23枚目 オクジェイト村の攻防戦 戦場の真ん中で愛を叫ぶ
皆様ありがとうございます。
コイン磨きの聖女様。
おかげさまで
10000PV突破
3000ユニークPV突破
さらにさらにブックマーク28。
もう、嬉し過ぎて何をしたらいいか分かりません。
ほんまに感謝です。・゜・(ノД`)・゜・。
この作者の毒文章に付き合ってもらえるとは、感謝としか言葉にできねぇ
だから、調子に乗ってもう一枚追加です。
加筆や修正をしました。
2014.11.09
琴花は深呼吸した。
引きつりそうになっている顔の表情筋を緩めようと努力する。
そして……。
「……ごめんウリエル、よく聞こえなかった。もう一度お願い」
もう一度問うた。
【ふむ、ないぞと申した】
だが、それにウリエルは清々しい笑顔で答えた。
「またまたご冗談を」
【こんな状況で冗談を言うと思ってるなら、琴花お前の頭はお花畑過ぎるぞ。あとでプラカードを持った集団が来ると思ったら大間違いじゃぞ。ないものはないのじゃ。ない袖をどうやって振るのじゃ】
ないぞ……と。
倒すための策がない。
策がないのに戦え……と。
これはもう挽肉ルート確定か……。
琴花の顔がサーっとまた青くなる。
なんて役に立たない女神であろうか……。
さあどうするのか琴花。
考え中、考え中……。
琴花くんの答え。
バン。
「コイロちゃん、ウリエル様は何て?」
「ないって言われた」
「え? ないの?」
「はい」
「そうなんだ……」
しばしの沈黙。
対策すらない。
この異世界冒険記は鬼畜仕様だ。
沈黙する二人を見て、ノイッシュが頭をポリポリとかいた。
「おいおいウリエルの力があるだろ? なんでそれを使わないんだ?」
「使えたら、すぐに使ってます」
【うむ、その通りじゃ】
使いたくても使えないのだ。
コインがなければ何もできない。
「マダカ? マチクタビレタゾ」
「すまねぇな、女ってのは身支度に時間がかかるんだ、大目に見てやってくれないか」
「ム ナルベク ハヤクシテクレ ヒマダ」
魔人は律儀に待ってくれていた。
もう少しだけ待って欲しいところ。
だが、ノイッシュよ。
なんだその女を知ってます的な発言は……。
「たしか……ウリエル様はコインの女神様だから、もしかしてお金とかに関係しているのかしら」
エルはこめかみに指を当てて考える。
「ウリエルは金にうるさい女神とも伝えられているからな」
腕を組んで唸るノイッシュ。
「おーい、何してんだよお前ら」
そこにレイが近寄ってきた。
サーシャはオルガンの側で待機している。
「魔人を倒すための対策がないんですって」
「そりゃー物理攻撃が効かねぇから無理だわな」
エルとレイは腕を組んで唸る。
琴花以外のメンツが腕を組むという奇妙な絵図が完成した。
「コイロ、ウリエルの力を使うには何をすればいいんだ?」
「その、コインがあれば……」
「金か、やはり」
ノイッシュは皮袋の中身を確認する。
それに慌てた琴花は補足説明をする。
「でも、普通のコインじゃダメなの。何て言えばいいんだろう。大きさはこれくらいで不細工な鳥が彫ってあるんだけど」
【不細工な鳥とは何じゃ、あれは神聖なる鳥であるぞ】
ウリエルが吠えているが、今は無視に徹する。
よくよく考えたら琴花は結構ウリエルを邪険に扱っているような気が……しなくもない。
「不細工な鳥って言われてもなぁ〜。グワッパみたいなものか?」
ウリエルが以前、笑えると言っていたグワッパの名前が出てくるも、実物を見たことがない琴花にはさっぱり分からない。
「グワッパ印のコインか〜、趣味悪りぃなガハハハハハ」
「ウリエル様の趣味なら仕方ないわね〜」
そこまで言われると、グワッパがどんな魔物なのか気になって仕方なくなってくる琴花。
グワッパとは一体どんな魔物なんだろうか……。
とにかく女神のコインがなければ何もできない。最初、森でジャンピンに投げたままだったのが悔やまれる。
時間があるなら森に探しに行きたいところだが、土地勘のない琴花が行ったら200%迷子になる。
「もしかして、これのこと?」
エルがポケットから取り出して琴花に見せる。
「あっ」
【むむ、それは間違いなく女神のコインじゃ】
「あら、もしかしてドンピシャかしら」
琴花の驚いた顔にエルは苦笑する。
「うん、エルそれだよ」
琴花はエルにギューっと抱きついた。
「ちょ……ちょっとコイロちゃん」
「おほぉ〜大胆じゃねぇかコイロっち」
「おいおい、場所考えろよコイロ。まぁいいか」
突然抱きつかれて驚くエル。
ニヤニヤと笑みを浮かべるレイ。
呆れた顔のノイッシュ。
戦場の真ん中でする行為ではない。
ましてや、見た目は美少年(ただし、女性と知っているのは琴花だけ)に抱きつく(背丈は少女並の)琴花。
ファンがいたら、後日袋叩き、もしくは水をぶっかけられるかもしれない。
ファンの嫉妬は恐ろしいのだ。
だが、今は見逃してあげて欲しい。
「それどうしたのエル」
抱きつきから解放されたエルは微笑みながら、琴花にコインを握らせた。
「泉付近で見つけたの。やっぱりコイロちゃんのだったのね」
「やっぱり?」
「だってコイロちゃんを助けた時、汚れたコインと眼鏡を鞄に入れたの私だから」
「ありがとう、エル。これで戦える戦えるよ」
森で紛失した最後の女神のコイン。
琴花はウリエルに視線を向けた。
ウリエルはうむっと頷いた。
今度こそ、琴花のターンだ。
女神のコイン
残数 1
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