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32枚目 待ちに待ったグワッパの登場

ありがとうございます。

19000PVと

6000ユニークPV突破いたしました。

「あいたた……」


無事ハクビーの群れを撃退した後、脛を押さえてうずくまっている琴花を中心にメンバーが集結した。

「ガハハ、初めてハクビーと戦うと大概こうなっちまうんだよ」

「レイ、笑っちゃダメでしょ。大丈夫コイロちゃん」

「うぅ……」

痛みが予想以上に長引いている。

脛を確認するとアオジになっている。


「俺も初めて戦ったときはやられたよ。奴の種族スキル すねゴスリだ」

「すね……ゴズリ? すねこすりじゃなくて?」

「あぁ、こすりじゃなくてゴスリだ」

目に涙を浮かべながら説明するノイッシュに顔を向けた。

「すねゴスリ、小回りのきくハクビーが人間の脛に思い切り体当たりをして動きを止めるスキルだ。まぁ正確にはハクビーの石頭のせいだが……ソロで会うときは注意が必要だが、慣れてくると脛を狙ってるなと分かるから苦労はないな」

「べ、弁慶の泣き所を狙うなんて姑息過ぎ」

武蔵坊弁慶ほどの豪傑でも打たれたら泣く箇所があるのだ。全く戦闘経験のない琴花では泣くどころか、痛過ぎて声が出ない。

「べ……ベンケイ? 人の名前か? まぁよく分からんが泣き所ってのはいい表現だな。今度使ってみるか」

ノイッシュが二カッと笑う。


まさか脛を狙ってくる魔物がいるとは思っていなかったので琴花は油断していた。

噛む力が強いと聞いていたから、そちらのほうを普通に警戒する。

ちなみに弁慶の泣き所で最もよく知られているのが脛だが、他にアキレス腱や中指の第一関節から先の部分もこのように呼ばれることがある。


ちなみに、すねこすりとは妖怪の一種で人の歩きを邪魔すると言われている。

夜の闇にまぎれて歩行者の足をひっぱって転ばせることがあると伝承では伝えられている。

「一文字違うだけで、こんなに違うなんて」

まだ痛むようで身動きできない琴花。

仲間を呼んで、さらに弁慶の泣き所を狙ってくる。見た目は小型だが、注意しなくてはならない。

「辞めとくか、グワッパ」

「いや、戦う」

「一体、グワッパの何にお前は燃えているんだよ」と呆れるノイッシュ。

今回の旅の目的を飽くまでグワッパなのだ。

このままオチオチ帰路につくことはできない。姿を見るまでは帰れない。

「とにかくコイロちゃんが回復するまで待ちましょう」

エルの提案に一同頷いた。


痛みがやっとこさ引いたようで、琴花は立ち上がって屈指をする。

動くのに支障はなさそうだ。


「さて、いよいよグワッパだけど。あの魔物は水辺周辺にいると強くなるから要注意よ」

「それがグワッパの種族スキルってわけね」

大方、水辺周辺にいるときステータスアップとかいう種族スキルだと琴花は推測する。

だが、レイはポリポリと後頭部をかく。


「残念だがコイロっち。それは奴の種族スキルじゃないんだよ」

「え? なんで?」

「水辺に生息する生き物は水を得た魚のようにイキイキしてるだろう。ようは奴の得意なフィールドで戦わないようにすることが勝利の鍵なんだよ」

「えーと……」

「つまりだコイロ。その魔物の属性とフィールドを照らし合わせて勝てそうにないなら逃げろってことだ。例えば雨が降っている時に水属性の魔物と戦うなってことだ。ベテランなら負けはしないが、コイロは逃げたほうがいいな」

「まぁ無理しちゃダメってことよコイロちゃん」

それぞれ説明してくれるのはありがたいが、この世界の魔物はたちが悪いというのは良く分かった。


「たまに餌を求めて湖から上がってくるからそれを待つのがいいと思うわ」

「ちょうど昼時だしよぉ、出てくるんじゃねぇか。おっとと噂をすればグワッパが顔を出したぞ」

湖から何かが顔を出した。


「あれがグワッパ」

アヒル型の魔物が湖からトコトコと出てくる。餌を求めて陸地に上がってきたようだ。

琴花達のほうを気にすることなく歩いていく。


「あー頭の上に河童みたいな皿があるんだ」

なるほどと納得する琴花。

アヒルみたいな顔の上に河童の皿が乗っている。だからグワッパと呼ばれているのだろう。


「あの皿は貴重な素材で高く売れるらしいから割らないように注意だぜぇい」

「エル、あたしでも倒せる?」

「そうね〜ジャンピンよりかは凶暴じゃないから大丈夫だと思うわ。ある程度湖から離れるまで待つこと。そうすると頭のお皿が乾いてくるから。そこを狙うのよ」

「まぁ〜皿を割らずに倒せとは無理にとは言わないから気楽にやればいいと思うぞコイロ」

「仕方ねぇな譲ってやるじぇコイロっち」

「わかった、やってみる」

琴花はウリエルのナイフを構えて、ゆっくりとグワッパに近づいていく。

グワッパはモシャモシャと花をクチバシで突ついて食べている。

まだこちらに警戒する様子はない。


少しずつ前へ前へと進んでいく。

グワッパが近づいてくる琴花に気づいたようで花を食べるのを中断する。

「あたしだってやれるはずだよねウリエル」

眼鏡を少しだけズラす。

【うむ、大丈夫じゃ琴花。コインの力がなくても落ち着いてやれば勝てる。やばくなったら助けてもらえば良い】

「分かったよウリエル」

眼鏡を元に戻す。そして深呼吸。

琴花はグワッパを睨みつける。


ジャンピンより凶暴じゃない。

ウリエルも、大丈夫だと言ってくれた。

自信を持ってもいい。

グワッパが両手(両方の翼)を上げる。

警戒し始めたようだ。

「やってやる」

再度、深呼吸をして琴花は駆け出した。

いつもご愛読ありがとうございます。


ちなみに三重県の一部の地域ではアオジのことを【うるくさ】と言います。

まぁ豆知識ですが、オイラは使わないでふね。

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