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夢の中

わたしは目が覚めた。


そこは病院だった。


身体は包帯でぐるぐる巻き。


顔も目と鼻と口、以外は包帯で巻かれていた。


神様はやっぱりいなかった、か。



わたしは、毎日をただ寝て過ごすしかなかった。


なぜか夢に出るのはあいつとの楽しい思い出。


伝えたいのは苦しみなのに、


矛盾。


彼は犯罪者にはならなかった。


わたしが死ななかったから、仕方ない。


和解ってやつで、うまく解決したらしい。


ま、地元のニュースや新聞には出たみたいだけど…


それじゃ、代償が大きすぎでしょ?


わたしの今のこの姿をあいつに見せてやりたい。


何かをめいっぱい殴りたいけど、腕が動かない。


「いつか穏やかな気持ちで振り返られるときがくるよ、生きててよかったね」


母親が見舞いに来てそう言った。

さらに付け加えて…


「アフリカの難民キャンプでは、いまだに子供が何の希望も幸せも感じないまま消えていっているんだよ」


だってさ。


説教みたいに話す母親。


だけど、わたしの心に抵抗はなかった。



毎日、見舞いに来てくれ、


リハビリも手伝ってくれ、


やっとわたしは歩けるようになった。


手がなんとか使えるようになった。


まだまだ外には出れない外見。 


だけど…


たしかに、わたしは喜怒哀楽を表現できた。


一時でも、笑えるときがあった。



今はまだまだ憎い。


まだまだ苦しい。


見たくも思い出したくもない。


だけど…


夢の中の、わたしは違っていた。


夢でわたしは彼に訊ねる。


「あなたは、幸せだったかな?」


彼は応えず、ただ微笑むだけ…


わたしは、今、不幸なんだよ。


手足だってまだ不自由だし。


でも…


もしあなたが幸せなら、わたしも幸せに思える。


だって、わたしを通り過ぎていったその人生があったから…


わたしが関わったことで、結果、あなたがいつか幸せになったならわたしが生まれてきたことに、意味はあったんだよね?


「…なら、よかった」


と、言い残しわたしは満面の笑みを送っていた。


夢の中で、お人好しすぎなわたし。  


でも…


あの行動、あの憎しみは愛情の裏返しだったのかな?


病院の窓から見える空を眺めながら、


ひとり、つぶやいた。

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