表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/32

23.母と娘



 カミラの祖母、ユリアの『複写』の火傷が、

マリアテレジア陛下の治癒魔法によって跡形もなく癒されて、一月。


 カイゼル国王陛下が退位されて新国王が即位した。マリアテレジア王太后陛下も太王太后陛下となられ、祝賀ムードで国が沸き立つ中


 いよいよ、ルシェラとユリアがルキア鉱山へユリアが護送されることになった。

 ルシェラにもう一度会うのが恐ろしかったけれど、カミラが心配で彼女とともに牢に来た。


 お父様から、ルシェラは禁足も言い渡されたと聞いた。ユリアも、火傷は恩赦により癒していただいたとしても罪人には違いなく、ルシェラと同じ鉱山村での禁足となるらしい。


 ルシェラが改心しなければ、カミラは母ルシェラとも、祖母ユリアとも二度と会うことは出来なくなってしまう。彼女の気持ちを思うと何も言えなかった。


 ごく僅かしか、一緒にいられなかったカミラとユリアが、別れを惜しんで抱き締め合っている。



 檻の中から、ルシェラだけが憎悪を撒き散らしていた。

 

「元はといえばお前のせいだ!裏切ったくせに母親面するな」


 火傷を治療された母ユリアを見て、ユリアを罵倒し、


「お前もだ!この親不孝者!」


 最後になるかもしれないと、ルシェラの檻にすがるカミラをも罵って顔を背けている。


「お母様、許して」


 自分を見ないルシェラにカミラが泣いていて、可哀想で堪らない。


「カミラ、ごめんなさい、本当にごめんなさい」


 ユリアが泣いて謝っている。


 どうして、ふたりの気持ちがルシェラにはわからないの? あんまりよ



「おばあ様、お母様をお願い」


 ユリアの手を握って、ルシェラを頼んでいるカミラに、私だけじゃなく誰もが同情した。


「幸せになるのよ、カミラ」


 依然、ルシェラはカミラの方を見ない



 とうとう罪人ふたりを乗せた馬車が走り出した。


 「お母様、おばあ様!」


 刑務官を振り切ってカミラが馬車を追いかけていった。


 馬車の荷台に掴って、走りながら「お母様、お願い、お母様」と懇願している。


 お願いよ、ルシェラ。カミラを見て……


 容赦なく、馬車のスピードが上がる。


 「お……お母様、」

 ついていけなくなったカミラの手が馬車から外れた。


 それでも馬車を追い、走り続けるカミラに刑務官が追いついて止める。


「イヤよ! 離して、お母様が行ってしまう」

 

 

 馬車が、どんどん小さくなっていく。刑務官達に押さえられても、ルシェラを呼ぶカミラの声はもう掠れていて、聞いているこちらも辛い。


「お母様ぁ」


 顔も判別出来ないほど遠くなったとき、白い顔が振り向いたような気がした…………


 


「カミラ……」


 馬車が見えなくなったあと、連れ戻されて来たカミラを抱き締める。


「きっと、わかってくれるわ」


 私の胸で泣き続けるカミラの髪を、撫で続けることしか出来なかった。










お読みいただいてありがとうございます。


どうしてこんな風になっていくん?と自問自答

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ