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21枚目 オクジェイト村の攻防戦 作物畑で捕まえて……。

食欲の秋がやって参りました。


でも読書の秋もあるので、よろしくね♩


大幅な加筆や修正をしました。

2014.11.05

「な、なにぃぃぃ」

オルガンは思わず声をあげてしまった。


先制攻撃。

魔人が構えをする前に斬りつけた。

確かな手応えを感じていた。

だが……。




レイが振るった大剣は、たしかに魔物を斬りつけていた。

しかし、魔人は怪我すらしていない。


さらにレイが驚いたのには理由がある。

魔人を斬りつけた大剣の刃がパキンと砕けたからである。

粉微塵に……。


「あぁレイさんの大剣が……」

「ちぃッ! 」

レイはすぐさま魔人から離れた。

隠し持っていた数本のナイフを後方に飛びながら投げ、背中にある予備の大剣をスラリと抜き放つ。

ナイフは魔人に当たるもの刺さりはしなかった。


「そ、そんなナイフが効かないなんて……」

「くそぉー魔物斬りまくってナマクラになっちまったのかッ! 運が良い奴め」

そう嘯くが、レイの大剣はそう簡単に折れるようにはできていない。


メンテナンスや刃こぼれがないかの確認を毎晩しっかりと行っている。

岩系や硬い奴ばかり斬っていれば、いずれ折れるときが来るかもしれない。


だが、今日レイが斬ってきたのは、ジャンピンなどの動物系。岩系と比べたら、はるかに柔らかい部類。

そうそう折れるものではない。


「ちぃッ! 加勢するか」

「わ、私も……」

槍を構え直すサーシャをオルガンは手で制する。

「辞めておけサーシャ。今のお前では足手まといだ」

「うう……でも」

「何かあったら、その時はお前が他のギルド支部へ今回の事を報告に走るんだ。それがお前の任務だ」

「は、はい」

「安心しな。ちゃ〜んと特別ボーナスを出してあげますよ」

オルガンは控えめに微笑み、そして魔人の元へ駆け出した。


駆け出しながら、オルガンは拳に炎を纏わせる。

「はぁッ!」

魔人の顔にまず一撃。

そのまま拳を連打させていく。

魔人の右足が後退する。

よし、効いているとオルガンが思ったのも束の間。

魔人は後退させた右足を前に押し出す。

いわばキックだ。

咄嗟にオルガンは防御するも、その衝撃を防ぐことはできずに吹っ飛ばされる。




「ぐ、なかなかやりますね」

むくりと起き上がり構えるオルガン。

その近くに移動するレイ。

「どうやら、お前さんの拳は効いてるみてぇ〜だな」

「えぇ、しかし決定打ってわけじゃありませんね」

魔人は首をコキコキと鳴らす。

「イイゾ ワクワク シテキタゾ」

どこぞの亀マークの道着を着た武道家が言いそうな台詞を吐く魔人。

「へッ! 俺っちはビクビクしてきらなぁ〜」

「レイ、どうやらこの魔人は属性攻撃は通るのかもしれない。何か属性武器はありませんか?」

「そーんな高級品持ってるわけがねぇだろうがよ」

レイはお手上げだと言わんばかりのジェスチャーをする。それにため息をつくレイ。

「はぁ〜使えませんね」

「でもやったじゃねぇか戦闘狂。お前さんは魔人に対抗できるナンバーワンだぜぇ」

口では馬鹿なことを言っているレイだが、嫌な汗が止まる気配が全くない。


魔人が動き出した。

魔人はレイに接近し、拳を一発叩き込み、その流れでオルガンに回し蹴りを放つが、そこはどうにかカバーする。

「ぐッ! 鎧にまで響きやがる。こんの馬鹿力め」

「あなたみたいな脳筋に言われちゃ魔人も心外でしょうに」

オルガンは魔人に攻撃を仕掛ける。

やはり炎を纏っていない拳や蹴りは、魔人に通用しない。

「ドウシタ サッキノワザヲ ツカウガイイ」

「ふっ、すぐに倒してしまっては、お茶の間の皆様に申し訳が立ちませんからね」




もちろんそんなのは嘘である。

早く終わらせたいところだ。

だが、炎を纏うとそれなりに体力を消耗する。短期決戦なら問題ないが、長期戦ともなるとスタミナの問題となる。

もちろんオルガンにも魔力はある。

だが魔力の容量が少ない。

そのせいもあって魔術師への道を断念せざるをおえなかった。

それでも固有スキルである炎の担い手を無駄にすることはできなかったため、体術の修練に務めた。

血も汗も滲む修練のおかげで、炎を織り交ぜた戦いができるようになった。


だが、状況は芳しくない。


このままではジリ貧である。


だが、諦めるわけにもいかない。

レイは通用しないと分かっていてもナイフを投げる。

少しでもこちらに気が向くように……。

だが……。


魔人がシュパッっと動き出す。

「ぐぉッ……てめぇ」

魔人はレイの腹部に拳を一発。

そしてレイの首を掴み、そのまま持ち上げる。

「ヨワイ。オマエハ ヨワイ。ジャマヲスルナ」

「ぐぐぐ……」

魔人の手に力が入る。

ギリギリとレイの首が締まっていく。

「ぐ……」

レイは苦しみながらも出せる力で蹴りを入れるも魔人はビクともしない。


属性武器でないとダメージが入らないのは分かっているが、黙ってやられるわけにもいかない。


「レイッ!」

オルガンが駆け出す。

だが、それよりも早く魔人はオルガンにむけてレイを投げた。

二人揃って地面に倒れる。

「がはぁッ! はぁはぁ……」

「くっ早くどいてもらえませんかレイ」

レイの下で苦しむオルガン。

「む、無茶……がはぁッ! 言ってんじゃねぇぜ」

レイとオルガンはフラフラと立ち上がる。


「何か手はねぇか、オルガっち」

「あるにはあります。少し炎を錬る時間が欲しいところですが、それをさせてはくれなさそうですね」

オルガンはため息をついた。


「ツマラナイ ドウヤラ オマエラ チガウ ツヨクナイ」

魔人は退屈だと言わんばかりに大きく欠伸をした。


「モウ オワラセル。ソシテ ツイデニ ムラヲ ケス」

「ば、馬鹿な……約束が違うぞ」

オルガンが叫ぶも、魔人はしれっと

「キガ カワッタ。オモシロクナイ ツヨイヤツ イナイナラ デテクルマデ ムラヲ イタメツケル」と言い返す。


「そんなことさせてたまるかッ!」

オルガンが魔人に向けて炎を放つ。

だが、魔人はそれを片手で弾く。そしてオルガンに接近する。

「シバラク ネテロ」

魔人は渾身の力を込めて、オルガンを蹴っ飛ばした。



オルガンは無様に転がり、立ち上がろうとしてそのまま倒れた。




「オルガっち」

「オルガンさん」

倒れたオルガンに駆け寄る二人。

それと同時に……。




「レイッ!」

レイを呼ぶ声が聞こえた。

レイは振り向きもせずに声をあげた。

ずっとパーティーを組んでいたのだ。

声で分かる。

それだけ長い間一緒にいたのだ。




「来るな、エルッ! 逃げろッ!」

長年のパートナーである(見た目は)エルフの美少年に警告した。

読んでいただき、感謝です。


感想や罵倒などがございましたら、よろしくお願いいたします。

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