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ヨルムン、ぶっかけられる

「勝ったぞ」

「ひぃぃぁぁぁ! お、お疲れ様ですぅぅ!」


 我が控え室に戻り先ほど受け付けをしてくれた場所まで戻ってくるとさきほど我を見てビビりまくっていた娘が再び我を出迎えさっきと同じように悲鳴を上げてビビっておった。


「……お主、さっきもそうじゃったがなににビビっとるのじゃ?」


 正直、なにもしてないのにそこまで怖がられると少しばかり悲しくなるんじゃがな。周りをみると皆顔を赤くしながらも我と目を合わそうとせん。


「んー?」

「っ!」


 一人の男と目があったのでそちらに向かい歩き出す。男も周りの奴ら同様に顔を赤くしており、我から視線を外し早歩きで歩き始める。


「どこいくんじゃ?」

「な、いつの間に⁉︎」


 床を砕かないように注意をして脚に軽く力を込めて踏み込み男を追い越し、前に回り込み尋ねると驚いたような表情をしたあとにみるみる顔が赤くなると鼻から勢いよく血を吹き出しよった。あまりに突然のことすぎて驚いた我は飛んでくる血を躱すことができずに頭から被るはめになった。


「ワァァァァァァ! そんな格好でいるからぁぁぁぁぁ!」


 いきなり奇声をあげながら駆けていきよった。なんなんじゃあいつは? 人に血を浴びせて逃げるとはなんなんじゃ?

 すぐに興味を失った我はまた受付の娘のところまで戻るべく踵を返すがやはり周りの連中も顔を赤くしながら目を合わそうとせんかった。


「す、すいません。ここにいる人みなさん怖くて……」

「まぁ、どうでもいいんじゃがな。とりあえず勝ったからにはお金がもらえるんじゃよな?」

「は、はぃ。こちらになりますぅ」


 なにやら板の上に乗せられた袋が二つ我の方に渡してきよる。それを一つ持ち上げるとなかなかの重さじゃな。

 イーサンから貰ったものよりもさらに重い。


「二つで六十万セルになります」

「ふむ」


 肉がどれくらい食えるんじゃろうか。想像するだけで口の中によだれが溢れてくるわい。


「あの、よだれが……」

「おっと」


 どうやら口の中だけでは済まなかったようじゃな。口元を腕でぬぐい、よく見ると足元によだれの水たまりが出来上がっておるし。


「あとお召し物を着た方がいいんじゃないですか? 」

「おめしもの? ああ! 服のことか」


 ただでさえボロボロであった服であったがこの闘技場で闘ったら今やかろうじて体にくっついている程度で完全に服としての機能はなくなっとるからのぅ。

 目の前の受付の娘を見るとなかなかに可愛らしい服を着ておる。やたらとフリフリがいっぱいついておるが黒というのが良い感じじゃな。昔の我の色でもあるし。


「わ、私のはあげませんよ⁉︎」

「ちっ」


 我が服に注目している視線に気づいたのか体を守るようにして手を交差させる受付の娘をみて無意識に舌打ちをしてしもうた。


「ならお主が着てるような服を着売ってる場所を教えてくれ。金ならあるわけじゃし」


 手にしている革袋を軽く振ってみるとチャリチャリと小気味よい音が鳴りよる。


「確かにそれだけお金があれば簡単に買えますけど……」

「じゃろ? なら早く教えい。我もふりふりの服が着たいのじゃ!」


 せっかく人型になったわけじゃしな。我もおしゃれとかいうやつをしてみたいわけじゃ。


「そういうことならちょっと待ってくださいね」


 娘はそう断ると紙になにやら書き始めた。一度書き始めると迷うことがないように線がいろいろと引かれていきおる。


「はい、こちらが地図になります。それとこの服を売ってるお店は今日はもう閉まってるので明日にしたほうがいいですよ。今からでも予約が取れそうな宿の場所にも印をつけておきました」

「ほう、これは助かるのう」


 受けとった物はいろいろと細かく書かれている地図じゃ。これほど細かいものを何も見ずに書くというのはかなりすごいことじゃと思うんじゃがな。


「うむ、とりあえずはこのやど、とやらに行けばいいわけじゃな」

「ええ、そこそこに値ははりますがいい宿ですよ」


 やどというのが何かわからんのじゃがまぁ、行けばわかるんじゃろ。金も手に入ったわけじゃしこれでしばらくは困るまい。


「うむ、では我は行くとするぞ。助かったぞ」

「え、あ、ん?」


 我が片手を上げるようにして礼を述べるとなぜか娘が困惑したような表示を浮かべ目を白黒とさしておった。

 気づいてはいたが我はそのまま立ち去ろうとした我の腕が意外と力強い力で引き止められたために立ち止まる。振り返るとカウンターから身を乗り出すようにした娘が我の腕を掴んでおった。


「なんじゃ?」

「安物のローブとタオル差し上げますからそのまま外に出るのはやめてください!」


 意外と必死な形相で言ってくる娘の物言いにちょっぴり恐怖を感じた我は頷くのであった。なるほど血塗れの全裸はいかんようじゃな

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