表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/32

27.君に剣を

 



 ギール殿下の馬車が去って行くのを見送っていると、


「マリア」


 ステファンが側にいた。



 私が殿下の馬車に乗って行かなかったので、少しほっとしているようだ。



「ギール王子と何を話していたんだい?」


「勝手に教えられないわ」


「………王子の側にはいかない?」


「ええ」




 それ以降、何も言わない私を、ステファンがしばらく見つめていた。


 ジェスキア公爵家の家紋は本と剣

 ステファンは、王宮でも、その家紋が彫られた剣を帯剣することを許されている。


 つまり、王太子の側近であり護衛でもあるのだ。


 今ももちろん、帯剣している。


「祭礼の日なのに、王太子のお側を離れていいの? 」


「ああ、許しを貰ってある……マリア」




 ステファンがおもむろに片膝をついて、私に剣を差し出した。


「スティ?!」


「俺はジェスキアだから」


「な、何を言っているの? 」


「マリア、俺と、いや、私と結婚してくれないか」


「突然、何を言い出すの? 」


「嫌なのか? 」


「急にそんな……」


「俺にとっては急じゃない。

 マリア、今、この剣を受け取らないのなら、俺はもう手に入らない。ダメなら俺は他に愛する人を探すよ。辛くても振り返らないし、余所見もしない、だからこれが最後だ」


「…………イヤだと言ったら、スティは私の側からいなくなる? 」


「ああ」


「他の人のところにいくの?!」


「そうだ」


「嫌よ!」


 そんなこと耐えられないと思ったら、手が勝手に剣を抱き締めていた。


「待ちくたびれた」と愚痴を溢しながら、ステファンが嬉しそうな顔で立ち上がる。


「でも、私、スティとの約束を覚えていないから、本当に好きなのか自信がない」


「まだ、そんなこと言うんだ?

 まぁいいさ。ほかの子に俺を取られるのは嫌なんだろ?」


 と、ニヤリとステファンが笑う。



 勝ち誇ったかのように笑う、ステファンがキラキラして見えたけれど、ちょっと悔しかったから、ギール殿下からの伝言を伝えた。


『先々代国王陛下は5年かかった』そう言えばステファンにはわかると言われたけれど、どういう意味なのかしら?


「そうか、5年もか……」


「どういう意味なの?」


「マリアは気にしなくていい。ギール殿下が、君を諦めたという意味さ」


「?」


「まぁ、今は取られるのが嫌だくらいでいいよ、これからみてろ」


 ステファンが挑むかのような目をするので、ドキドキしてしまう。


 何だか恥ずかしくて、つい目を反らしてしまった。


「あはは 良かった。5年も待つ必要はなさそうだな」


 嬉しそうにステファンが言うので、意味はわからなかったけれど、私も何だか嬉しくなってしまう。




 私達が手を繋いで戻って来るのを、待ってくれていた両親が、微笑んで迎えてくれた。

「呆れた奴らだ」とお兄様とアイリス殿下に笑いながら叱られたけれど。









お読みいただいてありがとうございます。


残すところ、3話?くらいになりました。

お付き合いいただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ