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ヨルムン、胃袋をつかむ?

「ぐすっ」

「ええい! 泣くな鬱陶しい」


 いつまでもぐずぐずと泣きよるブリューフルにいい加減に腹が立ってきたわけじゃが、かと言って見捨てるのもなんとなく気分が悪い。仕方なしに手を引きながらブリューフルを我の狩りに同行させることにする。

 しかし、あれじゃ。この光景どこかで見たことあると思ったら少し前に見た泣いてる迷子の子供を騎士が手を引いている光景と全く同じなんじゃよな。ただ、今回は見た目が子供な我が大きな方を引いておるわけじゃし、これはこれでどうなんじゃろうか?


 ギュルルルルル


 再びブリューフルの腹の音が鳴り、周りの連中が何事かという顔をしながら仕事の手を一時的に止めるもののなぜか我の方をみると納得したかのような表情を浮かべると仕事へと戻っていきよる。

 その顔には「またあいつか」みたいな生暖かい目で見られているような感じが漂っていて凄まじく不満である。


「おい、お主のせいで我がいつもお腹が減っている憐れな子みたいな目で見られているんじゃが?」

「うう、そんなこと言っても天使の輪っかが無くなってからまともに食事なんて取れてないんですから仕方がないじゃないですか。この街についたのだって今日の朝ですしお金持ってないから食べ物も買えないんですよ」


 なんて憐れなんじゃ。こやつ一応は天使なわけなんじゃろ? どうも神域に住んどるやつらはポンコツが多いみたいじゃのう。その筆頭があの駄目神なわけなんじゃがな。

 しかし、このまま我が連れ歩いてブリューフルの腹が鳴るたびに我が腹を鳴らしとると思われるのもまた面白くない。


「仕方ない」


 我はため息を一つ付き、背負っていたリュックを下ろすと中からリンゴを一つ取り出しとブリューフルへと差し出す。


「とりあえずはこれを食え。そして食ったぶんは我のために働いてもらうからな」

「い、いいんですか?」

「そんなヨダレをダラダラと流している中、駄目とはいえんじゃろが」


 というか滝みたいに流れたヨダレがすでに我の渡したリンゴへとたれておるんじゃがな。まあ、食おうと思ったら食えるわけなんじゃがな。じゃが今はそこまで餓えてはおらんしの。


「ありがとうごじゃぃまずぅ! gadtjhdtgamさん!」

「ええい! くっつくな! お主の鼻とか涙がつく! 気持ち悪いんじゃよ!」


 本人的には感謝のあまりにの自然な動きでくっついてきたもんなんじゃろうが我としてはたまったものではない。


「とりあえずは食え! それから狩りに付き合ってもらうぞ」

「わ、わかりました」


 頭に手を当てて何かよくわからんポーズで返事をしてきたブリューフルは慌てたように我から手渡され、自身のヨダレまみれになったリンゴにかぶりつく。


「おいしぃ、美味しいよぉ! 泥水とかより数倍美味しいよぉ」


 涙を流しながら食べるブリューフル。こやつ我と違って食べることでレベルアップはしなかったんじゃろうか? というか泥水より美味しいって泥水は食べ物ではない気がするんじゃが……

 なんというかこやつも我と同じようにさばぃばぁるとやらを体験したようじゃな。まぁ、我は色々なスキルがあるからまずいものでも大体はたべれたんじゃが。

 そんなことを考えているうちにブリューフルはリンゴを食べ終えたようで手についていたのもぺろぺろと舐めていた。それすら終わると途端に悲しそうな顔をしよる。

 なんというか罪悪感がわくような顔じゃ。


「…… もう一つ食うか?」

「いいんですか⁉︎」


 思わずその罪悪感に負けてもう一つリンゴをリュックから取り出すとブリューフルの目の前に差し出してしまう。普通なら我の物を他の奴に分け与えるというのは論外なんじゃがこのブリューフルはなんというか見ていて悲しくなる。

 素早く我の手からリンゴを奪い取ったブリューフルはすぐさま口へと放り込み再び涙を流しながら咀嚼を開始。


「ごちそうさまでした」

「早いのう⁉︎」


 我も人のことは言えんがなんという早食いじゃ。


「まともな食事は久しぶりなものでつい」


 リンゴ一つがまともな食事とは……

 いや、我も世界蛇の時はまともな食事と呼べるものはとってはいなかったがな。


「腹が多少膨れたなら我の狩りに付き合ってもらうぞ?」

「いいでしょう。食べ物を恵んで頂いたのも神の御導きです」


 あの神の御導きなら断固として断りたいところじゃな。というか我が恵んだんだからお導きもなにもあるまいに。


「ちなみに狩り成否によって晩御飯のグレードがかわるからの?」

「全力でやらしていただきます!」


 目の色が変わりやたらと前のめりになったブリューフルが意気込む。

 ふむ、クマのところにあった本に書いてあった胃袋を掴むとはこういうことなんじゃろうな。

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