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第五章 〜アルラ、エーマVS雷霊〜

「…え?」

「……………嫌だと思う。けど、これしか手は無いの。理解してちょうだい。」


エーマの口から絶望的な答えが出てきたとき、

理解なんて、当然出来る訳もなく…


「嫌に決まってるじゃん…なんだよそれ…それしか、本当に手は無いの!?」

「…ないわ。冷たいと思うかもしれない…いや、思うでしょう。けれど『この人を殺す』こと以外に方法は無いのよ。」


エーマの答えはこれだった。


―ヒトヲ、コロス―


そんな答えを聞きたかった訳じゃない。

ボクはとっさに、エーマの前に立ちふさがった。


「…どいてちょうだい。」

「嫌だ。」

「今この人を…この雷霊を倒さないと多くの人に被害が出るのよ。…この人、一人か…それとも、多くの人を皆殺しにするかどちらがいいの!?」

「そ、そんなの分かってる!!けどっ…」


今、エーマが正しいことぐらい…馬鹿なボクでも分かる…

だけど、エーマの前から少しでも今、動けば、なぜかわからないけど、取り返しのつかないことになるとボクは思ったんだ。


「…………後で私を恨みなさい。

今はあいつを倒す!!」


だっ、だめだっ…!!

そう思ったけど、弱っちいボクはその場から一歩も動くことができなかった。



―一方、エーマはと言うと…

「はぁ…はぁ…ほんまに…なんやねんこいつっっ!!」


アルラのことが気になり、戦いに集中出来ないでいた。

相手は倒れるなんておろか、息切れすらもしていない。

くそっ…ほんと、厄介!!

どいつもこいつも…


「!?ぁぐっっ…」


いつもは、こんなにもやられることはない。

むしろ、エーマの方が相手をぎったぎたにしているのだ。


ダメだ…こんなのじゃ…

小さい頃を思い出す。


【…ママ!!―いやぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!】


「っ…」


何もできなかった小さい頃の自分…

エーマは珍しく弱気になっていた。



―ど、どうしたら…

ボクに究極の選択が迫っていた。

もちろん、エーマの方が正論だということはボクにも分かっているのだ。

けれど…いくら、苦手なおばさんだって言っても、ボクを今まで女手一つ育ててくれたのだ。

感謝極まりない。

そんな彼女を簡単にボクは見殺しにするなんてこと出来ない。


何か…本当にいい手は無いの…?


ボクはその小さな頭で一生懸命答えを出そうともがいていた。



―ブレイド!!

エーマはブレイドを魔力で出し本気モードに入ろうとしていた。

私が本気になれば、どこまで破壊するか分からない…けど!!やるしかない!!


「ふぅ~…行くわよ…私…」


エーマは刀を独自の型で振り上げた。

そして、一瞬…誰にも気づかれないほどのだった。


「―死になさい。」


エーマは残酷で冷徹な表情をした。


―次の瞬間

「エェェェェェェマァァァァァ!!!!よけてぇぇ!!」

「なっ!?」


アルラの声(叫び声)がエーマの耳に届いた。

そして、一瞬にして周りが火の海になったのだ。


「……って…何してんのよぉぉ!?アンタって奴はぁぁぁぁぁぁ!!」

「ごっごめんなさいっ!!け、けど…ほら……」


アルラはおばさんの方を指さした。


「結果オーライ…じゃない…かなぁ?ハハハ…」

「あんたねぇぇぇ…」


だが、アルラの言った通りだった。


「あれ…私…何でこんな所に?」


あの例のおばさんの意識が戻っていたのだ。


「おばさぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁんん!!」

「!?…アルラ!何であんたがこんなところに…

―きゃっ!?」


アルラはおばさんに思いっきり抱きにいった。



「―どうしたのよ…急に…もう…しょうがないわねぇ…」


事情を把握出来ないでいたにも関わらず、いつも怖いおばさんはもの凄く優しい笑顔でボクを抱きしめてくれた。

―これは、改めてこのおばさんがボクにとって大切な存在になっていることに気付かされる事件となったのだった。


―一方、そんな温かいシーンをエーマは一人、恨みを込めた目で見ていたのだった。

そんな彼女の気持ちに気づく者は誰もいない…

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