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ヨルムン、金ならある!

 もぐもぐ。


 ひたすらに目の前に並べられる皿の上の料理を掴んでは口の中に放り込む。

 放り込むたびに口の中に様々な味が広がりなんとも言えない幸福感が我の中に芽生えよる。

これが人の体による幸せなんじゃな!


「おい、あいつ一人でどれだけ喰ってるんだよ……」

「明らかに体より食ってる量の方が多いぞ……」


 もぐもぐもぐもぐ。


 周りが何か言っとるようじゃが気にせずに手にしているふぉーくとかいう三つに分かれた槍の小さいやつみたいなものでひたすらに皿の上の料理へと突き刺し、それを口へと放り込んでいく。

 そして空になった皿は素早く重ねていき次の料理へと手をかけていく。幸福感がハンパないほどに溢れるがこの手を止める気は微塵もない。


「あれ食べてるんじゃなくて飲んでるんじゃないか?」

「うぇ、美味しそうにたべてるんだけど食べてる量が多すぎてこっちが気持ち悪くなってきた……」


『未知の味を取得しました。経験値を……』『未知の味を取得しました。経験値を……』『未知の味を取得しました。経験値を……』『未知の味を取得しました。経験値を……』


 幸福感と共にひたすらに頭の中に声が響き続けとる。耳を塞いでも聞こえてくるわけじゃし。しかし、そんなものは些細な問題じゃ。


「クマよ、お代わりじゃ!」

「お前…… どんだけ食うつもりだ」


 我が空の皿を掲げた先にいるクマのおっさんは顔を青くしながら我を見ておるが一体なんじゃ?


「なにがじゃ?」

「どう考えても食いすぎだろうが⁉︎ 仕込みの分はおろか在庫まで食い散らかしやがって! どう見ても食った量はお前の体よりも多いだろうが! 見てみろ! 周りの客もドン引きだろが!」


 そう言いながらクマは周りの客を指差す。我もその指先を見るようにして周りの客を見るとなぜか気分をんるそうにしている輩が多かった。


「なんじゃ、体調が悪いのか? じゃ、その皿に残ってるのを我にくれんか?」

「人のものまで欲しがるんじゃねぇよ!」


 唾を飛ばしながらクマが怒鳴るわけなんじゃがそんなに喰ったかのう? 軽く腹をさすってみるがまだ半分くらいといったところじゃろうか?


「まだ半分くらいじゃが?」

「うちの店を潰す気か⁉︎」


 またも怒鳴ってきたクマに我は呆れたような眼を向けるが全く気づいておらんようじゃな。

 我はため息をつきながら腰の皮袋を取り出しテーブルへと置く。


「金ならある!」

「食材がねぇんだよ!」

「えー」


 金があればご飯をたべれるんじゃなかったのかのぅ。

 がっかりした我の顔にきづいたのか少しばかりバツの悪そうな顔をしたクマが頭をガリガリとかいておる。


「とりあえずはなんだ…… 食材がないからにはどうしようもないんだからな」

「食い物がないということか? なんにもないのか? 食べ放題のくせに!」

「お前が約三日分の食材を食いきったんだよ!」


 バシバシとテーブルを音を立てるようにしてクマが叩く。


「なんじゃ? お主も少し食いたかったのか?」

「ちげぇよ!」

「これくらいしかないんじゃが?」


 近くにある皿を引きよせそれをクマに見えるようにしてやる。


「思いっきり皿に残ってるんだけの食べかすじゃねえか!」

「失礼な! これは後でたべようとしていたんじゃ! 忘れてたけど!」

「忘れてた時点で残飯じゃねえか!」

「……お主、自分で作った物を残飯とかいうのはどうかと思うんじゃが?」

「やかましいわ!」

「あだぁ⁉︎」


 クマが力を込めて我の頭を叩いた瞬間、クマの腕が物凄く鈍い音を響かせ、明らかにクマの顔が引きつり青くなっておるんじゃが。


「い、今から仕込みをするんだからお前は外で買い食いでもしてろ!」


 頭を叩かれた我は眼に涙を浮かべたクマに宿屋ゴートゥヘルから叩き出されるのじゃった。

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