七か条
のは…
わたし。
やっぱり、ほんとだった。
自殺のなかでも、
焼身自殺は憑依しやすい。
自殺について調べてたとき、
そう書いてる本を見つけた。
これだっ、
と思ってわたしは、必死で読んだ。
そこにはこう書かれてた。
焼身自殺で憑依するための、七か条。
一、死ぬまで叫んだりしないこと。
二、焼け死ぬ苦痛に耐えること。
三、目の前に、憎しむ相手がいること。
四、その場では感情的にならないこと。
五、その相手の目の前で死ぬこと。
六、死ぬまで見てもらうこと。
そして最後に、
七、憑依する相手もその場にいること…
わたしはすべて、守った。
そして、彼女に取り憑けた。
最初で最後の…
実験成功。
彼女には悪いけど、
少しだけ、眠っててもらう。
彼女には何の恨みもない。
もちろん、迷惑もかけない。
ただ、こいつを苦しめたいだけ。
目の前で死んだくらいじゃ物足りない。
あいつは、まだ落ち着かない様子。
「だれかが見つけたらどうする?」
「ちゃんと警察に連絡してくれるでしょ」
冷たく、返す。
さっきまでキャーって叫び声あげてた、
可愛い彼女とは別人に見えるだろうな。
でも、わたしとは思わない…
よね。
「オレの家の前だぞ、あやしまれないか?」
ふっと笑みを浮かべ、
「だって、自殺でしょ?」
「あ、ああ」
「なんか、やましいことあるの?」
ありまくりだよね。
さすがに罪悪感、感じてくれないと。
ま、まだまだこれからだけど…
「もうすぐ誕生日だね」
わたしは話題を変えた。
彼が時計を見る。
11時55分。
「…ほんとだ」
「ちゃんと、プレゼント用意してるから」
彼は驚いた顔で、
「え? さっき、時計をもらったのに」
クリスマスプレゼントに…
時計とか、彼女さん金持ちだね。
なら、次の誕生日プレゼントも、期待大か。
2日連続お祝いなんて、神さまも不公平。
わたしなんて…
みんなが忘れるウルウ年が誕生日だよ。
さぁ、あと少し。
3………
2……
1…
0時。
「二十歳の誕生日、おめでとう」
わたしは、無表情で言った。