ヨルムン、せいきまつはしゃを見る
ズルズルと引きづられてとうぎじょうの中に連れ込まれたわけなんじゃがな。
やたらと暗い部屋の中には剣や槍といった我の見知った物も見られれば全く見たこともないような形をした武器が所狭しとと並べられておるがここは武器庫か?
「さて、飛び入りということじゃからな。お嬢さんには武器を選んでもらうわけなんだが」
「おい、ここは料理を作るところではないのか?」
周りを見渡しても明らかに料理人らしきものは見当たらん。いるのは血に飢えた獣のような奴らばかりじゃし。
「ん? なにを言っとるんだ。こかは闘技場だぞ」
「? とうぎじょうとは料理を作るところではないのか?」
男と我、二人同時に首を傾げる中、不快な笑い声が耳に飛び込んできた。
「ヒャハハ、ここは闘技場だせ嬢ちゃん? ここでは殺し殺されの殺戮のテーマパークなんだぜぇ?」
「ふむ、お主のその奇抜な頭はなんじゃ?」
殺戮のてーまばーくと言われてもイマイチピンとはこなかったが言ったやつの頭が真ん中を残して他の髪が一切ないのが気になるのじゃが。
「ふひ、こいつはせいきまつはしゃと呼ばれる最強の漢がしていた髪型、その名もモヒカンというんだぜ」
「その肩がやたらと分厚くてトゲトゲは?」
「こいつもせいきまつはしゃが着用していた最強の防具!」
「ふむ」
せいきまつはしゃとやらが誰か知らんが別にこのモヒカン漢が強いわけじゃないんじゃろうが。
やたらとみせつけてくるモヒカン漢が少しばかりうざったいので近くの棚に入っていたそこそこの長さの剣を手に取ってみる。
「うむ、軽いの」
「いや、それ成人ようの剣なんだが……」
ここまでつれてきた男が我が剣を適当に振り回すのを見て呆れたようにしておるがこんな軽いものなら誰でも使えるじゃろ?
「武器はそれでいいのか?」
「武器? ちがうちがう。これはのぅ」
確認してくる男に手を振りながら我は片手で持つ長剣を未だにせいきまつはしゃとやらについて語っているモヒカン漢へと向け、
「ふん!」
払うように剣を振り抜いた。モヒカン漢のモヒカンに向かって。
ビュンっという音を鳴らしながら我が振るった剣はモヒカンの頭を滑るように進み、真ん中に残っていた僅かな髪を全て刈り取っていった。
「あ、」
全力で剣を振るったのでバランスを崩した我の手から剣はすっぽ抜けると凄まじい速度で飛ぶと壁へと轟音を立てながら突き刺さった。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎ 俺っちのせいきまつはしゃがぁぁぁぁぁぁぁ!」
「お、おう? モヒカンではなかったのか?」
完全に頭が光り輝いた元モヒカン漢が悲鳴のような声を上げたためにさすがに我も若干引きながら声をかけるが元モヒカン漢はそんな声など聞こえていないようで地面に散らばった髪を涙を流しながら集めておる。
なんじゃろ、あんなに泣かれると凄い罪悪感がわいてくるんじゃが。
しかし、いつまでも気にしていても仕方ない。そうあっさりてた割り切ると壁に突き刺さった剣へと視線を移す。
「手から離してしもうたの」
「な、なんていう力なんだ……」
突き刺さった剣を見ながら男が呆然としたように告げる。なんじゃよ。滑っただけではないか。
「ぶ、武器はどうするんだ?」
さっきまで子供と思いバカにしたように気安く話しかけてきていた男じゃったが怯えたような態度をとっておるのぅ。
やはり適度に力を見せつけて行かんと我のような可憐な美少女は舐められるようじゃな。可憐じゃからしかたがないのう!
「その前に確認じゃが、とうぎじょうとは闘って勝てば金を得れるという場所でいいのかのう?」
「そうなるが……」
「どこで戦うんじゃ?」
料理を作るのではなく戦うことでお金を手に入れれるということであれば我だって容易く稼げそうじゃしな。
「あっちの受付に武器を持って行きな」
これまたごつい男が親指を立てながら場所を教えてくれる。なんじゃ? この世界はごつい奴らのほうが優しいという法則でもあるんじゃろうか?
「これは?」
我が手にしたのは並べられている武器の中で一番でかい物。いわゆるハンマーと呼ばれるものじゃ。
「バカな……」
「初代王者しか使えなかった武器を軽々と……」
我が巨大なハンマーを軽く振ってみるがあまりいい感じがせん。これならないほうがよいかのぅ。手にしていたハンマーはいらないので背後に放り投げると受付の方に向かい歩き始めるとなにやら周りがやかましい。
そんなことは無視することにした我は顔を引きつらせてこちらを凝視している受付嬢の方へ向かう。
「ここが受付かの?」
「 ぴ、ぴゃい! 殺さないで!」
顔面蒼白となった受付嬢が悲鳴をあげるかのごとく命乞いをしてきよった。
いや、殺しはしないんじゃが? どうしたんじゃ?
「いや、受付はここだと聞いたんじゃが?」
「ぴゃい! 殺さないで!」
だめじゃ、会話にならん。
怯えた状態では完全に我の話を聞く気はないようじゃし。
「我は闘ってお金を得たいだけなんじゃ! 早う説明せい!」
「ぴ、びゃいぃぃ!」
怯える受付が面倒になったんでちょっと怒気を込めていってみると受付は瞳に涙を浮かべながらポツポツと説明を開始した。
この闘技場では人同士で戦うのとモンスターと戦う部門があるということ。
お金が手に入るのは対人のほうが多いということがわかった。
「じゃ、とっとと戦いたいんじゃが」
「い、今はランキング戦の全 真っ只中でして……」
「ならそれにはいればいいわけじゃな」
「で、でしたら…… 飛び入り乱入参加となりますがよ、よろぴいですか?」
「うむ、よろぴいぞ」
「では、このままステージのほうにお進みください。乱入扱いになりますのであちらの扉からでてリングにいる二人を倒したら二人分のファイトマネーがですので。あ、あとお名前を教えてください」
「うむ、ヨルムンでたのむぞ」
鷹揚に頷き名前を告げるとと今度は光のさす闘技場のリングに続くす扉の方へと向かうのじゃった。




