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第三章 〜正反対コンビ、初の見回り〜

「…問題は今のところ無さそうねぇ。」


今ボクたちは、世界を巡回している。

人間にとっては、世界と言っちゃうと大き過ぎるかな?

ボクたちにとっては、世界を回るのは散歩程度なんだ。翼があるからね。


「…なに、残念そうな顔してんのさ。よかったじゃん。何もなくてさ。」

「なんか…仕事って感じしないし、ロマンが無いって言うかさぁ…わかる?この気持ち。」


わかんないよ。第一、ロマンって何なのさ、ロマンって。

この数十分の間で、ボクは何回つっこんだだろうか…。

頑張ったな!ボク。そして、頑張れ!ボク。

自分で自分を褒め、応援したい…。


「ねぇ、今日はもう帰りま…」

「あっ!!!!!」

「えっ、ちょっ…!?」


ボクはエーマの声を無視し、走り出た。

その先には…


「大丈夫ですか!?」

「あぁ……すまないねぇ。」


お婆さんが躓いて転んでいたのだ。


「ちょっと、あんた何して…」

「エーマも手伝ってよ!!」

「はぁ?なんで私が…」


文句を言いながらも手伝ってくれたエーマ。

結果、ボクたちはお婆さんを家まで送っていくことにした。


「はぁ…あんたね、私たちは魔族と言う敵を、千年戦争を終わらせようとして動いてんのよ?

それが、今じゃぁ…民間人を助けようの会になってるじゃないの!!!」

「まぁまぁ…これも、これからすることに繋がると思ってさ、やろうよ。ね?」


彼女の家に着くまで、ボクはエーマをずっとなだめていた。


「―あぁ……ここじゃ。ここ。」


ふぅ。達成感サイコー!!

エーマはというと、やっと着いたというような、げんなりした顔をしていた。


「すまないが、そこに荷物を置いてくれんかね?」

「あ…はい。」


―ドン!!


「ふぅ~~…」


意外と重かった…

と、ボクは思ったのだが…


「よっっこいしょー。」


ドドン!!!!

横を見るとエーマはボクの倍を持っていた…。


「ふっ…それだけしか持てないの?ふふっ…

ほんっと、ヘタレね。」


…反論できない。

これが、下級悪魔と最高位の天使との違いなのだろうか…いや…そう願いたい(男子が女子に力で負けるなんて…ボクのミジンコのようなプライドすらも…)

こんなやり取りをしていたボクたちの間に声が入ってきた。


「のぉ…お前たち、占いに興味はあるかね?」

「…??」

「実はのぉ、わしは占いが得意での、当たると評判なんじゃ。少し…試してみんかね。」


……………。


「ほっほほ、突然じゃからびっくりしたかの。

自分でも分からんのじゃが…どうしても、お前たちを占ってみとうなってな。どうじゃ?」


まぁ…無料なら…。

と、ボクたちは占いをしてもらうことにした。


「では、名前を教えてくれんかの。」


彼女は、名前を聞くだけで色々なことを占うことができるのだという。

二人とも占いは信じる方ではなく、その時はあまり期待していなかった。


「―!?」

「うそ…なんでそんなことまで分かるの!?」


ボクたちは見事に、彼女の占いにハマってしまった。

なにせ、何もかも的を射ているからだ。

そして、彼女はボクたちが最も気にしていることをズバリ言い当てた。


「ほっほほ、お前たち、千年戦争を終わらせる気じゃなぁ。」


!?


「そっ、それは…」

「わしは全部分かっとる。隠そうとしても無駄じゃのぉ。ほっほっほ。」


…恐るべし!お婆さん…


「…坊や、お嬢ちゃん、未来を知りたいかね。」


…………。


「はい。」


ボクはあんなに大きなことを言われるとは思いもしなかった。

まだ、千年戦争を終わらせるということに実感が湧いていなかったのかもしれない。


「お前たちは、災厄に見舞われるであろう。

お前たちだけでない。この全世界を災厄がな。

そしてそれは、もう、始まっておる。

今は小さくて見えんが、やがて大きくなる。

それは、誰にも止めれん程にな。」


…災厄……。


「そうじゃ。まぁ一方で、いい事もある。

お前たちが今、行動しとるから、これだけの災厄ですむのかもしれん。もし、お前たちが動いてなかったのなら…」


「世界は破滅をただ待つだけであっただろう。」


―帰り道。

「凄いこと聞いちゃった…ね。」

「…うん。」


ボクたちはこれから、どうすれば彼女の言うその災厄をふせげるのだろうか。

考えなくてはならないものが沢山ある。

…最後に言われたあの一言の意味も…


パンっ!!

「!?」

「今、そんな難しい顔で考えてもしょうがないでしょ!」


………………。


「はぁ…もうっ!!ほら、私お腹すいた!!あんたもでしょ?」

「…うん。」

「じゃっ、さっさと家に帰ってご飯食べましょ!!

そっちの方が今の私たちには優先事項よ!!」


はぁ…まさか、エーマに説き伏せられるとは…

屈辱…。


「そうだね。早く家に帰ろう。」

「よしっ!!そうと決まればぁ……家まで競争!!!」

「えっ、ちょっ…待ってよー!!」

「負けた人、おごりねー。」


はぁ…今日一日、暇さえ無かった。

…そういえば、ボクが暇のない日を送るなんて…

考えられないな。

全部、エーマのせいだ。

そして…こんな楽しい一日をボクに過ごさせたのもエーマだ。(Mじゃないってことは言っておこう)

まぁでも…す・こ・し・は、感謝しといてやってもいいかな。



「―きゃっ!!!」

「!?どうしたの!?エーマ!!」

「え…あ、あぁ…躓いただけ。

あっ!ほら、私を抜かすチャンスだよ?」

「あぁまぁ…ケガとか無いんだったら良かったけどさ。」


―うん?

一瞬、足を押さえていたエーマの手の隙間から黒いモヤのようなモノが見えたような気がした。

けど、ボクはスルーしたんだ。

気のせいだと思い込んで…―


―なぜこの時、ボクはエーマの異変に気づいてあげれなかったのだろうか。

この時気づいていれば…もしかすると、未来が変わっていたかもしれないというのに…。

今となっては、過去のこと。

変えられない現実なのだ。

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