鬼ごっこ
そうしてクラス対抗戦の日になった。
鬼ごっこか、確か鬼はSクラスだったか?
Sクラスが鬼と聞いて負けを確信するやつがいると思うが、ハンデもそれなりにあるらしい。
ハンデは対象の胸あたりにある鈴を破壊しないといけないか。
後、環境に影響を及ぼす能力は使用禁止らしい。
そんなことを考えていると、始まりの合図が鳴った。
僕は別に走るワケではなく歩いていた。
歩いていて気付いたのは、前のテストの時よりフィールドが広いことだ。
「まぁ俺は、制限時間終わるまでそこらへんぶらついとくか、」
そう呟いた。
すると遠方に空を飛ぶ能力者がいた。
少しまずいかもな。
多分あいつが索敵をして見つけた場所に他の奴が詰める感じか。
このテストは、Sクラスが殲滅するか、他のクラスの人が残るかで勝負が決まる。
人が多く残っているクラスの順位が上がる。
別にクラスに拘ってないから負けてもいいんだがな。
そしてそんな事を思考していると、目の前から一人の女が迫っていた。
明らかに逃げている感じじゃない。
僕を追いかけようとしていた。
しかもスピードが異常だ。そして僕の目の前に立ってそいつは襲い掛かって来た。
そいつの攻撃をなんとか受け流し、僕は数歩後ろに下がる。
「こいつももういいか。」
そう小さく呟いて、能力を発動する。
その瞬間、気づけば目の前から人は消えていた。
皆も見ただろう屋上での僕の力。あれの応用だ。
能力は想像力だ。だから頭が弱い奴は上へは上がれない。
「まぁ、僕も強くないんだけどな。」
そう呟く。
そうして僕は敵と接敵することもなくそのテストを終えた。
また同じ場所に戻ってくるとそこには最初にいた人数の半分以下しかいなかった。
鈴を壊された奴は先に教室へ戻っているらしい。
そんなことを考えていると僕は気づいたことがあった。
やけに周りがずっと騒がしい。
そうして数分後、創設者がまた台に立った。そして、
「ありえない事態が起こりました。Sクラス、鬼の方々が途中で全員この場所に戻されたらしいのです。」
どうやら瞬間移動させられていたとのこと。
「無効ということにはできませんが、ここで理不尽な負け方をした人でも、本当に実力があるのなら次で勝つことが出来るでしょう。」
そう言って順位を告げた。
「一位、、、Dクラス。」
その言葉だけだった。そしてほかのクラスは全滅していたらしい。
どうやら僕の周りにいた奴らは全員Sクラスの奴だったのか。
他のクラスは、異常事態ということになり僕のクラスもクラス変動はナシとのことだった。
「まぁ、もとより鬼ごっこじゃあ実力なんてはかれないしな。」
そんなことを呟いていると、マリーがこちらに向かって歩いてきていた。
すれ違い様に、
「貴方と対峙したSクラスの子が言ってたわ。あなたは異常、だってね。」
そんなことを言われ僕は、
「僕は別に何もしてないさ、ただ逃げようとしていたらSクラス全員がそのタイミングで居なくなっただけのことだ。」
僕は冷静にそう言う。
そうしてその言葉を告げた後、僕たちはお互い自分の教室に向かって歩き出した。
その後教室に入って席についてすぐ、次のテストの内容を説明された。
「次のテストは、一対一の決闘です。」
そんなことを言われた。
内容は、クラス関係なしに対戦相手は分けられるらしい。
まだ全員の実力を学園側も把握してないらしく、ここで対戦相手に勝てばクラスが上がる。
そして負ければ、、、退学。
そんな過酷なテストがここから始まるのだった。