あの頃
電車のシートに座りこむ。
始発に加えて、
今日は休みだから乗客は少ない。
電車を乗り継いで、3時間…
わたしは駅に到着した。
改札を出ると、
いきなり、サンタのキグルミが
わたしにティッシュを配る。
わたしの家のまわりと違って、
やっぱり、都会だな。
街には、もう…
たくさんの人が溢れている。
たくさんのカップルが歩き過ぎる。
そんな華やかな景色は無視して、
わたしは対極にある細い路地を進む。
そこに、ネットカフェを見つけた。
とりあえず、一眠りしよう。
みんな、個室にこもって、
閉鎖的空間を楽しんでる。
さっき外で見た景色とはま逆。
ひっそりした、この人気の感じない
空間にも、たくさんのヒトが生息してる。
クリスマスなのに、みんなひとりか…
仲間だね。
同じような人間たちに囲まれた空間で、
わたしは寝た。
家と違って、すぐに眠りについた。
夢も見ないくらい、ぐっすり。
だから、起きたとき…
一瞬ここがどこか、わからなかった。
ぼーっとして、携帯を見る。
もう3時を回っていた。
ここじゃ昼か夜かわからない。
いつの間にか時間だけ過ぎている。
わたしの好きな空間。
わたしは、この空間に溶け込んでた。
でも、そろそろ行かないと。
店を出ると、電話をしてみた。
もちろん相手は、あいつ。
呼び出すつもりたったが、当然のように…
留守電になるだけ。
手短にメッセージを入れて、
家の近くの公園で待つことにした。
何度か一緒に来た公園。
あの頃が懐しい?
いや、公園ごと潰してやりたいって感じ。
時間だけが過ぎていく。
あいつが、会いたくないのは当たり前か。
こないのも仕方ない…
まばらに遊んでた子供たちも
家に帰っていった。
もう、そんな時間か。
誰も、いなくなった公園。
冷たい空気が身に染みる。
手袋してるのに、手の感覚がマヒしそう。
マフラーも意味がないくらい今日は寒い。
やっぱり、わたしついてないのかな…
ふと、夜空を見あげる。
空気がすんでキレイな星空。
心が少しだけ、洗われていく。
自然ってすごいなー
同時に、わたしってちっぽけだな…
洗われた心が冷静に考え、動きだす。
あいつが来ないのは想定内のこと。
わたしは公園のトイレに入って、
服を着替えはじめた。
今日のために準備してたやつ。
ちょっと、この気温には寒すぎるな。
だけど、我慢しなくちゃね。
匂いが気になるから香水を
軽く吹きつけて…
じゃ、そろそろいくか。