34枚目 ギルドオクジェイト支部での打ち上げ
11月になってからの初投稿です。
なんてこった。
何をしていたんだって?
まぁ修正や加筆してました。
そんな中、当作品は
24000PV突破、7000ユニークPV突破です。
ありがとうございます。
魔物を討伐を終えた一行はオクジェイト村に戻っていた。
「お疲れさまです、部位の買取ですね。お待ちください」
人様のことを処女ですかと聞いてきた変態店員オルガンが営業スマイルを浮かべて対応してくれた。
違和感バリバリ最強No.1だ。
「高く買い取ってくれよオルガっちぃ〜。コイロっちが頑張って戦ったんだからよぉ〜」
「あいにく初心者応援高価格買取セールは当ギルド支部ではやっておりませんよレイ」
営業スマイルから一転し、冷ややかな笑みを浮かべるオルガン。こちらのほうが彼らしくて違和感がない。
「いやぁ〜働いた働いた」
レイはドカっと木製の椅子に座ると「麦酒4と唐揚げ1を頼むぜぃ」と注文する。
「レイ、まだ換金が済んでないわよ」
「かてぇこと言うなってエルっち。もう腹ペコだし、どうせ食ってくだろうし座ろうぜ」
「まぁーいいんじゃねぇか。下手すっと座れなくなってしまうし」
ノイッシュも便乗して座る。
ギルドの1階は受付と同時に飲み食いができる食堂も備え付けている。
時間は夕刻。そろそろ夕食の時間帯で下手すると狩りに出ていた冒険者達ですぐ席が埋まることも珍しくない。
空いてるうちに座っておくほうが良い。
「本当は換金してから注文したほうがいいんだけど」
「足りなければ、後で出せばいいじゃねぇか。順序変わっただけで手続きとか変わらんさ」
「まぁ空いてるから座りましょうコイロちゃん」
エルは琴花の手を引いて、レイ達が座っているテーブルへと向かう。
テーブルにはすでに麦酒が並々と入ったグラスが4つ置かれている。
琴花の喉がゴクリと鳴った。
もはやパブロフの犬状態だ。
「ほれほれ、早く乾杯しちまおうぜ」
レイがグラスを持ち上げて待っている。仕方ないわねと苦笑しながらエルもグラスを掲げる。
琴花が手に取るのを確認してから、レイが
「コイロっちのグワッパ討伐作戦お疲れぇ〜乾杯」と音頭を取り、4つのグラスと乾杯という4人の声が合わさった。
☆
麦酒とツマミがある程度進んだ頃、背後にオルガンが立っていることに気づいた。
「換金する前から呑むとは、それを見たら新人冒険者が真似するでしょうが」
「言わなければいいと思うぜ、オルガっち」
「一応、換金してる間は大人しく待ってるのが礼儀でしょう」
「限りない人生、無駄はできねぇってもんよ」
「やれやれ、ではこちらが換金した金額です。良ければサインをしてください」
やれやれとため息をつきながら、オルガンは紙をテーブルに置いた。
最初にレイが確認し、次にノイッシュ、エル、最後に琴花と確認していく。
「えーと、渡されても分からないんだけど」
この金額が高いのか安いのか、よく分からない。さらに言わせてもらうと琴花はここで初めてお金の単位について知ることになった。
「カルペン? それがお金の単位だったんだ」
この世界で使えるお金を持っていない琴花にとっては当然の反応といえる。
「ガハハ、面白いこと言うじゃねぇかコイロっち。早くも酔いが回ったか〜」
だが、何も知らない左隣に座っていたレイが琴花の頭をグシャグシャと撫でる。
その拍子に眼鏡がズレた。
【お金の単位を知らんとは、どこの箱入り小娘じゃ】
やれやれとため息をつくウリエル。
「教えてもらってませんからね〜」
【そうじゃったか? 言ったような気がするぞ】
絶対に言ってない。
聞いてないと琴花は断言できた。
「持ってきた部位の中に、グワッパのお皿あったけど、それは高く買い取れなかったのかしら?」
「先日、討伐依頼がありましてグワッパ皿を大量に買い取ったので、今は単価が下落していますね」
「そっか、ざーんねん」
ショボーンとするエル。
心なしか耳までショボーンとしているように見えた。
「それを差し引いても、価格は勉強させていただきました。上司を説得するのは、まぁ骨が折れましたよ」
「なーに言ってんだよ。説得する振りして裏でお茶でも飲んでたんだろうが。素直に吐いちまえよ」
「酔っ払いの戯言に付き合ってる暇はありません。ささサインをしてもらってよろしいですか? コイロさん」
「え? あたし?」
【お、ご指名じゃの】
琴花に紙とペンを突きつけられた。
いいのだろうか、そんな重要な役目をしてしまってと念のためにメンバーの顔を見ていく。
レイはオルガンにちょっかいをかけていて、こちらを見る気配はない。
エルはニコッと微笑んで頷く。
ノイッシュはツマミを頬張っていて喋ることができないが、頷いているのでエルと同じ意見なんだろうと推測できた。
琴花はペンを手に取って、サラサラと自分の名前を書いていく。
それを見てオルガンは頷き、
「では用意して参ります。お待ちください」とまた奥へと戻っていった。
「さーて、金も入ることだしジャンジャカ呑もうぜぃ」
レイがガハハと笑いながら、追加注文をするために店員を呼びつけた。
ご愛読ありがとうございます。
感謝です。




