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30枚目 異世界生活3日目

秋の夜長に読書はいかがですか?

まぁ長いから気軽にとは言えませんが。


皆様、コイン磨きの聖女様

17000PV突破いたしました。

ありがとうございます。

色々と激戦だった2日目を終えた翌日。

窓から差し込む光に顔をしかめて、琴花は目を覚ました。

【よく寝ておったの琴花】

「うん、おはようウリエル」

琴花は目をこすりながら、大きく欠伸をした。しっかりと休めたようで身体がどことなく軽く感じた。

ん〜と身体を伸ばした。

うまい具合にアルコールも残っておらず、近年稀に見る体調の良さと言っても過言ではなかった。

「そういえばウリエル、昨日の身体能力アップしたやつってまだ続いてるの?」

【そんなもんとっくの昔に切れておるわ。なんじゃアテにしてたのか?】

「ううん、それじゃナイフの加護のほうは?」

【それは大丈夫じゃ、ちゃんとナイフの刃のところを見てみろ。ウリエルとサインがしてあるじゃろ】

ナイフの刃を見るとウリエルのサインが彫られていた。

何やらプレミアものだなと思い、

「売ったらいくらになるだろう」とボソッと呟いてしまう。

金銭で困ったら売ってみようかと考えてしまう。

【な、このシャイニング馬鹿小娘がッ! まさかそれを売るつもりでいたのかッ!】

ウリエルの声に大気が震える。

それに慌てて琴花は訂正する。

うっかりと心の声が出てしまったようだ。

現在、この世界で使えるお金も琴花は一銭も所持していない。

【まぁ残念じゃが、バッタもんが何十年も前から流出しておるから、誰も買い取らんと思うぞ】

「バッタもんって表現、この世界にもあるんだね」

【とにかくじゃ。世界に一つだけの、お前のために与えたナイフじゃ。大事に使こうておくれ】

「うん、分かったよウリエル」

そう言って琴花は眼鏡を装着した。

身体能力の上昇にはコインを使うが、加護は永遠に続くようであった。



星屑の涙亭の1階の食堂。

ある程度朝食を終えて、エルとレイが予定について会話していた。

ちょうど何を狩りに行くか相談しているところだった。

そのタイミングを測って琴花は、気になっていたことをエルに尋ねた。

「エル、グワッパってどんな魔物なの?」

「ん? グワッパはアヒルの魔物だけど……グワッパがどうしたのコイロちゃん?」

「うん。実はウリエルが面白い魔物って言ってたから気になって。それに昨日、女神のコインの彫られている鳥を見て、グワッパがどうだとか皆が言ってたし……」

ちなみに女神のコインはログインボーナスということでさっそく1枚支給されている。

残念ながら汚れているのですぐには使えない。

「たしかにそんな話していたかも……」

昨日の魔人戦の時に女神のコインに彫られている鳥について会話したことをエルは思い出した。

「なら、ついでにこの近辺に出現する魔物とガチンコするのも悪くないぜ。何事も経験が必要だしな」とレイ。

琴花としてはグワッパだけでいいのだが、よくよく考えるとタイミング良くグワッパだけ遭遇するわけではない。

この機会にジャンピン以外との戦闘を経験しておくのも悪くない。


「それともうひとつ、私に戦う方法を教えて欲しいんだエル」

「え……と、それは構わないけど。かなりスパルタになるわよ? それでもいいのかしら?」

スパルタと聞くと一瞬尻込みしてしまうが、しばらくこの世界で生活をしなければならない。自衛手段として学んでおきたかった。

もう死にそうな目にはあいたくない。

「……分かった」

「うん、その覚悟しっかりと受け取ったわよ」

エルがニコリと微笑んだ。

なぜかその笑顔に寒気を感じた。

スパルタと言ってるけど、エルだから大丈夫だよねと根拠のないことを思いながら琴花は珈琲をすすった。



「お待ちしておりましたよコイロさん」

星屑の涙亭で食事を終えた3人。

ギルドオクジェイト支部のドアをくぐると、オルガンがニコリと微笑みながら出迎えてくれた。

「………………おはようございます」

琴花はにこやかな笑みを浮かべている変態店員をジトーっと見つめた。

昨日の処女発言のせいか、琴花はオルガンに対しての警戒心が解けていない。

残念ながら……。


「あーあー、すっかり警戒してるじゃねぇかオルガっち」

レイはオルガンの脇腹を肘でちょいちょいと突ついた。

「一体何をされたの? コイロちゃん」

「はい、あたしのことを処じ……」

心配そうな顔で聞いてくるエルに答えようとするが、オルガンの咳払いにより中断させられる。

「まぁその非礼を兼ねて、手続きをさっそくさせていただきますよ」

オルガンは一枚の紙切れを琴花に押し付けた。まぁ後でどっちみちエルには言うつもりでいるので中断されようが、されまいが琴花にとってはどうでも良いことだった。

「これが手続きの……」

紙には冒険者証明書発行手続きと書かれている。文字は日本語ではないが、ウリエルのおかげで読めるということは知っている。

だが、読むことはできても書けるかどうかは分からない。まだ試していない。


誰で試すべきか……。

ペンを受け取り、木製のテーブルに紙を置くとサラサラと日本語を書いていく。


「よっ昨日はお疲れ」

そこにノイッシュが欠伸をしながら現れた。

ちょうどいいので琴花はノイッシュに「ノイッシュ君、これ読める?」と紙を見せた。


「お前、馬鹿にしてるのか? ショウジ コイロと……あ? 待てショウジって誰だよ」

「え? 私の名前だけど……」

自分を指を差す琴花。

「いやいや、お前はショウジなんて名前じゃなくてコイロだろ? 」

「あらあら、ノイッシュ君。男の子の名前が出て焦っちゃって。ヤキモチかしら」

「あッ! エル、馬鹿言ってんじゃねぇよッ!」

昨日はエルさんと言っていたノイッシュだったが、宴のおかげでだいぶ親交を深めたようで呼び捨てとなっている。

エルの人懐っこい雰囲気にいつの間にか飲み込まれたようだ。

「さあさあ本当の事言ってよぉ〜すっきりしようぜノイっちぃ〜」

レイがノイッシュにヘッドロックをかける。

「く、くそぉー。いてででで」

「ほれほれ」

「離せぇぇぇ畜生ぉぉぉぉぉ」

ジタバタと抵抗するも、なかなか逃げられないノイッシュ。


「うるさいから解放してくださいレイ」

オルガンがやれやれと肩をすくめた。

この世界では苗字というのが存在しないということをすっかり失念していた。

琴花は東海林と書いたところを横線2本引いて訂正する。

日本語で書いても異世界用に変換されているので読み書きを改めて覚える必要はない。


「ありがたい〜」

そうと分かれば、琴花はサラサラと必要なことを紙に記入していく。

だが、出身地という項目だけが分からない。

でも異世界用に変換されるのでまぁいいかとペンを走らせる。

最後に発行手続きをしますか? という項目に琴花は《はい》と記入してオルガンに手渡した。


「では確認をさせていただきます。しばらくお待ちください」

オルガンは一礼をして、奥に戻っていく。


「あーくそぉ。なんて日だッ!!」

ヘッドロックから解放されたノイッシュがぜぇぜぇと呼吸をしながら、そう叫んだ。

奇遇なことに一時期ブームとなった芸人のお言葉である。

「証明書の発行が終わったら、さっそく装備を整えに行きましょう」

「別に証明書なくてもいいような気がするんだけど……」

証明書がなくて困るのは大きな街とかの出入りであって、オクジェイト村みたいな田舎に入る時はそんなに必要ではない。


「ダメよ。証明書は持ってると特典やポイントがつくのよ。それが貯まると高価なアイテムと交換できたり、お店で割引になったりするんだから。そういうのは乙女のたしなみよコイロちゃん」

「乙女のたしなみって……そのイケメンな顔で言うなよ。聞いてて恥ずかしいわ」

「ガハハハハ、気にしたら負けだじぇノイっち」

冒険者証明書はポイントカードですかと心の中で突っ込む琴花。

とにかくないと困るらしいということはよく分かった。しばらくするとオルガンが琴花達の所に戻ってくる。


「コイロさん、出身地のところに書いてあるニホンってのはどこの地域ですか?」

ため息をつきながら、オルガンは琴花に紙を突きつけた。

どうやら、そこまで都合良く変換はされないようだった。


ご愛読ありがとうございます。

次回は琴花が色んな魔物との戦闘を経験していく予定です。

果たしてグワッパとは一体どんな種族スキルを持っているのか……。


感想や罵倒、または魔物の名前やユニークなスキル名など募集中ですよ。

他力本願ですけど……。

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