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#Xmas2014   作者: smm
1/1

りょうくんぱんをつくる

 目の前に、丹精を込めて焼き上げたおいしそうなパンがある。

 甘い香りの中にも香ばしさの混じった上等なパン。


 そのパンを見て、りょうくんがわんわんと泣き出した。


 それはもう、火が付いたような勢いで、地球上で一番悲しそうな鳴き声である。。。


***************


 事の起こりは、パン屋さんをやっているりょうくんのおじいちゃんが、りょうくんのお兄ちゃんのゆうくんが、初めて作ったパンがおいしかったという話をしたことにある。


 りょうくんはお兄ちゃんが大好きだ。

 だからそれを聞いて、「ぼくもつくる」と言い出したのは当然のことだった。


 大好きなお兄ちゃんが、大好きなおじいちゃんと一緒に作ったおいしいパン。

 しかも甘いパンらしいと聞いたりょうくんは、目をキラキラと輝かせて「ぼくもつくる」ときっぱりと言い切った。


「でもねりょうくん。一週間以上かかる結構大変なパンだよ」

 おじいちゃんが困ったようにいう。

 お兄ちゃんのゆうくんはりょうくんと少し年が離れていて、ゆうくんが作ったのは、いまのゆうくんより大きくなってからだった。


「だいじょうぶ。ぼくがんばるもん」

 これは最近のりょうくんの口癖だ。


「うーん。でも、、、ホントに頑張れる?」

 おじいちゃんが心配そうに念を押す。


「だいじょうぶ。りょうくんらいねんはぞうさん組になるの」

 りょうくんの幼稚園では、ぞうさん組が最年長らしく、生意気にも最年長のプライドがあるらしく、大きく胸を張って答えた。


「うーん。。。

 よし。

 じゃあ、毎日幼稚園が終わったら、おじいちゃんのパン屋さんまで毎日通って来ると約束できるかい?」


「うん!やくそく」


「それからおじいちゃんのことは、おじいちゃんと呼んじゃだめだぞ」

「え?なんで??おじいちゃんだよね???」


「教える以上は、おじいちゃんは先生になるから、師匠と呼ぶように。

 おじいちゃんと呼んでたら甘やかしちゃうからね。

 教える以上は、厳しくビシバシいくから、やめるなら今のうちだ」


「だいじょうぶ。ぼくがんばるもん」


「よしっ。じゃあ、まずは挨拶から。『よろしくお願いします』だ」

「うん。『よろしくおのがいします』おじいちゃん」


「返事は『はい』おじいちゃんじゃなく『師匠』」

「あい。ししょう」


 こうしてりょうくんのパン作りが始まったのだった。

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