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29.二人の約束

修正前を投稿してしまっていたので、再投稿してあります。




 思い出したわ!




 昨日、一日中、ドレスの仮縫いと衣装合わせで疲れたせいか、調べものをしている最中にうたた寝してしまい、幼い頃の夢を見た。



 私、行かなければ!


 今すぐスティに会わないと!






「またないてるのスティ」


「また僕のせいで母様が悪く言われた……」


「スティ、ダメよ? わるくちなんかいうオトナは、しんじちゃダメだって、マリアのおかあさまがいってたもん」


「でも、僕も母様を悪く思っちゃた」


「そうなの? でも、スティはアマンダおばさまが、だいすきでしょう?」


「うん」


「ならいいじゃない」


「でも、かあさまが悪く言われるのはイヤだ」


「そっかぁ。じゃあ、スティがスゴくなればいいよ、スゴいスティのおかあさまなら、アマンダおばさまもスゴいって言ってもらえるよ」


「そうかな? 」


「そうよ! マリアもスゴいひとになる! それでスティのおよめさんになるの。そしたら、スティも、おばさまもスゴいっていってもらえるでしょ?

 マリア、スティがだいすきなの。だから、スティはわたしといっしょにいてね? いいでしょ? マリア、スティのおめめがいちばんすき。だってスティのおめめ、おいしそう、あめ玉みたい。

だから、スティはないちゃダメ。おめめがキラキラになって、とってもきれいだから、ほかの子にとられちゃうもん。スティはマリアのよ。だから、ほかの子のまえでないちゃダメなんだから』



 ◇


 まだ小さな自分が、泣いてるスティを口説いていた。それどころか、勝手に結婚まで決めていたではないか。


 スティの為に『スゴく』なろうと、香水作りを頑張ったけれど、あまりにセンスがなくて泣いた日々。


 兄の作った香水を嗅ぎ、才能の差に絶望してしまった8歳の自分。


 大泣きした翌日、ならば誰もが驚く『スゴい』ことをしようと決意して、通い始めた図書館。



 すべて、スティといる為に始めたことだった!


 それなのに、婚約を忘れ、約束も忘れて、いつの間にか『偉業を成し遂げなければ』と、それだけになってしまっていた。




 言わないと!


 スティに3つの頃から貴方が好きだったと


 自分の方が先に好きになったのだと


 そして彼の琥珀色の瞳を見つめてこう言うの。



 貴方を子どもの頃から愛している

 貴方は私のもの

 だから、私の前以外で泣かないで と



 学園卒業後、ステファンは正式に王太子付きになった。でも、今日はお休みのはず。



 慌てて机の上を片付ける。



「お義姉様!?」


「マリア、どうしたんだい?」


 一緒に調べ物を手伝ってくれていた、サーシャと、図書館長であるジェスキアのお祖父様が驚く。


「お祖父様、サーシャ、私、スティが大好きなんです! だから早退します!」


「マ、マリア?」「お義姉様?」



 めちゃくちゃな早退理由を、切羽詰まった顔でいい、駆けて行った孫娘兼息子の嫁に、美貌の公爵は我が子の幸せを確信して呟いた。






「スティ、君の幸せがそっちに向かったよ」








Fin

お読みいただいてありがとうございます。

残りおまけ1話となります。

最後までお付き合いいただければ嬉しいです。


今更ですが、完結まで頑張った記念にポチっと応援して戴けると、今後の励みになりますので、いいよ という方は是非応援よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱりハッピーエンドはいいですね。 [一言] 再開を日々楽しみにしていました。 再開後はハイスピードで更新されていて驚きましたw 一番大切なことを伝えてなかったが故のすれ違いですね〜 ス…
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