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彼の名前は……

始めましての方始めましてつう事で、傭兵と戦場と学園生活の100年後の物語です。前作を読まなくても大体説明します。前作読んでると、近作の人間関係が大体わかりますが、読んでなくても説明するので問題ないです。

 王国と皇国の共同出資でできた学園、魔法と能力と世界観移動のゲートが校舎内にある学校。今から100年前、一人の英雄とその仲間たちが破滅から逃れるため異世界へのゲートを開いたという。

 そこから国交が始まった異世界の王国と、俺たちの国の交流……そして15年前に王国との共同出資で、この国の最高学府が誕生したのだった。

 小中高大と一貫して教育を行うそこは、この国と無効の憧れのもとらしい。

 俺はそこへ高等部新入生として招かれた。推薦は受け付けていないのだが、国家推薦となれば話は別でテストなしでの入学を許された。

 それが、皇国からの国家推薦だったらどれだけよかったものか……

 入学式の場所にようやくたどり着く。

「あれ?見ない顔ですわね」

 一人の金髪ロールのいわゆるお嬢様風の少女が俺に声をかけてくる。

「あぁ、はじめましてかね?新入生になるな」

「そうですか……では、この学園の制服の意味を?」

 彼女の左肩のところに、紋章が縫いつけれれているのを見て、俺はゆっくりとうなずいた。

「王国の貴族は肩に家紋を入れているだっけ?」

 彼女の紋章は紅の獅子のように見える何かだった。つうのも向こうにライオンはいないため、よく似た魔物だと思われるが……しかしこの紋章どっかで……

 逆に皇国の人間は肩に皇国の国旗が刺繍されている。どちらも刺繍されていない俺はいわゆるところの宙ぶらりんというわけだ。扱いとしては王国の平民と同じ。

「んー、推薦者からは近々どうにかするから、ヘコヘコしないでくださいね?とデビルスマイルで」

 アレは肝が冷えた。まさか水面下で国籍交渉を皇国としているあたり本当なのだろうなぁとは思うが……

「推薦者?まさかその推薦者は……」

「あきらかな見た目皇国人で、家紋無しの時点で察してくれると助かる」

 俺はため息を吐くと、入学式が始まりそうな講堂を見る。

「行くか」

 そうつぶやくと、俺はにやりと笑い講堂に足を踏み入れた。新入生は前へと言われたので最前列に座らされる。俺の他には3人しかいない新入生だが。

「こんなものだろうなぁ」

 そうつぶやくと入学式が始まる。つまらないどこにでもあるような入学式。小中高と3回目ともなると、飽きている人間がいるのか寝息が後ろから聞こえてくる。

 流石の俺も少し眠い。

「えーそれでは本学に編入してくる四人壇上へと出てきてください」

 その言葉を聴き、他の三人を見ると他の三人は言葉を前もって考えてきていたのであろう、つうことは彼らは前もって知っていたことになる。

 なるほど、俺の推薦人はよっぽど死にたいらしい。幸いこの学園内にゲートが常設されているから飛び出して蹂躙すればいいだろう。

 俺をだますとはいい度胸だなぁ、あのアバズレがぁ。


「相変わらず。この手のえらい話って退屈だよなぁ」

 その身なりは貧相な男性が、そういうと隣に控えていた白衣の男性は苦笑いを浮かべる。

「それを毎回やっている君が言うかい?」

 貧相に見える男こそ、この国の王であり、彼をあの学園に推薦した首謀者のひとりだった。

「しかし、陛下の推薦者は?」

「この後の新入生紹介ででてくるだろう」

 そういわれて、白衣の男性は首をかしげる。その後に少しだけあぁとつぶやいた。

「なるほどねぇ、そんなこと取り決めたかな?長く生きると、どうでもいいことの記憶があいまいになるからだめだなぁ」

「同意を求めるな私はまだ119歳しか生きてない」

 119歳にしては若いと言うよりどう見ても20代前半にしか見えない陛下はむすりとした顔をしながらそういう。

「どうやら出たようだ」

 画面に映るのは4人の男女、その中の3人は希望に満ち溢れた顔をしているが、一人だけすごい形相の男がいた。

「……陛下、何をした?」

「あぁ、面白いかなと思って、今日必要になること教えてない」

 白衣の男はため息をつくと、画面の少年がしゃべりだすまでまったりしようと考えていたのだが。

「誰かに似てんだよなぁアレ……誰だったっけか」

 白衣の男性は頭の隅に突っかかりを覚えて、画面の中の少年を眺める。

「おぉ始まるぞ」

 マイクを手渡された少年は、口を開く。

『桜井 建志といいます。皇国国旗をつけていませんが皇国民です。皇国民なのですが、能力じゃなく魔法を使っています。この場を借りて、伝言ですおぼえてやがれ』

 モニター越しで届く殺気と、秋山と言う姓……50年ぶりに出会ったその狂気に白衣の男が笑い始める。

「はは、まさかなぁあいつの血統がこんなところにいるなんて……陛下、俺と同じ名前だと知っていて気づかなかったのか?」

「だからお前を呼んだ。アレはお前の血縁か?」

 桜井はゆっくりと首を横に振るう。

「血統ではないが……あれの血はある意味厄介だぞ」

 全てが一致する。話半分に聞いていたが、ガキがあんなことを成し遂げれるにはさまざまな要因が必要だからだ。

 その要因を持つ人間は少ない、だから大人の力を借りていたと……

「クーデターをたった一人のガキがアジトに入ってつぶした話……本音を言うと信じていなかったが、あの血族ならできても不思議じゃぁない」

 むしろできないほうが不思議だろうと、桜井は考えている。あの血族に名を連ねるものは英雄であったり稀代のインファントリーアーマー乗りであったり、稀代の科学者だったりするからだ。

「現地に言って確かめる……つうか姫ちゃんは?」

「娘か?娘は嫁と一緒に皇国の別邸に行っている。理由は言わずもがなだが……」

 まさか本気で、あれを身内に添えるつもりか……

「悪いことはいわん……やめとけ」

 国や頭だけで御せる人間じゃないのだあいつは……それを陛下はわかってはいないのだろう、共に戦ったというのに……

 だがまぁいい、ここからは俺の知らない物語だ。あぁそうか、世界の体現者か……なるほどまだ終わってはいないというわけか。そう彼は考えたのだ。

「さてと、見る者もみたし自宅に帰って研究の続きでもするよ」

 さて、あれでも作るかね?と小さくつぶやきながら。


 授業は皇国式の実験以外はホームルーム教室で受けると言うものだった。まぁ簡単に言うと移動術式を組むことによって、学生が移動しなくても教師を移動させるだけでいいのだ。

 学生側を移動させないのは移動術式の魔力供給がおいつかなるからなのだが……

「あら、あなたは確か」

「ほう、またあったな。マリシア・レオング」

 そういうと、縦ロールの彼女はいぶかしげな顔をする。多分、知っていたのと言う表情だろう。

 どっかで見た家紋だなとは思っていたが、いろいろありすぎて忘れてた。アレを忘れるなんて俺も落ちたものだなぁと思いながら。

「知ってるも何も、お前の親父さんにあったことを忘れててな」

「え?まさか、あなたあの前に」

 彼女の父親はとある事件のときに、命を落としている。そして俺は……

「まぁ、俺が気が向いたらしゃべるさ」

 そういうと、俺は目を細める。彼女に言うべきことでもないからだ。

 この教室をざっと見るに、皇国側の重要人物のご子息ご息女と、向こうの貴族の家紋をつけた学生しかいない。

「何で俺みたいな一般人がRクラスなんだよ!!」

 まことしやかに流された噂、この学校の1~6組のうちやんごとなき家だけを集めたRクラスというものがあるらしいと……

「あなたの推薦人の意向では?」

 俺の推薦人となるとまたあいつらかぁと思う。なんか後々、釣り合った身分を渡されそうで怖いなぁ……転学の意思ありで逃げようかなぁ。

「なぁレオング」

「マリシアでいいですわ」

 そりゃありがたい……レオングはなかなか発音しにくく覚えにくいからなぁ。

「マリシア……お前、謁見の権利持ってたよな?お前んとこの国の陛下に馬鹿な真似はよせって言ってきてくれない?」

「……実家より格の下の家が送り込んできたと思っていましたが、まさか国王陛下の差し金だったんですの?」

 俺は苦笑いを浮かべる。

「他には秘密な?言い寄られてもどうしようもねぇし」

「はいよ、座れ」

 教師が入ってくる。その姿はまるで一昔の暴走族だった。うむ、なかなかいいリーゼントと前髪だ人撲殺できんじゃねぇか?

「おうおう、皇国出身者は驚いてるなぁ。高等部専任、谷嶋だ。こんななりだが、前職はウロボロスの解析をやっていた。なんでその手の話はどんどん聞いてくれ」

 ふむ、なかなか面白い教師のようだ。しかしウロボロスか……俺の実家に研究データがあったなぁ……

「で、非常に面倒だが紹介しておく」

 センターの液晶ボードに人の顔が映し出される。その人物の肌はまるで百合のように白く、ピンク色できれいな唇、端正に整った目鼻そして輝くような金髪だった。

 俺は目を細め、苦々しく笑う。この人物を俺は直接見たことがあるからだ……

「ゲート間通信なんて……あぁこの学校にはゲートがあったな」

 ゲート間通信が行えるのは、国家間のホットラインぐらいしか今はない。それなのにもかかわらず彼女が現れたということは、ここにその通信設備があるということなのだろう。

『我が国の民とよき隣人のみなさん初めまして、私はミーシャ・ラインガルドと申します』

 クラスの半分が一斉にわく、その中に皇国人まで混じっているところを見ると、噂の姫様追っかけ隊のメンツらしいな。

『本日のご入学、おめでとうございます。さて本日、この学園の高等部に桜井 建志さんが入学されたと思います』

「呼ばれているわよ」

 そういわれて、俺はマリシアに笑顔を向ける。

「人違いじゃないかな?」

『彼のことは皇帝陛下と私の父であるラインガルド国王陛下の同時推薦で、学園への入学を果たしました』

 ほぅ、この国のトップも首謀者の一人だったなんてなぁ。いいことを聞いたような気がしたよ。

「へぇ、まさかこの国の皇族ってわけじゃないわよね?」

「残念ながら、あぁ王国人でもねぇぞじいちゃんの生まれは皇国で王国で育って、こっちで嫁もらったから帰ってきたらしいし」

 ん?ちょっとまて、国交初期の移住ってやんごとなき家柄の人間しか認可されてなかったんじゃ……マリシアは納得しているように見えるので黙っておくのが吉だろう。

『ですので、彼への侮辱はラインガルド国と皇国を同時に馬鹿にするととらえられますので、注意してくださいね?』

 やばい、なんかとんでもなく俺の話がでかい方、でかいほうに流れて行っている気がするぞ……

 今後来そうな無理難題に、冷や汗が出てくる。

『皆さんはよき学園生活をお送りくださいね』

「つうことらしいは、おい桜井!!何か言うことはないか?」

 名指しで俺が指定されて、いやいや立ち上がる。

「いまから退学申請って通りますかね?」

「言うことといったんだが、質問が来るとはな……うん、無理だあきらめて灰色の学園生活を送れ」

 ……正直二国間のやんごとなきお方たちの社交界に巻き込まれる気はないぞ。そう思うと、どこかで誰かが苦笑いした気がした。

アフターで書かれているのが500年前なのになんでラインガルドが500年後に発展していないのかなどは、後々わかってくると思います。

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