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様々な世界・世界の詩

陽だまりの世界

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/02/28



 その世界は、地獄のような世界だった。


 誰もが誰かを恨み、蹴落とす。


 そんな世界だった。


 その世界の人達は、這いつくばっている者にに、手を差し出す事はしない。


 差し出した腕を掴まれて、同じ地獄に引きずり降ろされるだけだから。


 むしろ、その頭を踏みつけ、指さし笑い、追い打ちをかける者ばかり。


 だから、その世界に住む私達は、皆他人だった。


 知人も友人も、家族ですら。


 互いが互いを貶めあう。


 けれど、そんな世界に嫌気がさしたから、私は逃げ出したのだ。


 誰かを傷つけなくてもいい世界へ、誰かに傷つけられなくてもいい世界へ。







 たどり着いた世界はあたたかかった。


 誰もが誰かを助け、気に掛ける。


 涙をぬぐって、手をさしのべる。


 そこは、陽だまりのような、あたたかな世界だった。


 私はその世界をすぐに気に入った。


 ずっと、そこにいたいと思った。


 しかし、追手がやってきた。


「さあ、帰るぞ。ここはお前なんかがいるべき場所ではないんだ」


 自分だけ幸せになるなんて許さないと言う人達がやってきた。


 嫉妬と支配心にまみれた者達が。


 私は無理やり、連れ戻されそうになった。


 そのため、必死で抵抗していた。


 もっとその世界にいたいから。


 ずっとその世界にいたいから。


 すると、その世界の人達がやってきて私を助けてくれた。


 私は安心したけれど、迷惑をかけたことが気にかかっていた。


 私がいる事で、優しい彼等に迷惑がかかってしまうかもしれない。


 そうなってしまうのは、とても心苦しい事だった。


 だから私は、元の世界に戻る事にしたのだ。


 私は最後の日に感謝の手紙を書いて、その世界から去っていった。


「さあ、帰ろう。ここは私のいるべき場所じゃないんだから」







 帰った世界は相変わらず地獄のようだった。


 誰かが誰かを傷つけていて、私も傷だらけだった。


 しかし、私は誰かを傷つける事はできなかった。


 以前は少しだけできていたそれができなくなっていた。


 もうあの陽だまりの世界の住人に会う事ないはずなのに、合わせる顔がないと思ってしまうからだ。


 だから、私はその日も、誰かに傷つけられて生きていた。


 けれど、冷たくなった傷だらけの手を、誰かの温かい手が包んでくれたのだった。


「さあ、帰ろう。ここは貴方の帰る場所なんかじゃ、もうないでしょう?」



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