ひゃくあしイノシシは血抜き用の穴を開けてあっさりと肉は手に入った。

 聞くところによると本来はいくつもの穴を開け、ゆっくり血抜きを行ってから肉を探すのが普通らしい。そんなことならば初めからそれを言ってくれればよかったわけなんじゃがな。それを言う前に我が切り裂いたからと文句を言われてはしかたあるまい。

 そして拳大の肉を三つ得た我はそれを適当に包み、ほぼ全裸のような格好で帰ろうとした我じゃったがそれをみたブリューフルが大激怒し、唐突になぜか女性としての嗜みとやらの説教が開始されてしまったわけなんじゃよな。

 じゃが、我の場合は女性とかそういう性別の前に蛇なわけであるからのぅ。いまいちその辺の感覚がわからんまんまなんじゃよな。


「ルー、いつまでも泣くでない! あとブリューフル! お主も天使ならもう少し欲望をかくさんか!」


 なんで我が怒る役をせねばならんのだ。


「あー! もうこの布切れすぐにはだけるからいっそ脱いでやろうか!」


 ブリューフルから手渡された大きな布で体を隠しておるわけなんじゃが肌触りはすこぶる悪い。さらにはよくずり落ちるわけでよく周囲に我の裸を公開する羽目になっとるわけなんじゃよな。それならいっそ深いなことを我慢することをせずに裸で歩いたほうがましというものなんじゃが。

 よし、そうしよう。

 そう決断した我が体に巻いていた布を脱ぐべく掴む。しかし、布を掴んだ手を音が鳴るような勢いで掴まれる。


「なんなんじゃ? なんでお主ら二人がかりで我の手を掴んで?」


 何故か必死の形相で布を脱ぎ捨てようとした我の手を掴むルーとブリューフルを少しばかり睨みつけるようにしながら尋ねる。


「先生、戦闘で服が破れたりするのは仕方がありませんが流石に公衆の面前で裸で動き回るのはまずいです」

「そうです! 男はみんなケダモノなんですビーストなんですよ⁉︎ 傷物にされたらどうするんですか⁉︎ 」


 いや、男は男じゃろ?

 というかすでにブリューフルが口走る言葉がよくわからないんじゃが。そもそもの話が我を傷つけれる者など早々はおらんと思うんじゃがな。


「そんじょそこらの奴に我は負けんぞ?」

「そうじゃないんです! 女の子が一人で歩いたりすると路地裏とかに連れ込まれたりして薄い本みたいなことになるんです!」


 なんなんじゃよその薄い本って……

 というかブリューフル、何故貴様はそんな鼻息荒く熱く語るよるんじゃよ。


「どうでもいいが我に襲いかかってくる奴らはぶっ飛ばしてやればいいだけなんじゃから布一枚脱いでも問題なかろう?」


『大問題ですよ!その痴女みたいな行動やめてもらえませんかねぇ⁉︎』

「むぅ」


 二人して声を揃えて怒鳴られた剣幕に押され我も仕方なしに布から手を離し歩く。

 その後、宿屋ゴートゥヘルに到着するまでに何度か不快感から布を脱ぎ捨て用としたわけなんじゃがその都度邪魔をしてくるルーとブリューフルにイライラしながらも我ら三人はクマのいるゴートゥヘルへと到着したのじゃった。

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