43枚目 王都ダート
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改訂
2014.12.22
【琴花よ、お主は追試じゃ】
「えぇ〜勘弁してよ、なんでここに来てまで追試しなくちゃならないの」
【あまりにも魔物に対する知識がない。ここまでシャイニングドアホォとは思わなかった。】
ウリエルはこめかみを押さえながらため息をついた。
王都に入るまでの時間潰しとして、ウリエルに魔物についての知識問題を出してもらっていた。
だが、残念ながら分からずエルに答えを聞いていた。
最初はエルに聞いてもいいと言っていたくせに、問題が続くにつれ、いきなり【こんのシャニイング馬鹿小娘がッ!! 少しは少ない脳みそを使わぬかぁぁぁぁぁぁぁぁ】と耳元で怒鳴り始めたのだ。
「聞いて良いって言ったじゃんかッ! 言質取った。間違いなく取ったからね」
【限度があるわぁッ! 出会った魔物くらい把握しておけぇいッ! だいたいジャンピンの種族スキルまで忘れておるとは、お前の頭はチュンチュン以下じゃな】
「ちょっと間違えたくらいでチュンチュン以下って言わないでよッ!」
ちなみにチュンチュンという名前の魔物がいるということもウリエルが出した問題で初めて知った。
どうもこの世界の魔物のネーミングセンスは独特である。
【それに何じゃ。ジャンピンの種族スキルをキュピーンじゃと? キュピーンじゃないわ、一閃じゃ】
「だってキュピーンのイメージ強いもん、あの兎」
琴花は頬を膨らませた。
実際ファーストコンタクトした時の印象がキュピーンなのだから仕方ない。
ちなみに一閃はジャンピンの種族スキルで、人参を武器にしている時にクリティカル率上昇だ。
琴花はジャンピンの種族スキルにより瀕死になりかけたところをエル達に救われている。
それがかれこれ3日前のこと。
「おい、そろそろ順番来るから静かにしてくれ」
後方で怒鳴っている琴花の声にげんなりとするガイ。
何も知らない人がいたら一人漫才してるか、もしくは可哀想な子だ。
周囲の視線は明らかに後者が多い。
何も言っては来ないが、視線はものすごく痛い。
【もう少しボリュームを下げてしゃべらぬと痛い子に思われるぞ】
「うぅ……分かったよ」
もうすでにそう思われているかもしれないが、そんなやり取りをしている間に順番が来た。
ガイに言われた通りに冒険者証明書を門番兵に提示する。冒険者証明書を確認し、琴花とエルの顔を確認してから証明書を琴花達に返す。
「あぁ、査問委員会のテホン委員長がお待ちしております。ようこそ王都ダートへ」
門番兵が丁寧にお辞儀をし、荷馬車は進み出す。
しばらく荷馬車が進めるとガイは荷馬車を邪魔にならない場所に停車させた。
「あいよ、ここまでだ」
「ガイさん、ありがとうございます」
「ありがとうガイ」
「結局お兄ちゃんって呼んでもらえなかったなー」
ガイがイジイジと拗ねる振りをするが、琴花はそれをスルーし、エルは苦笑した。
「えーと、ここでどなたかと待ち合わせですか?」
「あぁダート支部のギルド職員と待ち合わせることになってるんだ。料金の半分をまだもらってねぇからな」
「先に全額もらったんじゃないんだ」
「あぁそうするとトンズラされる可能性があるから、報酬の3割から4割ほど先にもらい、無事に完了したら残りをもらうってわけだ」
「ふーん、全額もらえないって信用されてないの?」
ズバッと聞く琴花にエルは「コイロちゃん」とたしなめる。
「な、なんて事を言うんだ。そういうシステムなんだよシステム。覚えておきな、小さいお嬢ちゃん」
「小さいは余計です、おじさん」
琴花は頬を膨らませてプイッと顔を横に向けた。
「おいおい、そっちこそおじさんは余計だろうがッ!」
「まぁまぁ二人共それくらいにしておきましょう」
すると背後からクスクスと笑う声が聞こえた。
振り返ると女性が可愛らしくクスクスと笑っていた。
服装がオクジェイト支部の変態職員オルガンと同じなので間違いなくギルドの職員さんだ。
「お声をかけようとしたのですが、つい笑ってしまいました。大変失礼いたしましたコイロ様でよろしいですか?」
「あ、はい」
「私はギルド王都ダート支部所属のミリルと申します。委員長テホンがお待ちしております。こちらへ」
ミリルはニコリと微笑んで歩き出す。
「ではガイさん、またご縁がありましたらよろしくお願いします」
「おうよ、それまでにその女口調を直しておけよ」
ガイに手を振られ、琴花とエルはミリルの後を追うように歩き始めた。
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